理学部の宇宙物理・気象学科の学生を対象とした、理学部専門科目「宇宙観測・解析実習」(担当:岸本 真 教授、米原 厚憲 教授)の講義が行われました。授業は観測分野と解析分野に分かれており、本稿では解析分野の講義に焦点を当てます。解析に用いたプログラミング言語はPythonで、岸本教授の解説や誘導を聞いた後、学生同士で助け合いながら学習していました。
(学生ライター 理学部 2年次 濱口 志保)
この授業では、データ解析を通じて宇宙物理学データ処理の基礎を学びます。
具体的には、星団の中の1000個近くの星の明るさと色を正確に測って、星団の年齢や、どのくらい重元素があるかを推定しています。そのために各自、神山天文台を使って、どの星団をどんな精度で観測するかという観測計画を立てます。その際、既存の天文ソフトウェアを使うのではなく、Pythonを用いて自らコンピュータプログラムを書くことで、自分がやりたい解析をいかに実現するかを学びます。「まずサイエンスの目標があり、これにはどんな観測が必要かを考え、観測の計画を立て、観測を実行し、そのデータを懸命に解析して、結果をサイエンス論文にまとめる」という、観測宇宙物理学の研究者たちが行う一連の作業を、そのまま全部体験する講義内容です。
講義回毎に、観測時間見積りを行う、星の明るさを測定する、星を検出する、などのテーマに沿って、段階的に解析のためのプログラムを完成させていきます。取材時の講義(第9回)のテーマは、「データ保存と読み込みの関数を書く」でした。解析はPythonを立ち上げたその日中に終わるようなものではなく、何日かかけて、つまり何回か起動しなおして少しずつ行うため、解析プロセスを保存したり読み込んだりする必要があります。イメージは読書と同じです。本は何日かに分けて読み進めますが、通常、2日目に最初のページから読み返すことはありません。1日目の内容は頭の中に記憶されており、2日目にそれを思い出しながら続きを読んでいくはずです。解析の場合、記憶の役割をしてくれる存在「ファイル」を自ら作り出す必要があります。これを、関数を使って行うことが今回の講義の目的です。学生たちは岸本教授の話を聞きながら、それに対応するプログラムの具体的な内容を自分たちで考え、その内容をパソコンに打ち込み、主体的に学んでいました。時々ヒントをもらったり、周りの人と相談したりして、真剣な様子で取り組んでいました
3年次生の講義だったので難しく感じました。ですが、先生方やサポートしてくれる学生が適宜様子を確認のうえ、その時々していることを教えてくれたので、安心して学習することができました。また、仲間と協力する姿を見て、来年は友人たちと一緒に乗り越えようと積極的な気持ちになりました。