研究テーマ
先端生命科学科
がん細胞の種(たね)と考えられている「がん幹細胞」に着目し、この種細胞を狙い撃ちする新しいがん治療法の開発研究を行っています。また、老化で失われやすいヒアルロン酸の合成を補強する医薬品や機能性食品の開発を通じて、アンチエイジングへの技術展開を進めています。
生命現象を担うタンパク質にも、生まれて(合成)から、成熟し、死ぬ(分解)までの“一生”があり、細胞にはその一生を見守るためのタンパク質品質管理が備わっています。我々は、この巧妙な品質管理のメカニズムをひもとくことで、細胞が持つ複雑な恒常性維持機構の解明に挑戦します。
細胞がミトコンドリアをつくるしくみ
遠藤 斗志也 教授
ミトコンドリアは生命活動に必要なエネルギーを作り出す細胞内小器官で、老化、病気、健康維持との関係も注目されています。ミトコンドリアはどうやってつくられ、正しく働けるようになるのか、タンパク質や脂質の交通、機能発現のしくみを研究します。
心と体をつなぐ情動系神経回路のしくみ
加藤 啓子 教授
糖タンパク質にシアル酸を付加するシアル酸転移酵素は、難治てんかんに移行しやすい「側頭葉てんかん」を発症する原因分子です。この酵素遺伝子を欠損したマウスは、うつ・不安障害を発症します。発症原因を明らかにし、臨床応用に結びつけることを目指して研究を進めています。
植物体内や表面に生息し、さまざまな働きかけを行う植物共生菌。それらを主とする環境微生物の遺伝子構成多様性に関するゲノム情報を整備し、植物共生菌株間のゲノム構造を基盤とした研究を進め、遺伝情報と共生形質の関連性を明らかにします。
細胞が死ぬしくみとその意味を探る
川根 公樹 准教授
私たちの体では毎日3,000億もの細胞が誕生し、同じだけの数の細胞が死んでいます。寿命を迎えて死ぬ細胞、ほかの細胞に殺される細胞など、細胞死は体の健康を支え、細胞死の不足や過剰により病気が発症します。この細胞死のしくみと役割を探ります。
植物野生集団を用いて、染色体構造がDNA変異に及ぼす 影響について解析を進めています。染色体構造そのものに 影響を起こすような現象の進化的な変化や、自然選択の影 響についてDNA配列の変化とその機能的意義を解明しよ うとしています。
タンパク質分子が機能を獲得するために大切な糖鎖の付 加反応。私たちは神経細胞にだけ起こるタンパク質への糖 付加反応を見いだし、さらにその反応を触媒する酵素がモ デル生物の胚発生において、脳、特に後脳ができる過程に 重要であることを明らかにしています。
我々ヒトや動物の内臓器官は左右非対称です。胚発生にお いて内臓器官も初めは左右対称にできますが、その後に左 右非対称に形が変化して完成します。このような内臓器官 が左右非対称にできるしくみを、ノックアウトマウスやトラ ンスジェニックマウスを用いて解析します。
野鳥が持っているインフルエンザウイルスは、ヒトには感染 しません。しかし、ヒトの間で流行したウイルスは、野鳥のウ イルスが変異し、ヒトへ感染できるようになりました。新型 ウイルスの出現予測のため、どのような変異によってヒトへ の感染性を獲得できるのかを解析しています。
ミツバチは、野生から農作物までさまざまな植物の授粉を しています。そのため農業でも欠かすことのできない有用な 生物資源です。このミツバチを安全に利用するため、行動を 制御している遺伝子を解析し、DNA育種法により刺さない ミツバチ品種の開発を行っています。
腸の運動はさまざまな神経やホルモンにより複雑に制御さ れているため、その全容はいまだに明らかにされていません。 この点を明らかにすることにより、腸の運動異常によって引 き起こされる過敏性腸症候群の病態解明やその治療薬の 開発につなげることを最終目的として研究を行っています。
生命活動の主要な担い手であるタンパク質。遺伝子に描か れた設計図どおりに生体内でタンパク質を合成する過程は、 生物が生きていくための最初の重要なプロセスです。タン パク質が合成され、機能の発現にいたる過程を研究し、生 命の不思議に迫ります。
生命活動の主要な担い手であるタンパク質。遺伝子に描か れた設計図どおりに生体内でタンパク質を合成する過程は、 生物が生きていくための最初の重要なプロセスです。タン パク質が合成され、機能の発現にいたる過程を研究し、生 命の不思議に迫ります。
ゴルジ体は平たい袋が積み重なった不思議な形の細胞小 器官です。近年明らかになりつつあるゴルジ体の形や配置 を決めるしくみを理解し、操ることで細胞の極性や運動方 向・増殖を制御し、臓器不全やがんの治療に役立てることを 目指して研究を進めています。
私たちは知らないうちに微生物の一員であるウイルスに感 染し、時にそれが原因で病気になります。ウイルスが感染す るとなぜ病気になるのでしょうか?ヒトや動物に神経病を 引き起こすボルナ病ウイルスに着目し、発病のメカニズムと 予防法を明らかにすることを目的に研究しています。
遺伝学・発生生物学の優れたモデルであるゼブラフィッシュ と、次世代シークエンスという最先端の研究手法を組み合 わせ、「生命がRNAを制御する原理」についての基礎研究 を行っています。将来ヒトの疾患の治療や原因解明につな がるかもしれません。
植物の光合成で大切な役割を担うオルガネラである葉緑体 が、どのように昼夜の劇的な環境変化に対応し、細胞内の 代謝を調節しているのか。レドックス制御ネットワークとい う観点からそのしくみを理解します。
すべての生命がエネルギー源として使うATPは、細胞外に 出てシグナル物質としても働きます。ATPを作る、使う、通す、 感じる膜タンパク質の機能や構造を明らかにし、ATPが関 わる生命現象を分子レベル、時には個体レベルで探ります。
産業生命科学科
iPS細胞やゲノム編集といった生命科学の革新技術は、生 命現象の理解を進めると同時に、ヒトの生殖細胞作出や受 精卵の遺伝子操作への懸念といった社会的課題もうみだ します。発展する生命科学の社会的・文化的側面に着目し、 社会との情報共有や議論の在り方を検討します。
移動することができない植物は、環境の変化を機敏に感じ 取り応答します。環境変化で葉の形を変える植物などに着 目して、植物と環境の関係について研究しています。また、科 学の楽しさを伝えるサイエンスコミュニケーションや、理科 教育についての研究や実践も行っています。
両生類アフリカツメガエル卵細胞の形成と成熟および受 精による発生開始をテーマに、細胞膜タンパク質を中心と するシグナル伝達機構を研究しています。また、問いを創る 学び場ハテナソンの設計と学内外実践を通して、生命科学 と社会の対話について研究しています。
地域生産物の付加価値化や地域内資源循環などをテーマ に、農作物の生産・消費フローを、地域特性や人々の結びつ きも踏まえて解明します。また関連する制度・政策の効果や 課題を検証し、食農を支える社会システムの在り方につい て検討していきます。
動物と人の双方に感染する細菌は、人獣共通感染症などを 引き起こす可能性があります。同じ病原体が引き起こす疾 病であっても、人と動物ではその症状が異なることがありま す。この研究室では、これらの細菌が、どのようなしくみで人 や動物に感染し、病気を引き起こすのかを研究しています。
タバコやレタスの葉緑体ゲノム(DNA)へ新しい遺伝子を 導入し、ストレスに強い植物や機能性を高めた植物を作出 する研究をしています。また、ダイコンやコムギのミトコンド リアゲノムにある雄性不稔原因遺伝子の働きや進化につい ても研究しています。
自然環境は守られる存在であり、活かされる資源。人口減少で生じる森林や農地など未利用の空間や、革新的な技術で生まれる生物資源を積極的に活用することで、異常気象に対する防災・減災、地域経済の活性化、地球環境問題の解決を同時に実現させる研究に取り組みます。
現在、日本では約1,000頭の盲導犬が活躍していますが、盲 導犬の利用を希望する人は3,000人を超えると推定されて おり、盲導犬が不足しています。そこで、遺伝学の技術を応 用して、効率的に盲導犬を生産するラブラドールレトリー バーの系統を作出するための研究を進めています。
病原体をヒトや動物に感染させ病気を引き起こす蚊やダニ などの節足動物。私たちの身の回りにどれだけ存在し、どん な病原体を保有しているかをマクロのレベルで調査し、病 原体の感染経路や感染メカニズムについてミクロのレベル で研究しています。