先輩の学び(産業生命科学科)
先端医療を正しく活用する。
医療における最先端の研究を社会に還元する。それが医療と健康コースの軸になる学びです。具体的には「サイエンスコミュニケーション」などの講義を通して、生命科学の情報を専門知識のない一般の方に共有する必要性やノウハウを学んでいきます。例えば、小学生をターゲットに栄養バランスの重要性について伝えるという課題に対して、グループごとに動画やスライドを作成して分かりやすい伝え方を模索するなど、実践的な取り組みもありました。
一方で、最先端の技術に関する問題点について考察する講義も受けました。一番印象に残っている議題は、遺伝子を操作して胎児の容姿や能力に手を加える「デザイナーベビー」は、どこまで許容されるのか、というもの。元々は、病気の遺伝を防ぐため、病原となる遺伝子を操作することを目的に生み出された技術ですが、同じ手法を用いれば医療の域を超えることさえ可能になってしまいます。
発展するほどに複雑になっていく医療の技術。決して間違った方向に使われないよう、正しい知識を広めることがますます重要です。医療の発展と倫理的な考察は、今後の大きな課題になると考えます。
生命科学部 産業生命科学科
医療と健康コース 2年次
山下 笑佳さん
※掲載内容は取材当時のものです。
「食」の課題に科学で切り込む。
食料廃棄をなくしたい。その思いを実践できる学びを期待して食と農コースを選びました。
実際に学んでみると、世界の飢餓や日本の食料廃棄の現状は予想をはるかに上回る深刻さです。そもそも、なぜ日本では食料廃棄が頻繁に行われるのか。食料供給が満ち足りている日本人にとって、食料は当然のように手に入るという認識があります。
一方で、タイでは米を食べるために2日間かけて準備をする民族もいます。米を干し、籾をとって、ようやく炊く。さらに言えば、稲を育てるところから始まって収穫も自分たちの手で行います。食料を尊ぶ精神。それが今の日本人に圧倒的に欠けているのだと確信しました。
それを補うためにも、まずは多くの人に世界の食料に関する現状を知ってもらうべきです。「食農文化・政策」という講義の課題で、食料廃棄をなくすための政策案を提出した時も、私が軸にしたのは「世界の飢餓の現状を広めること」でした。
専門知識を世の中に広く伝えることは、産業生命科学科の学びに通じるものでもあります。また、講義の中で実際に政策を行っている人の話を聞いて、農地減少への対策や家畜の遺伝子組み換え、小学生への食育プログラムの提供など、多方面からアプローチが可能だということに気付かされました。
生命科学の視点を持ち合わせれば、食料問題に関するあらゆる解決策を探っていける。学びの途中で、そんな手ごたえを感じています。
生命科学部 産業生命科学科
食と農コース 2年次
若野 泰子さん
※掲載内容は取材当時のものです。
「科学+経済」で環境を守る。
環境を守ることにどんなメリットがあるのか、そのために必要な資金をどう集めるか。環境と社会コースでは、環境保全に関する課題に、生命科学・経済学の両面からアプローチしています。
「生態系を保全しよう」と言っても、「何のために?」「どうやって?」という具体的な提案がなければ社会は動いてくれません。例えば、自然から受ける恩恵を分かりやすく示した「生態系サービス」や、環境保全に力を入れている企業を援助するESG投資についてなど、社会全体で環境を守るための仕組みや事例を講義で学んでいます。
学びを通して「なぜ」「どうして」「どのように」といった筋道を立てて考える理系特有の論理的思考力が鍛えられると同時に、経済や法律など資金の動きや社会のルールを知ることで物事を多角的に捉える分析力も身に付きます。理系と文系を融合させた学びがあるのも、このコースの良さではないかと感じています。
今後、環境に特化した解決策を社会に提案できる人材はますます必要になってきます。このコースで得た学びを生かして、社会全体にアドバイスできる立場になりたい。そんな思いから、環境コンサルタントという将来の夢も見つけました。今はそれを目指して、さらに学びを深めているところです。
生命科学部 産業生命科学科
環境と社会コース 2年次
富岡 瑠加さん
※掲載内容は取材当時のものです。
生命科学と社会をむすぶ架け橋に。
花の色はなぜ赤いのか。なぜ葉っぱは緑なのか。そんな身近な不思議を解き明かす、生物学の奥深さに引かれたのは高校時代。両親が公務員なので、将来は自分も……と考える中で、公務員の中にも農作物の品種改良や環境保全といった理系の知識を生かせる職業があることを知り、この学科に興味を持ちました。
1年次は、高校時代に習った知識を復習しながらより深く学び、基礎となる知識を修得しました。
「生命科学リテラシー」という授業では、レポート作成やプレゼンテーションを通して、データやグラフの正しい捉え方、その内容を公表するための表現方法などを学びました。先入観や過大視された情報にとらわれることなく、正しい情報を分かりやすく社会に伝えることは、まさに、この学科のテーマに通じる学びだったと思います。
2年次からは、以前から興味があった食と農コースへ進む予定です。過疎化が進む地元で、例えば荒れ地の有効活用だったり、京野菜を使った新商品の開発だったりと、政策や農業などさまざまな視点から活性化できないか、と考えています。
学ぶほどに引き込まれる生命科学の世界で、もっと新しい分野の知識も得たいと思っています。とにかく今は2年次からの授業がすごく楽しみです。
生命科学部 産業生命科学科 1年次
荒賀 三太郎さん
※掲載内容は取材当時のものです。