令和5年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」 外国語教育科目

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

学習成果実感調査の今年度の春学期の実施率は94.7%、回答率は53.1%であったが、秋学期は実施率92.6%、回答率は40.2%とかなり下がってしまった。大きな理由としては、年明けの授業が各週1回のみで、アンケート実施の周知が十分でなかったことが挙げられる。
今年度の春学期から言語教育独自設問として、設問6「この科目の言語をもう少し高いレベルまで学びたいと思いますか。」を付け加えた。昨今の言語教育を取り巻く様々な変化の中で、通年を通して初修言語を学んだ感触と、さらなるレベルアップを目指す意図について質問をした。設問7では、なぜ「(強く)そう思う」かの理由を訊ね、設問8では「(まったく)そうは思わない」理由を訊いた。結果、春学期では67.5%の受講者が「(強く)そう思う」と回答したが、秋学期では62%と少し減少した。一方で、「(まったく)そうは思わない」と回答したのが春学期では22.5%だったのが、秋学期は15%とかなり減少した。特定の理由は分からないが、通年語学を学んだことで、言語学習への倦怠感がある一方で、それなりの体系的知識が付いたことによる達成感や満足感があるのではないかと推察する。
「(強く)そう思う」を選んだ理由として、複数回答ではあるが、「外国語を学ぶのが楽しいから」「その言語が話されている国や地域に行ってみたいから」が、春、秋ともに最も多く、言語への興味とその地域の文化的な関心が多くを占めている。一方で、「(まったく)そうは思わない」では「言語の勉強が苦手だから」が春、秋ともに最も多く、春学期に比べて秋学期は割合は減少したとはいえ、こういった受講生への対応も今後の課題となっている。
いずれにしても、春、秋通年で「もう少し学びたい」という受講者が過半数いるという事実は注目に値する。語学教育の広報活動などを積極的に行い、受講者の学習意欲の維持、向上を促す対策が求められる。
設問5「授業の満足度」に関して、春、秋ともに81%の受講生が「(強く)そう思う」と回答。さらに設問3「授業の到達目標」では春では91%、秋では94%の受講生が「60%以上達成できた」と回答しており、レベルの設定には大きな問題がなく、通年で到達目標を維持できることが確認できた。設問4では、春78%、秋77%の受講生が「大学で学ぶ意欲が高まった」と回答。これは、語学教育が「大学で学ぶ意欲の高まり」にある程度貢献できていることを示すデータである。大学で初めて学ぶ外国語を一から積み上げる作業が満足度や達成感になり、それが通年を通して学びの意欲の高まりへとつながった可能性がある。
昨年も同様であるが、日本語教育科目においては正規学部留学生及び交換留学生のクラスとなるため、まだ英語以外の外国語科目に比べて履修者数の母数が少ない。数名のみの受講者のクラスもあり、あまり有効なデータとはなっていない。とはいえ、留学生の数も徐々にではあるが増えてきているので、データは継続的に収集する必要性がある。

2. 総括

(1)1において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • 継続的な外国語学習(週2回)が、大学での学び全般の意欲を向上さている点
  • 通年で外国語を学び、その後さらに継続して学ぼうとする意欲を持たせた点

(2)1において確認された改善すべき点

今後のAI時代に即した外国語の学びを提供する必要性(外国語の苦手意識の改善)

3. 次年度に向けての取り組み

再来年度には大きなカリキュラムの変更が行われる。言語教育の広報の推進などを行い、新たなカリキュラムでの受講者の増員(特に選択科目)を目指す必要がある。
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