教員紹介金光 淳

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金光 淳KANAMITSU JUN

現代社会学部 現代社会学科 教授

学位
シカゴ大学修士
専門分野
数理社会学、経済社会学、計量文化学、観光学

研究テーマ

経済、文化現象の社会ネットワーク分析
企業ネットワークから都市ブランド、現代アーチストのネットワーク、芸能界の社会ネットワーク分析まで、あらゆる社会ネットワークの分析 
 

今年度の担当科目

データ分析、メディア社会学、社会統計学、リーダーシップ入門、産業社会学、社会ネットワーク論、現代社会の諸問題B、入門演習、演習、

プロフィール

経営学と社会学の二刀流の研究者です。世界の社会学の中心、シカゴ大学大学院の社会学の課程で学びました。社会学に関する理論、手法を徹底的に研究し、どんな問題にも対処できます。批判的精神とユーモアに溢れた研究者です。

学生へのメッセージ

どんな研究も教授が全て手取り足取り教えてくれるわけではないので、最終的には独学が重要になります。独学し続ける覚悟を持ちましょう。今は独学の時代です。2)文系や理系という分類は全く無意味です。現在この「壁」は極めて邪魔になっています。学部の選択は柔軟に考えましょう。3)データサイエンスやAIは、いかにうまく活用するかが今後の明暗を分けますので、どの学部に行っても積極的に勉強しましょう。4)現代アートは、知的な文化資本の形成です。現在の我々の生の様態を見せ、考えさせてくれるものだからです。現代アートの教養なしにはこれからのサイエンスもありません。どの学部に行っても積極的に鑑賞し、知識を増やしましょう。
総じてSTEAM(Science, Technology ,Engineering, Art, Mathematics)と言われますが、各領域を全部勉強する無理なので、バランスよく必要な部分だけ選んで組み合わせ、自分なりのSTEAMを「資本」として形成していくことが重要です。まずは自分が好きな分野から「資本形成」を始めましょう。
 

ネットワーク分析の手法で、あらゆる社会、文化現象を分析する

 社会ネットワークモデルという数理モデルを使って、様々な社会現象を解析すること=社会ネットワーク分析が専門です。社会学では「数理社会学」に分類されます。この考え方は、全てを<点と線のつながり>に置き換えてデータを収集し、グラフ理論という離散数学のモデルで解析する手法です。
例を挙げて説明しましょう。例えば、あなたがロック好きで、ロックの深い世界を研究するとします。特に自分もその一員である特定のロックグループXのファン(ファンダム)の研究をするとします。以前はこのような研究は少数の質的なデータ、たとえばファンに関するインタビュー調査や質問紙調査で取るしかありませんでした。社会ネットワーク分析では全く異なったアプローチを取ります。ロックファンAが、ロックグループXの出演するロックイベントBに参加する場合、A-B, X-B, A-Xの辺から構成される「三角形」と考えます。それぞれの辺は、<ファンAとイベントBへの参加>、<グループXのイベントBへの出演>、<ファンAのグループBのファンクラブ所属>を表します。ここでAのロックファン(フェスの観客でもある)は、ファンの集合要素で、Bのロックイベントは、イベントの集合、同じようにXはロック・グループの集合の要素でもあります。つまり集合の要素の数だけ、辺ができるので、それを組み合わせて複雑なネットワークが構築できます。夏には多くのイベント=フェスが開催され、多くのグループがフェスに参加します。このようにしてネットワークは複雑な「図形」=グラフとして、数学的に解析できます。例えば、どのロックグループが中心的であるとか、どのフェスが中心的であるとか、どのロックグループ(フェス)とどのロックグループ(フェス)が似たようなパターンをしているか、クラスター構造はどのようになっているか、というようなことが測定できます。本当はロックグループのファンがどのイベントに参加しているかという正確なデータがほしいところですが、この種のデータを集めるのは困難なので(一部ならば会場で質問すればわかるかもしれません。)その代わりファンが会場でどのように呟いているかというようなデータ、つまりTwitterデータを集めることである程度把握できます。さらにロックアーチストが、どのレーベルに所属しているのか、ロックアーチスト同士の影響関係などのデータなどの情報は、雑誌のインタビューなどから取りやすいので、この方面からも接近できます。このように社会ネットワーク分析は、一部Twitterなどのビックデータなどを利用して、多次元的なデータからアプローチして関係性のデータを収集し、ロックを取り巻く世界を可視化してモデル化するのです。ちなみにニック・クロスリーという英国の研究者は、英国のパンクロックの世界を、「ミュージック・ワールド」と名付け、社会ネットワークとして研究しました。かつて人文科学の独占物と思われた文化現象も、今やこのように計量化されて分析されているのです。
 

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