フィールドワーク科目担当教員インタビュー(経済学部 菅原 宏太 教授)
trial and errorを通じて社会人基礎力やビジネス感覚を磨く

経済学部 菅原 宏太 教授
【担当科目:地方財政論、社会デザイン特別講義、社会デザインフィールドワークなど】
経済学部のフィールドワーク科目再編は何がきっかけだったのでしょうか?
社会デザインとは、現代社会が抱える様々な課題の解決、および多様性に富んだ持続可能な社会の仕組みづくりを考え実践する取組みです。その手法は多岐にわたりますが、経済学部では「ヒト・モノ・カネ・情報」の観点から社会課題に接近するデザイン手法を学修できる機会として、教室での座学だけではなく、実際に現場に出て知り学ぶフィールドワーク実習を授業に取り入れ、その内容を充実させてきました。
しかしながら、従来のフィールドワークに係る科目体系は段階性を欠いていました。学生は、講義科目における実務家の講演から社会デザインを知識として学んだ後に、フィールドワークに関する具体的な手法などを十分に学ぶことなく特定地域にコミットするフィールドワーク実習に挑むしかなかったのです。もともと社会デザインに強い関心を持つ学生なら順応できるでしょうが、講演を聞いて社会デザインに少し興味を持った程度の学生にとっては、フィールドワーク実習へ進む際のハードルが高すぎたようです。そのため、フィールドワーク実習科目への応募者が想定していたよりも少なかったり、複数ある実習科目の間で応募者に偏りが出たりといったことが起こってしまっていました。
再編されたフィールドワーク科目を受講することでどの様な成長が期待されますか?
新設された「経済フィールドワーク入門」と「社会デザインフィールドワーク」は、フィールド調査の方法を学ぶ、おためしでフィールドワークに臨んでみるといった、フィールドワークの入門的な色合いの濃い科目です。つまり、社会デザインに関する既存の講義科目と実習科目や一部の演習科目との橋渡しをする役割を担います。既存科目とともにこれらの新設科目を学生が受講することで、社会デザインに関心を持つ(ホップ)、フィールドワークの基礎を学ぶ(ステップ)、特定地域でのフィールドワークに挑む(ジャンプ)と段階的に学修し、社会課題についての知見とその解決のためのアプローチを修得することができます。
先生が新規科目「社会デザイン特別講義」と「社会デザインフィールドワーク」をご担当されますが,どの様な科目でしょうか?
「社会デザイン特別講義」は、ものづくり、ひとづくり、まちづくり、それらをサポートする行政や金融と、様々なジャンルにおける社会デザインのキーパーソンを講師として招き、取組みの経緯・苦労・成果や、実務から見た日本の社会経済について、それぞれの視点からお話しいただく科目です。この科目を受講して社会デザインへの関心を更に深めた学生が、数名の講師の活動現場を実際に訪れて、講師とともに課題解決策を考える科目が「社会デザインフィールドワーク」です。つまり、これら2つの科目は連結しており、両方を受講した学生は、講演内容と入門的なフィールドワーク実習からシームレスに社会デザインの事例を学修できます。
新規科目を受講することで,どの様な教育効果が期待されますか?
「社会デザイン特別講義」で得た知識を、「社会デザインフィールドワーク」を通じて体験に昇華することで、これらの科目で出会う地域の課題を学生が自分事として捉えられるようになります。こうした自分事化する経験は、学生の視点や思考を多様に展開させるのに役立つことでしょう。例えば、フィールドワーク実習で訪れた地域の社会デザインを応用して学生の地元の課題と向き合うといった、他地域への視点の展開が期待されます。また、これらの科目で学修した社会デザインの方法論を活かして、ジェンダー格差問題の解消に取り組むなど、地域づくりとは異なる分野への思考の展開も期待されます。
それでは、専門教育科目を受講することへ期待される教育効果を教えてください。
これらの新規科目を受講できるのは1、2年次生のみです。それは、これらの科目を受講することで得た視点や思考の拡がりを基にして、次年度以降にどのような専門教育科目を履修すべきかを自分なりの履修モデルとして模索してもらうことを意図しているからです。また、「社会デザインフィールドワーク」では、社会課題解決型ビジネスプランの作成と学内のビジネスプラン・コンテストへの出場も目的としています。その際には、ニーズの把握方法や資金調達方法など、ビジネスが持続可能であるための課題にも直面することでしょう。そこで自分に不足している知識に気づき、それを補っていくという目的で専門教育科目に臨んでくれることも期待しています。
将来の進路・就職へどの様なことが有利になると考えられますか?
現実社会における課題解決の解は一つではありません。入試問題とは違います。つまり、社会デザインのアプローチは多様であり、常に試行錯誤しながら課題と向き合わなければなりません。また、その過程では、個人で取り組むだけではなく、仲間と協力することも必要になります。これらの新規科目を通じて得られるのは、「それが当たり前なのだ」という感覚です。こうした感覚こそが、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」といったすべての社会人基礎力の根源です。また、特に「社会デザインフィールドワーク」で養われるビジネスセンスは、民間企業への就職や起業だけではなく、行政分野を目指す上でも今後一層求められます。それゆえ、再編されたフィールドワーク科目において社会デザインに実際にチャレンジすることで、実社会で求められる実践力を大いに磨いてください。
