経済学リレー講義

「経済学への羅針盤として」
今ほど情報が豊富ではなかった時代、羅針盤を持たずに航海へ出ることほど危険なことはありませんでした。同じように、大学において方向性の見えない授業に出続けることほどツマラナイことはないでしょう。
「経済学部の授業は抽象的な議論が多くて、現実の経済との関わりがどうなっているのか分かりにくい!」
学生からよく聞く声です。でも、本当は、それぞれの講義は現実の経済社会の動きと密接な関連を持っているのです。ただし、実際の経済は非常に複雑なので、経済学には多かれ少なかれ、ある程度の抽象化が必要となってくるのです。自分の興味ある問題、勉強したいテーマ、そういったものがはっきりしていない学生は、往々にして抽象的な議論の波に流されてしまいがちです。それはまさに、羅針盤を失ってしまった大海の中の小さな舟のようなものです。
「できれば、そのような学生を1人でも少なくしたい!」
「より多くの学生に、興味を持って経済学の授業に臨んで欲しい!」
こんな教員たちの思いから生まれたのが、この「経済学リレー講義」です。
現実経済の様々な問題、そしてそれらが経済学ではどのように扱われているのか。学部の早い段階からこのような点に興味を持ってもらい、上級年次での経済学に取り組めるような、経済学への羅針盤となるような授業を、この講義では目指しています。
この講義では、1年次生を対象に、経済学部教員がそれぞれの専門分野の立場から「日本経済・世界経済は今どのような問題をかかえているか」という共通テーマについてリレー式でわかりやすく話をします。講義を通じて、経済の現状の理解を深め、現実の経済の動きに興味を持ってもらうとともに、上級年次で受講する経済学の専門科目へのステップとしてもらいたいと思います。
2023年度講義内容
【経済学リレー講義A】
講義回 | 担当者 | |
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4月10日 | 藤井 | イントロダクション・エネルギー経済学への誘い |
4月17日 | 梶谷 | 労働時間規制の根拠:長時間労働の何が問題か? |
4月24日 | 千葉 | 情報と戦略 |
5月8日 | 大坂 | 途上国の経済発展と開発援助 |
5月15日 | 西村 | 金融に関する最近の話題について |
5月22日 | 沈 | 起業活動は経済成長をもたらすのか? (Data Literacyの基礎) |
5月29日 | 北村 | 流行を創造する企業の経営戦略 |
6月5日 | 八塩 | 日本の国家財政の現状と課題 |
6月12日 | イケダ | 自然災害リスクと減災に向けたBuild Back Better(より良い復興) |
6月19日 | 岑 | 「世界的経済循環」から見る21世紀後の中国と世界の経済関係 |
6月26日 | 倉本 | 地域の交通問題とその対策 |
7月3日 | 塩津 | デジタルトランスフォーメーションと経済学 |
7月10日 | 福井 | 困ったときの社会保障? |
7月17日 | 広田 | インバウンド需要と地域経済:ポストコロナへの展望 |
7月24日 | 加茂 | 「決め方」の話:社会選択論への誘い |
【経済学リレー講義B】
講義回 | 担当者 | |
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9月18日 | 寺井 | イントロダクション・日本経済と物価 |
9月25日 | 飯田 | 公共部門の役割とその課題 |
10月2日 | 大川 | なぜ、貿易自由化の是非で人々は対立するのか? |
10月9日 | 大西 | 伝統とハイテクが共存する京都産業の魅力 |
10月16日 | 川越 | 貿易政策と経済学 |
10月23日 | 栗田 | 経済データ分析の面白さ -ドル円為替レートのデータを眺めてみよう- |
10月30日 | 齊藤 | 近代化における労働と生活 |
11月13日 | 坂井 | 日本の金融システムの現状と課題 |
11月20日 | 菅原 | 京都市財政の診断 |
11月27日 | 関田 | 人口の変化と日本経済 |
12月4日 | 武田 | 環境経済学入門 |
12月11日 | 玉木 | 高度経済成長と集団就職 |
12月18日 | 寺崎 | 地域間人口移動の要因と地方創生のポイント |
12月25日 | 松尾 | 経済成長と政府の役割 |
1月15日 | 山内 | 明治維新の大変革 -土地は誰のもの?- |
履修上の注意
毎週講義のスピーカーが代わるので、経済学部にどのような教員がいるかを知る意味でも楽しい講義になると思われます。毎週の講師が何にポイントをおいて話そうとしているのか、興味を持って授業を聞くことが重要です。なお、授業内容と目的から、履修登録できるのは経済学部1年次生に限ります。