クロス 京子

CROSS KYOKO
国際関係学部 国際関係学科 教授
学位
博士(政治学)
専門分野
平和構築、紛争解決学、人間の安全保障、移行期正義

研究テーマ

平和構築・移行期正義・紛争解決

高校生に向けた研究内容の紹介

私は、紛争や人びとの人権を抑圧する体制が崩壊した後に、過去の人権侵害など重大犯罪がいかに解決されるのかについて研究しています。「移行期正義」という考え方は、アフリカやアジアなどで冷戦後に内戦が多発し、多くの市民が巻き込まれる中で急速に注目されるようになりました。平和に向けて「正義」や「和解」が必要だと合意は得られても、到達方法は一つではありません。どのような状態が平和なのか、それを求める人びとや社会が何を求めているのかを現地調査を通じて研究しています。

ゼミナール/研究室のテーマ

平和構築・紛争解決・人間の安全保障

平和な社会、正義と和解

「マクロな視点とミクロの視点で『平和』について考える」がゼミのテーマです。
「平和」な社会とはどのようなイメージでしょうか。「平和」とは単に戦争がない状態だけではなく、格差や不正義など紛争の根本原因がない状態と考えることができます。ゼミでは、世界の武力紛争や民族差別、ジェンダーなどの様々なグローバル課題を取り上げ、それらの「暴力」を支える社会・経済・政治構造をマクロな視点で考えます。例えば、ブラック・ライブズ・マター運動が起こった背景にある黒人差別の構造的要因を探ります。
同時に、自分たちの身近なところにある偏見や差別、貧困などの紛争の「種」に気づき、実際に紛争解決の方法を探るミクロな視点を育てていきます。ゼミでは文献資料に基づくプレゼンやディスカッションだけでなく、実際にフィールドに赴きリサーチを行います。身近な諸課題に対し、マクロな視点で得た分析力を用い、ミクロな視点で解決に向けた方策を創造し、実践することを目指します。

Column先輩の学び

経済や環境、ジェンダーなど、研究テーマは人それぞれ。自分の興味を起点に、世界の平和構築について考えます。ゼミ活動の醍醐味は、仲間同士の活発なディスカッション。意見を交わし合うことで、多様な考え方や価値観に出会え、それを受け入れる能力を養うことができます。いろんな角度から物事を見られるようになったのは、このゼミで学んだからこそ得られた成果です。

国際関係学部 国際関係学科 3年次
山本 華凜さん

※掲載内容は取材当時のものです。

ゼミ/卒業研究の紹介

私のゼミのテーマは「マクロな視点とミクロの視点で『平和』について考える」です。戦争や貧困、気候変動、難民問題など、世界には様々な課題がありますが、平和を脅かす紛争の「種」は、私たちの身近なところにあります。ゼミでは、フィールドワークなどを通じてグローバルな課題と身近な問題との接点に気づき、自分事として世界の課題を考える視野と分析力を養っていきます。ジェンダーや外国人差別、戦争加害・被害といった身の回りの課題の解決策から、世界の諸課題の解決の糸口を探っていきます。

プロフィール

兵庫県出身ですが、京都には生まれ育った町より長く住み、心はすっかり京都人です。コーヒーとチョコレート、お酒が大好きで、海外に現地調査に行っては、現地のコーヒーとチョコレート、珍しいお酒を買い込んでしまいます。

高校生へのメッセージ

社会科学には「正解」はありません。平和構築においても、何が紛争後の安定につながるのかは政治・経済・社会状況で異なりますし、専門家の間でも意見が違うこともあります。平和や安定に特効薬はないのです。これは人生全般に当てはまることです。何を勉強したら志望大学に合格できるのか、希望の企業に就職できるのか、誰と結婚したら幸せになるのか、「正解」はありません。ですから簡単に「正解」を求めるのでなく、たくさん悩み、考えましょう。国際関係学部での学びが、単に知識の習得ではなく、「正解」のない人生を歩んでいくための「生きる力」になることを願っています。