2025年6月7日、文化学部京都文化学科「京都文化演習Ⅰ」(担当:吉野 秋二教授、受講生14人)で、奈良県奈良市の春日大社・東大寺・興福寺と周辺地域の踏査を実施しました。踏査前には2回の授業で、対象寺社の歴史、文化財などについて担当班を決め、事前発表を行いました。
当日は、まず春日大社を訪れました。768年に称徳天皇の勅命により建てられ、特に3月13日の春日祭が有名です。二之鳥居付近に集合後、事前準備資料を参照しながら、担当班の学生を中心に、本殿・拝殿・鳥居など建造物の状況を観察しました。春日大社は、中近世の絵画資料が多数残されています。それらを参照しながら、時代毎の建造物の特徴と変化を議論しました。

続いて東大寺境内に入り、南大門を経て、大仏殿に向かいました。本尊は世界最大級の金剛仏で、大仏を安置する大仏殿とともに国宝に指定されています。ただし、現在の大仏殿は三代目で、創建当初のものと比べると規模が縮小されています。担当班の学生の案内で、大仏殿や大仏の規模・形態の変化などを絵画資料と対照しつつ観察しました。


その後、塔跡などを確認しながら二月堂へ向かいました。二月堂では、毎年3月「お水取り」として知られる修二会が行われ、石段には唐草文や亀甲文など多様な文様が刻まれています。二月堂上で休憩をとりつつ、奈良市と生駒山を一望し、東大寺境内の全体的状況を俯瞰しました。二月堂を下りた後は、講堂跡、正倉院などを横目で見ながら、転害門を見学、東大寺を後にしました。
最後に多聞城跡、聖武天皇陵などを経て、興福寺に移動し、東金堂・西金堂の仏像などを具に観察しました。興福寺境内は五重塔など堂塔の修繕、復元整備が進められています。それらを確認して踏査を締めくくりました。
担当班の学生は、踏査の成果を深掘りして、学期末提出レポートにまとめることになります。