フィールドワーク科目担当教員インタビュー(経済学部 広田 茂 教授)
「理論」と「現実」を橋渡しする基礎を学び、社会での提案力にもむすびつける

経済学部 広田 茂 教授【担当科目:地域経済学、経済フィールドワーク入門など】
先生が新規科目「経済フィールドワーク入門」をご担当されますが、どの様な科目でしょうか?
「経済フィールドワーク入門」は、教室で学ぶ理論を、実際の社会や地域経済と結びつけて考えるための基礎を身につける科目です。本学のフィールドワーク科目を受講するうえで必要となる知識やスキルを、順を追ってわかりやすく学べるように構成されています。
もともと「フィールドワーク」という考え方は、人類学や社会学などで使われてきたものですが、今では多くの分野で取り入れられています。現場に出て一次的な情報を集める点は共通していますが、生活文化を調べることと、経済の実態や課題を知ることとでは目的や方法がかなり異なります。経済学の特徴は、単に現状を理解するだけでなく、政策などを通じて現実の課題を解決しようとする実践的な学問であることです。この授業では、そうした考え方をふまえて、地域の経済課題にアプローチする「経済フィールドワーク」を実践的に学んでいきます。
実際のフィールドワークでは、地域課題の現状を把握するために、文献調査や既存データの収集、関係者へのインタビュー、アンケート調査などを行います。こうした調査を適切に進めるには、それぞれに特有のスキルが必要です。授業では、それらをしっかりと学んでいきます。また、得られた情報をもとに政策提言を行うにあたっては、問題をどう設定するか、どんな解決策が現実的かを多角的な視点から考える力が欠かせません。そうした、現実的で説得力のある提案をするための「政策づくりの考え方」も学びます。
さらに、フィールドワークはチームで行うことが多く、メンバー同士の協力がとても大切です。お互いに分担した調査結果をまとめ合ったり、意見を出し合ってより良い方向を探ったりする中で、協働や情報共有の大切さを実感することになります。そのためのコミュニケーションの方法についても授業の中で身につけていきます。
この「経済フィールドワーク入門」では、前半にこうした基礎的な知識とスキルを学び、後半にはキャンパス内のテーマを使ったミニ実習に取り組みます。実際に手を動かしてみることで、学んだことをどのように使えばよいかを体験的に理解できるようになります。
新規科目を受講することで、実際のフィールドワークにおいてどのような効果が期待されますか?
経済学部の他のフィールドワーク科目や演習でのフィールドワーク活動において、この科目で学んだ基礎的な知識や手法を活かすことによって、より深く課題に取り組むことができます。実際のフィールドワークに先立って手法を身につけておけば、地域課題の本質的な解決に向けた検討や考察により多くの時間と労力を充てられるようになります。
また、他のフィールドワーク科目において、この「経済フィールドワーク入門」を履修した学生が多ければ多いほど、グループでの意見交換や調査結果の共有が円滑に進み、授業全体の進行がスムーズになるだけでなく、より深く地域の課題を掘り下げることが可能になるという期待もあります。つまり、各自の理解やスキルが揃うことで、フィールドワーク全体の質が高まるのです。
このように、本科目は単なる基礎知識の習得にとどまらず、経済学部での実践的な学びを有意義で効果的なものにするための土台となります。受講を通じて、フィールドワークの現場で自信を持って活動し、地域社会の課題解決に貢献できる力をつけることができるでしょう。

新規科目やフィールドワーク科目を受講することには、その他の経済学部専門教育科目の履修や、社会に出てからのキャリアにおいて、どのようなメリットがあると考えられますか?
先の質問に対して説明したように、フィールドワーク科目は経済理論と現実の社会や地域経済を結びつけて考える授業です。地域をフィールドとすることが多いため、地域経済に関する講義科目(例えば、地域経済学A・B、産業立地と地域経済、都市経済論A・B、地域政策、交通経済学、財政学A・B、地方財政論、観光と地域開発など)を履修するときに、その理論を実際に適用するために必要な条件や具体的な政策の考え方を自然にイメージできるようになり、理解が一段と深まります。
また、フィールドが地域でなくても、理論と現実をつなげて政策を考える手法は非常に役立ちます。日本経済や国際経済、労働経済や社会保障など、現実の経済社会を扱うさまざまな分野の学びにも有効です。
さらに、社会に出てからも、企業や行政において、直面する課題についてチームで現状を調査し、合理的に分析し、効果的な対策を提案することは日常的にあることです。フィールドワークで身につけた知識やスキルは、こうした現場での判断や提案に必ず役立ちます。
このように、この科目や他のフィールドワーク科目を受講することは、専門的な学びを深めるだけでなく、社会に出てからも実務に直結した力を育てる非常に有意義な経験となります。