令和5年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」 人間科学教育科目

1. 「学習成果実感調査」についての分析結果

今年度から、「アセスメント・ポリシー」により、「学習成果実感調査」における質問事項が全学共通の5問に変更となった。対象科目数は286科目(春学期142科目・秋学期144科目)、実施率は両学期とも100%であった。一方、学生が直接回答サイトにアクセスできるようになった結果、回答率については、春学期:38.2%(昨年度:36.8%)、秋学期:30.8%(昨年度:25.4%)であり、昨年度に比して若干の改善が見られたが、まだまだ低水準であった。教学マネジメントの運営において、学生の授業評価をカリキュラムの検証・改善の間接評価を担うものであるため、引き続き、授業での回答協力の呼びかけ等、一層の工夫が必要である。

人間科学教育科目領域(人文・社会・自然・総合・英語講義科目領域)における全学共通の設問の結果をネガティブな回答をした数値に着目すれば、以下のとおりである。
設問1では、全領域において、授業内容と曜日・時限が重視されている。           
設問2では、準備学習時間1時間未満が最も多く、全領域において、春学期:68%・秋学期:65%となっており、準備学習時間の少なさが見て取れる。
設問3では、到達目標が達成できなかったと回答した学生は、人文科学領域:春学期8%・秋学期7%、社会科学領域:春学期7%・秋学期5%、自然科学領域:春学期12%・秋学期10%、総合領域:春学期6%・秋学期5%、英語講義科目:春学期3%・秋学期3%、となっており、自然科学領域において、目標を達成できなかったと回答した学生が10%を超えている。
設問4では、大学で学ぶ意欲について、意欲の高まりを認識できない学生が、人文科学領域:春学期8%・秋学期6%、社会科学領域:春学期6%・秋学期4%、自然科学領域:春学期10%・秋学期8%、総合科学領域:春学期7%・秋学期5%、英語講義科目:春学期0%・秋学期9%、となっており、設問2・3の数値を裏付けるものと考えられる。
設問5では、授業に対する満足度について、満足度が低いと認識する学生が、人文科学領域:春学期6%・秋学期4%、社会科学領域:春学期5%・秋学期3%、自然科学領域:春学期9%・秋学期7%、総合領域:春学期6%・秋学期5%、英語講義科目:春学期3%・秋学期9%、となっている。

したがって、春学期のデータからは、春学期においては準備学習時間の少なさ・到達目標の低認識・意欲の高まりの低認識・授業満足度の低さについては、ある程度の相関関係があると考えられる(秋学期について相関関係を示すデータがまだ提示されていない)。ともあれ、これらの結果は、調査に回答をした学生から得られたものであり、未回答の学生多数いることから、設問2~5に関して、さらに消極的な認識をもつ学生が潜在的に多数いるのではないかと思われる。

2. 総括

(1)1において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

学習成果実感調査の実施方法変更により、実施率・回答率ともに改善したと言える。しかしながら、学生からの回答率は、まだまだ低い。とは言え、ネガティブな回答がおおむね10%以下に留まっているのは、回答率の低さに起因することも考えられる。

(2)1において確認された改善すべき点

したがって、回答率の向上に努めることがとりわけ改善点となる。加えて、科目数においては、総合領域に区分される科目の割合が多く、人文・社会・自然の各領域における科目数とのバランスに課題があることも認識できる。

3. 次年度に向けての取り組み

人間科学教育科目については、令和5年度から従来の4領域の区分から、学生が学ぶべき課題として、14のテーマを設定し、テーマ別に従来の科目を再配置する「テーマ制」に再編成する作業を行ってきた。この新しい取り組みは、令和7年度から実施すべく、次年度においては、さらにブラッシュ・アップに努めることとしている。
PAGE TOP