教員紹介西道 啓博
担当科目
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プロフィール
2010年4月〜2013年3月 東京大学数物連携宇宙研究機構 日本学術振興会特別研究員
2013年4月〜2015年3月 パリ天体物理学研究所 日本学術振興会海外特別研究員
2015年4月〜2018年12月 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 特任助教
2019年1月〜2023年3月 京都大学基礎物理学研究所 特定准教授
2023年4月より現職
研究内容
特別研究※(ゼミ)テーマ・内容
ビッグデータ宇宙論
ダークマター、ダークエネルギー、インフレーションと言った宇宙論における未解決問題に、データ科学的側面からアプローチします。
銀河の大規模観測データや数値シミュレーションに、機械学習に代表される新しい方法論を融合することで、我々の住む宇宙についてより深く理解することが目標です。
※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。
理論とデータの融合で、未知の宇宙を解き明かす
私たちの住む宇宙の約95%はダークエネルギー、ダークマターと呼ばれる未解明の存在が担っています。物理法則、コンピュータシミュレーション、そして実際の宇宙の観測を通じて得られたデータを照らし合わせることで、宇宙を支配する基本原理を解き明かすことを目指すのが「観測的宇宙論」です。近年は特にデータサイエンスの手法を活用して、広大な宇宙から得られたデータから何を測定し、どのように解析すべきなのか、その結果、何がわかるのかを明らかにする研究に注力しています。コンピュータシミュレーションを行えば、特定の宇宙論モデルのもとで、どのような宇宙が実現するのかを予測可能です。しかし、シミュレーションされた宇宙と観測可能な実際の宇宙を比較して、どのような宇宙像がより現実に適合するのか議論するには統計の知識が欠かせません。近年急速に発展を見せているAI技術は、宇宙論の景色を一変させる可能性を秘めています。
研究室では、難解な数式や複雑なプログラムを読み書きし、ビックデータの分析に取り組みます。AIが最先端だから取り入れるのではなく、宇宙ビックデータの解析に本当に有用なAIの活用法を探求し、実践しています。研究者になると、社会的に不安定になるのではと心配する人もいるかもしれませんが、研究を通して養われるこうしたスキルは、宇宙論に限らず幅広い分野で必要とされています。当分野では、すばる望遠鏡による大型観測プロジェクトで日本が存在感を高めており、満点の星が降るように押し寄せる膨大なデータを適切に処理する新しい方法論の開発に携わることで、宇宙論分野で世界をリードすると同時により幅広く、データ科学のフロントランナーとして活躍するための素養を身に付けることができます。
膨大な情報が氾濫する今の時代、研究室の学生には、科学的な目で世界を見て、批判的に分析する姿勢を大切にしてほしいと思います。将来を杞憂することなく、やりたい研究にどっぷりつかって、理系の最先端を担える人物を目指してください。