教員紹介田中 立志

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田中 立志TANAKA TATSUSHI

理学部 数理科学科 教授

学位
博士(数理学)(九州大学)
専門分野
代数学

担当科目

数理科学特別研究Ⅰ、数理科学特別研究Ⅱ-1・2、代数学・幾何学ⅡX、代数学・幾何学ⅡY、代数学・幾何学演習ⅡA、代数学・幾何学演習ⅡB、応用線形代数学、代数学入門、数学研究の基礎、数学の拡がり

研究内容

多重ゼータ値代数やそれに関わる数学について研究しています。

これまでの4年生の特別研究(ゼミ)紹介

初等整数論、数え上げ組合せ論、解析数論、ゼータ関数論、保型形式論、超越数論などの基礎的内容を取り扱ってきました。英書を輪読することや、プログラミングをして計算実験してもらったこともありました。最終的にTeXを用いて卒業論文を書いてもらっています。

特別研究(ゼミ)テーマ・内容

多重ゼータ値、数論

ゼータ値とはおよそ、整数のべき乗の逆数の無限和を指します。その研究はオイラーやリーマンにはじまり、今では整数論のみならず、代数・解析・幾何・数理物理など多彩な方面から研究されています。崇高な理論的美しさがたくさんちりばめられています。


特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

ゼータと木をテーマにした数学の基礎研究

田中研究室の主たるテーマは数論です。学部生の間は、リーマンのゼータ関数やベルヌーイ数を学ぶケースが多いですが、ほかにも初等整数論、超越数論、保型形式、数え上げ組合せ論などをテキスト(※)に沿って学ぶことがあります。⼤学院⽣になると、荒川恒男 & ⾦⼦昌信『多重ゼータ値⼊門』を読破した後で徐々に本格的な「研究」へとシフトしていきます。⽥中研究室で修⼠号を取得した⼈は2023年6⽉現在で4⼈います。それぞれ優れた研究成果を挙げてくれました(※)
私自身の専らの研究テーマは多重ゼータ値の代数的理論です。リーマンゼータ値とは、リーマンゼータ関数の整数点での値のことで、正の整数のべき乗の逆数の無限和などのことを言います。1+1/2+1/3+1/4+1/5+…=∞、1+1/4+1/9+1/16+1/25+…=π^2/6、などです。このリーマンゼータ値を「多重化」と言われる一般化をしたものが多重ゼータ値です。かの有名なEuler(1707ー1783)も2重ゼータ値を研究していましたが、計算機が発達したのち、1990年頃から多重ゼータ値はとても盛んに調べられるようになりました。近年では、多重ゼータ値の研究は多様な広がりと奥深さを見せています。かく言う私も2017年ドイツに研究滞在している間に、多重ゼータ値と密接に関係する根付き木写像というものを新たに見つけました。学部生や大学院生のみなさんが多重ゼータ値や根付き木写像やその周辺分野に興味を抱き、その宝探しのような研究に参⼊してくれると嬉しく思います。

ゼミで過去に使用したテキスト

  • J.H. Silverman『A Friendly Introduction to Number Theory』
  • J.P. Serre『数論講義』
  • 荒川恒男、伊吹山知義、金子昌信『ベルヌーイ数とゼータ関数』
  • 成嶋弘『数え上げ組合せ論入門』
  • 塩川宇賢『無理数と超越数』
  • 小島定吉『離散構造』
  • 高木貞治『初等整数論講義』
  • Henrik Bachmann『Multiple zeta values and modular forms』

修士論文のタイトル

  • 『Wordの組み合わせ論的性質に関する研究』
  • 『双対公式導出問題とq-多重ゼータ値の積分表示について』
  • 『多重ゼータ値の山本積分の代数的解釈, およびt-多重L値の定義と代数的定式化』
  • 『多重ゼータ値の関係式の根付き木写像を用いた解釈と考察』

メッセージ

大学は自己を発見するいい機会だと思います。勉強するのはもちろん必要かつ重要なことですが、他のさまざまなことにも果敢にチャレンジしてみてください。向上心を忘れずにがんばりましょう。

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