先輩の学び(物理科学科)

先輩の学び

放射線に秘められた可能性を探究したい。

高校時代に学んだ「ニュートンのゆりかご」がきっかけで物理への関心が深まりました。5球の振り子の不思議な動きを見て、どのような理論で動いているのか詳しく知りたいと思ったのです。物理科学科を選んだのは、多くの実験科目が整っているカリキュラムに惹かれたからでした。この学科は先生との距離が近く、実験や研究で行き詰まると改善のヒントもたくさん得られます。自分の興味をとことん突き詰められる環境で、毎日物理の世界に没頭しています。
研究室では「宇宙線」という宇宙から降り注ぐ放射線の検出・分析に取り組んでいます。プラスチックシンチレータという観測用の検出器に宇宙線が当たると、観測装置のモニター上で波形が揺れて数字が表示され「宇宙から来た!」とロマンを感じます。特に興味深いのが、放射線の活用方法の研究。例えば宇宙線を構成する成分の1つである「ミュー粒子」は、物質を透過する性質を持っています。この性質を利用すれば、巨大な構造物の内部を探ることが可能です。山の水脈の位置を見つけて土砂災害を未然に防いだり、ピラミッドの遺跡調査に利用して世紀の大発見につなげたりと、さまざまな分野に貢献できる可能性を秘めているのです。私は研究を通じて、放射線や素粒子の研究の成果を社会に役立てたいという大きな目標ができました。自分の研究がどんな未来につながるか、今からワクワクが止まりません。
 

物理科学科 4年次
恒光 凜花さん

※掲載内容は取材当時のものです。

先輩の学び

目に見えないものを見る物理。

「すべての自然現象は物理で説明することができる」。この言葉に惹かれ、物理の道に進むことを決めました。高校時代に習う物理は公式を覚えて問題を解くことがメインでしたが、大学では理論を学び、問題を解き、実際に体験することができるので、新鮮な驚きにたくさん遭遇しています。

具体的には、1、2年次は幅広く数学と物理の基礎と理論を学ぶことで、知識を得るだけでなく、物理的なものの見方や考え方を身につけていきます。3年次からは、興味のある分野を掘り下げながら、実験を通して、物質の性質や法則を検証していきます。それを通じて、これまでは触れることもなかった量子力学の世界が私の目の前に開け、楽しみがより深まっています。実験でデジタル分光器を使って光を分析したときは、原子のナトリウムの発光が含まれていることを知り、本当に驚きました。

目に見えないものを見る・理解することができるのが、物理学の醍醐味。「物理を勉強したい」と強く思う人が、物理をとことん楽しめる、そういう場がこの大学にはあると思っています。

物理科学科 3年次
村田 映世さん

※掲載内容は取材当時のものです。

先輩の学び

物理学の学びに没頭したい。

物理科学科のカリキュラムは1、2年次は数学・物理学の基礎、3年次から応用を学び、4年次から自身の研究に没頭する——、段階的にステップアップできるようデザインされています。
特に1、2年次は「高校生の頃にやっていた数学・物理学をもう一度おさらいする」といわれますが、それは「単に同じことをやる」という意味ではありません。
登場する数式や法則内容は一緒でも、それがどういう成り立ちで生まれたか、どのように活用されているか、どの範囲まで証明・検証されているかなど数学や物理学を多面的に見て「使える」ようにする学びです。よく基礎的な数学や物理学は、ペンやノート、定規のように「学ぶために最低限必要な道具」と言われることがありますが、まさにそのイメージを実感しました。
高校の頃から物理が得意で、好きで入ってきた学科でしたが、この3年生までの学びの中で、物理学の成り立ちや関係性をショーウィンドウみたいに次々と総ざらいして見ることができたおかげで、私の中で本当に好きな物理学がどういうものであるかが見えてきました。それは「物理化学」という分野で、液体を扱うような物理の世界に惹かれています。
この3年間を経て感じるのは「この学びに没頭できる期間」は人生の宝物のような時間だなということ。
周りを見ても、「物理学をこんなに真剣に学ぶ人が沢山いるのか」と驚くほどで。一緒に問題を解いたり、「ぜんぜんわからない!」「わかった!!」を繰り返しているだけで楽しい。この学科は「物理学が好き」という気持ちがグングン加速する環境だと思います。
 

物理科学科 3年次
北村 彩香さん

※掲載内容は取材当時のものです。

先輩の学び

研究は「恋愛」に似ている。

高校の頃は「量子力学」を学びたくて物理科学科に入ったのですが、今は紆余曲折を経て「二重ベータ崩壊」の研究に取り組んでいます。
「二重」に「ベータ崩壊」するなんて、仰々しい名前ですが、実際にこの研究が進むと「今、我々がなぜ存在しているかが証明される」とも言われている世界的にも有名な研究です。
ただし、「二重ベータ崩壊」は研究者によって大きく2つの主張があります。研究では「物質で二重ベータ崩壊が起きるとき、例外的にニュートリノを出さない過程があるかどうかを観測」するのですが、このとき放出するニュートリノが「ディラック粒子」だと主張する人たちと、自分のように「マヨラナ粒子」だと信じている人がいて、それぞれで「二重ベータ崩壊」の研究を進めるための理論や実験方法が異なります。
そしてお互いが自分たちの信じるやり方でそれぞれ結果を出してやろうと世界中で競争しています。
私は「絶対にニュートリノはマヨナラ粒子だとしか考えられない!」と思ってますし、実験を進めていけば「やっぱりマヨナラ粒子ならこうなるよな」と確信を深めます。逆にもし「マヨナラ粒子じゃないかもしれない」という論文が出れば、きっと不安で仕方がないはずです。
こうして常に研究のことばかり考えることで、喜んだり、不安になってしまうという意味では「恋愛」にも似てるかもしれません。自分が信じる理論のために、全てを賭けて勝負する。こういう魅力的な研究テーマに出会えるからこそ、物理学の学びはやめられません。
 

物理科学科 4年次
三好 剛さん

※掲載内容は取材当時のものです。

先輩の学び

物の理を知ることで、見える景色が変わる。

物理は万物に通じるーー。それが、この学科で物理学と向き合って実感したことです。
僕は物理が得意なわけではなかったのですが、1・2年次で基礎や理論を学び、演習で課題を解き進める中でその面白さに目覚め、物理学の世界に強く引かれるようになりました。
特に、3年次からの統計力学の学びが大きな転機になったと思います。大学の物理は、力学、熱力学、電磁気学などの専門分野に細かく分類されているのですが、統計力学は全分野を網羅している学問で、いわば集大成的存在。学びの中で、「物の理(ことわり)」という名のとおり、物理学があらゆる分野に通じると考えるようになったんです。
一見すると物理とは関係がないようなことでも、モノの流れやヒトのマネジメントだって、実は物理の法則に即している。そう感じられたことで一気に視界が開けました。根源的だからこそ応用が利く、物理学の本質の一端をつかめた気がしています。

物理科学科 3年次
山田 祐太朗さん

※掲載内容は取材当時のものです。

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