先輩の学び(宇宙物理・気象学科)
火星の気象現象の研究をきっかけに太陽系の起源に迫る研究に邁進。
中学時代に教科書で「ビッグバン」のコラムを読んで以来、宇宙へのあこがれを募らせていました。この学科に入学したことで、研究者になって太陽系の起源を解明したいという夢が膨らんでいきました。
そんな自分の夢に一気に近づいたのが「宇宙物理・気象学PBL演習」です。この演習の最大の特長は、最終目標が学会での発表であるということです。私はNASAの火星探査機のデータから、火星で一定の風速が7日周期で観測される現象を発見。この謎の解明をテーマに、学生3人で1年がかりで研究に取り組みました。研究にはPythonを用いたプログラミングやデータ分析など、データサイエンスの知識や技術を実践しました。仮説と検証を重ねた末「ケルビン波の影響が強く、地球の気象学の理論でも説明可能な現象である」ことを突き止めました。そして4年次の5月、世界中から研究者が集まる学会でポスター発表を行いました。
研究に役立つ高度な分析スキルが身に付き、火星と地球の類似性を証明する1つの結論を導き出すことができたのは、宇宙物理に加えてデータサイエンスにも精通した先生の心強いサポートがあったからこそ。学部生でありながら学会発表のプロセスをすべて経験したおかげで、研究者になる夢に大きく前進できました。卒業研究では、彗星の周期を比較して太陽系の起源を探る手掛かりを見つけたいと考えています。演習の経験、データ分析の力を生かして、精度の高い研究に仕上げたいと思います。
宇宙物理・気象学科 4年次
中野 瑛理香さん
※掲載内容は取材当時のものです。
目に映らないものを“見る”という喜び。
夜中に家を抜け出して、流星群を観察した中学校時代。宇宙について専門的に学びたいという思いをずっと抱いていました。「教授1人当たりに対する学生の人数が少ない大学を選びなさい」という高校時代の恩師の助言通り、京都産業大学を選んだおかげで、密度の濃い学びができています。
学部内で学べるテーマが多く、授業では各々好きな天体を観測し、そのデータを解析するなど充実した学びができました。私の場合は宇宙だけでなく、気象についての授業も履修することができたので、好奇心を存分に満たすことができました。自分が突き詰めたい研究テーマを見定めるためにも、幅広い分野の知識は役立つはずです。
3年次になってから注力しているのは、「人の目で感知できる範囲を超えた光」をプログラミングで解析して、観測した天体を解析するという研究。目には映らない光を頼りに温度や色、質量などの情報を得て、天体の本質に迫っています。私立大学最大の望遠鏡を備えた環境で、研究に没頭できることが嬉しいです。
宇宙と気象のことを学んで、世界は見えているものがすべてではないことに気付きました。観測する視点が変わると、世界の見え方は全く違ってくる。宇宙物理の学びによって、専門的な知識を得るだけでなく、日常生活での考え方まで視野が広がったように思います。
これからは宇宙の分野に集中して学びを深めていきます。今まで学んできた気象の視点からも宇宙の事象と向き合えば、人とは違った考え方ができるかもしれません。まだまだ先へと続いている学びの道で、どんな気付きや出合いが待っているのかワクワクしています。
宇宙物理・気象学科 3年次
石野 颯さん
※掲載内容は取材当時のものです。
いつか宇宙に手が届く。
宇宙や気象の学びに専門的に取り組める大学・学科はとても希少です。多くの大学では理学部の中にひとまとめにされていて、最初から触れるような学びではありません。
でも宇宙物理・気象学科では全ての学びが「空の向こう」につながっています。1、2年次には根本にある数学と物理をガッチリやるのは、おそらく他大学と変わりませんが、教えてくれるのが宇宙物理にガッチリと専門的に関わる先生なので、授業の中でも頻繁に宇宙の話が登場してくるのです。
「この法則は、宇宙で起きているこういう現象を説明するのにも使える」と、授業の端々で聞かせてくれるだけでテンションが上がります。しかも1年次より2年次、2年次より3年次というふうに、宇宙の話題が登場する頻度も上がってきて、「本当に宇宙が近づいてきたな」という実感が湧きます。
何より、1、2年次には「これ何に使うんだろう?」と思っていた学びが突然、重要な位置づけで出てきたりするのです。例えるなら、河原でなんとなく集めてきた石が、いつの間にか光っていたり、宝石になっていくような。学んできたことが、先々で実を結ぶような感覚があります。
こういう感動が、宇宙に関わる学びが本格化するにつれてどんどん出てくる。だから最初は夢中で石を拾っていい。それが後から面白いものに変わっていく。それが宇宙物理・気象学科で学ぶ醍醐味だと思います。
ちなみにこの大学には、もう一つ大きな魅力があります。理学部の建物に入るとき、東の空を見ると天文台が見えるのです。「自分は今、大好きな宇宙に関わる学びができている」そんな実感が自然と湧いてきます。
宇宙物理・気象学科 3年次
小牧 誠人さん
※掲載内容は取材当時のものです。
災害発生の糸口をつかみたい。
雷雨とか台風とか、いわゆる「荒れた天気」が昔から好きでした。高校生になって進路を決める頃になると、「やっぱり気象を勉強したい」という気持ちが強くなって宇宙物理・気象学科へ進学しました。
1年次から数学と物理の基礎を徹底的に学び、年次が上がるにつれて気象の専門的な学びができるようになり、4年次になった今は「ダウンバースト」の研究を進めています。
ダウンバーストというのは、突発的に起きる下降気流で、ときには飛行機を墜落させたり、家をペシャンコにすることもあるほど危険な現象ですが、興味深いのはダウンバーストの発生条件がいまだに特定できていないという点です。
どんな気象条件が重なるとダウンバーストが起きやすいか、どんな地形や地域で発生しやすいかという解明がまだされていない。今後は国内外の様々な発生事例を集めて分析し、事前予測の糸口を掴めたらと思っています。
気象学の中では、気象と人間の関わりや気象災害なども扱っていきます。そこで学ぶのは、人間にとって理不尽にも見える台風やダウンバーストなどの現象は「ただそこにあるもの」ということです。その認識に立ったうえで「じゃあどうやって付き合って行くか」を考えなければいけない。
私が研究しているダウンバーストも、事前予測はできなくても「発生を検知する」ことは可能です。局所的な事象でもあるので、全国の飛行場ではダウンバーストが発生したら、そこを迂回したり発着を遅らせる対策がされています。
完全に解明されていない災害でも、やり方を考えれば乗り切れる。気象学とは古くから人類が空を見上げ、積み上げてきた「生きぬく知恵」ともいえるもの。それは「今の最適解を見つけて前に進む知恵」と言い換えられる気もします。
宇宙物理・気象学科 4年次
三枝 桃子さん
※掲載内容は取材当時のものです。
数学や物理学の数式を土台に、
球状星団の推定年齢を導く。
数学や物理学の授業でひたすら数式と格闘する。1・2年次で基礎を身に付けていく期間は“試練”のイメージでした。
そんな印象をガラリと変えたのが、3年次の春学期に履修した「宇宙観測・解析実習」。球状星団を自分たちで観測し、観測データの処理や解析の方法を、プログラミングを通して修得する授業です。プログラミングは単に情報をパソコンに打ち込むだけでなく、内容や役割を理解した上で目的へ到達するまでの道筋を描いていく作業。完成したシステムを実際に動かして、エラーが出たら原因を探る。その繰り返しです。
このときの目的は「球状星団の年齢の推定」。推定年齢を打ち出すためのグラフが完成した時の達成感は、今でも忘れられません。プログラミングに必要な数式を組み立てるのも結局は人間。ここにきてようやく1・2年次で学んだ数学や物理の数式が生きていることに気付きました。“試練の時期”は決して無駄ではありませんでした。
ロケットを宇宙へ飛ばす背景に計り知れない量の数式や計算があるように、数学や物理学への確かな理解を積み重ねていったからこそ、球状星団の年齢を推定するためのシステムを構築できました。宇宙物理や気象学のロマンとリアルの両方を実感できたことが、学生生活最大の収穫だったと思います。
宇宙物理・気象学科 4年次
村山 望来さん
※掲載内容は取材当時のものです。