金光 淳

KANAMITSU JUN
現代社会学部 現代社会学科 教授
学位
文学修士 MA in Sociology
専門分野
数理社会学、経済社会学、計量文化学、観光学

研究テーマ

社会ネットワーク分析を利用した現代アートの計量と実践

高校生に向けた研究内容の紹介

社会の常識を疑う現代アートは、美術館で感動を与える鑑賞物というだけではなく、社会の見方の転換する「アート・パワー」を持ちます。このような現代アートが現代の混乱する社会において果たしている役割について研究しています。現代アートを構成する「アート・ワールド」はアーチスト、美術館、画廊、鑑賞者、批評家、企業、地方自治体などの多様なアクターから構成されますが、そのメカニズムを美術館の前での社会調査やメールアートの社会実験を含めて多様に研究しています。

ゼミナール/研究室のテーマ

さまざまな研究方法を利用した現代アートによる社会との関わり方、
現代アートの社会変革を促進する役割の研究

アート・フェスティバルは、アーティスト、鑑賞者、企業など多様なアクターを巻き込み、社会関係資本を創出しながら社会を変革するパワーを有しています。ゼミではフィールド調査により、写真によるヴィジュアル調査法やインスタグラムの解析、社会ネットワーク分析といったユニークな方法を使って、これにアプローチしていきます。

ゼミ/卒業研究の紹介

廃棄物の不法投棄の「負の遺産」を持つ瀬戸内・豊島(てしま)の豊島美術館は西沢立衛によるエッグ・ドーム状の白く美しい美術館です。天井に2つの大きな穴の空いた美術館の内部は広い空洞で、水滴が床から湧き出してくる構造です。この美しい美術館の前でその鑑賞者に対して、昔の「廃棄物の水たまりの生々しい写真」を見せる前と後で、豊島美術館のイメージがどのように変化するのかを実験的に調査しました。大きな認知展開を発見したこのような美学実験調査方法は、実社会の諸問題に対処する際にも極めて有用でしょう。

プロフィール

東京の下町から京都に越してきて17年が経ちますが、何でもすぐ近くにある京都の中心部での快適な生活をエンジョイしてます。休日は散歩して古本を買ったり、京都や大阪、出張先の東京で現代アート展が開催されている美術館に出かけます。30年以上のMacユーザーで、歴代のMacは50台以上、歴代iPadは15台、現役でも複数台使用しています。もちろんAppleWatchとiPhoneもいつも携帯し、100メートルもない近所にあるApple Storeにも足繁く通います。外国人店員と気軽に英会話しています(笑)。

高校生へのメッセージ

1)どんな研究も教授が全て手取り足取り教えてくれるわけではないので、最終的には独学が重要になります。独学し続ける覚悟を持ちましょう。2)文系や理系という分類は全く無意味です。現在この「壁」は極めて邪魔になっています。3)データサイエンスやAIは、いかにうまく活用するかが今後の明暗を分けますので、どの学部に行っても積極的に勉強しましょう。4)現代アートは、知的な文化資本の形成です。現在の我々の生の様態を見せ、考えさせてくれるものだからです。現代アートの教養なしにはこれからのサイエンスもありません。どの学部に行っても積極的に鑑賞し、知識を増やしましょう。総じてSTEAM(Science, Technology ,Engineering, Art, Mathematics)と言われますが、各領域を全部勉強する無理なので、バランスよく必要な部分だけ選んで組み合わせ、自分なりのSTEAMを「資本」として形成していくことが重要です。まずは自分が好きな分野から「資本形成」を始めましょう。