第60回市民講座

2009.01.17

 第60回市民講座が1月17日(土)、キャンパスプラザ京都にて開催され、約80名が参加し盛会裏に終了した。

 第1講座は経済学部 藤野 敦子准教授が「21世紀の男と女を考える−ジェンダーと経済の視点から−」と題し、現在の日本に見られる経済的課題をジェンダーの視点から分析、具体的なデータも活用しながら解説した。
日本における男女間の賃金格差等に見られる経済的課題は、労働市場の仕組みの改善、つまり性役割にとらわれないジェンダーレス化によって縮まりつつある。しかし、いまだに格差が無くなり切らないのは、人々の意識や日本の社会システムの中に、固定した性役割が日常的な生活環境の中で刷り込まれていることに一要因があり、21世紀の男女の行く末を考えたとき、「性差」よりも「個人差」としての認識を強め、「差」があることによって不安に思わない社会を構築することが重要であると述べた。

 第2講座は法務研究科 坂東 俊矢教授が「新しく設置される消費者庁と暮らしの安心・安全−消費者目線の政策展開−」と題し、昨今、問題視されている食の安全をはじめとする消費者問題および政府が構想している「消費者庁」の役割等を解説。
消費者の命にまで関わる可能性を含む食品偽装問題や製品事故問題等を円滑に解決するために制定されてきた法律の変遷等を中心に、今、なぜ「消費者庁」が議論されるのか、該当法律の管轄である省庁の考えではなく、消費者の視点から「食品や製品の安全」あるいは「取引の公正」を考えることが重要であるとし、近い未来に消費者庁が設置されることを期待すると思いを述べた。

 講座後、参加者は「経済や少子化についてジェンダー学という切り口からの分析が新しい感覚で有意義であった」「消費者の安全を確保することがいかに難しいかを実感できた」など、それぞれのテーマに対し思い思いの感想を述べた。
ジェンダーの視点から男女の経済的格差について解説する藤野准教授
消費者政策に充てられる予算について説明する坂東教授
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