大学院進学者インタビュー

先輩たちに聞く!大学4年間の成長ストーリー

前嶋 叡 さん

コツコツと積み重ねた研究の成果が
新薬の開発・医療の発展に役立つ日を夢見て

「京都」と「理系」、たった2つのキーワードで生命科学部を選んだ私が大学院に進学したいと考えたのは、努力の結果が数字となって目に見える研究の楽しさに魅了されたからです。研究材料に事欠かない京都産業大学周辺の自然環境も研究を続けようと考えた理由の1つ。学部生の時から、頻繁に研究対象生物を捕まえるフィールドワークを行ってきました。
私の研究テーマは「日本脳炎ウイルスの細胞吸着のメカニズムの解析」。日本脳炎ウイルスのタンパク質を用いて、ウイルスの吸着に関与する細胞のタンパク質を分析し、ウイルスの感染メカニズムを解析しています。発症率が高くない日本脳炎も、実は罹患すると致死率が20%に及ぶ恐ろしい病気。未だ特異的な治療法がなく、現在の医療ではワクチンで予防するしかない状況です。私の研究でそのメカニズムが解析できれば、有効な検査法や治療法の開発に貢献できるかもしれない。また、海外で症例が確認されている同種ウイルスにも応用できるかも知れません。
研究には苦労や困難がつきもので、時に失敗したり、壁にぶつかったりします。でも諦めなければ、新たな可能性が開けるはず。新薬の開発や医療の発展に貢献するという高い志を持って、この先も挑み続けます。

生命科学研究科 1年次
前嶋 叡 さん

※掲載内容は取材当時のものです。

松浦 沙耶 さん

夢は研究職——
自分の将来を見据え、その覚悟を問うために。

化粧品の研究開発に関わりたい。大学院に進んだのは、そのための知識や技術を身に付けることが目的です。同時に「本当に研究職が向いているのか?」を見極めるためでもありました。
大学院では、これまでの4年間で得た知識を駆使して研究の方法や進め方をイチから自分で考えます。今は早老症のマウスの毛の生え方について研究していますが、予想以上に失敗ばかり。単なる技術不足なのか、そもそもの仮説や方法が間違っているのか。掘り下げるほど今の自分に足りないものが見えてきます。
この世界で自分がどこまで通用するか。手を止めずに試行錯誤しながら、将来への覚悟を問い続けていく。この2年間は社会に出る前の自分を一新する、厳しいけれど贅沢な学びの時間なのだと思います。

生命科学研究科 2年次
松浦 沙耶 さん

※掲載内容は取材当時のものです。

和田 匠太 さん

世界初の実験に成功! より高度な研究の先に、自分だけの景色が広がる。

「もし選択肢が2つあるなら、面白い方を選べ」4年次で就職か研究か迷っていたとき、先生にかけられたこの一言が忘れられません。
企業で働くことも、大学で研究を続けることも、中途半端な気持ちでは続かない。「じゃあ、心から面白いと思うのは何だ?」そう突き付けられて、研究が何より好きだと自覚しました。
今は学部時代から続けている「タンパク質の品質管理」に関わる研究を行っています。大学院へ進学してすぐに、世界で初めて成功した実験があり、その結果を手掛かりに研究を進めているところです。
大学と大学院の大きな違いは、先生の教えをとにかく吸収していく「インプット主体の学び」か、自分で考えた仮説を実証していくような「アウトプット主体の学び」かという根本的なところにあります。実験を続けて得た結果をAでもない、Bでもない、Cでもないと可能性を一つ一つ潰して、突き詰めていく過程は、見た目以上にスリリングで面白い。
大学院ではより高度な実験にも挑むので、正直、失敗ばかりの日々ですが、学部生の頃と比べて実験のために使える時間も遥かに増えますし、スケールの違う成功もある。そこには覚悟を決めた人だけが見られる景色が広がっています。

総合生命科学部 生命システム学科
和田 匠太 さん

※掲載内容は取材当時のものです。

桐島 沙也佳 さん

腸の蠕動(ぜんどう)運動に関する研究に没頭。
さらなる高みを目指して大学院へ。

生命科学を学ぶ魅力は、未知のものごとを追究していく面白さです。一つの結果を手にした時は、何ものにも代え難い達成感を感じます。
4年間の中で一番濃い時間だったのは、研究室に入ってからの日々です。私の研究テーマは腸の蠕動(ぜんどう)運動。蠕動運動とは、消化した食べ物を体外へ排出するまでの腸の動きです。具体的には、試薬を投与して腸の動きの変化を探ったり、腸が伸縮する際の数値を調べたりしています。
私の場合は、マウスの大腸を研究対象にしていますが、大腸を使用した実験は前例がなく、まずは数値の測り方を確立するところから始めたので本当に大変でした。
実験を進めるうちに、試薬を投与する場所や薬の量・濃さ、さらに個体によっても反応が変わるということがわかってきます。1~2年次の講義でも学んだ内容なので知識としては知っていても、実際にその反応を目の当たりにすると驚くことばかり。同時に「なぜこうなるの?」という疑問が生まれ、さらに研究に対する意欲が芽生えてきます。上手く結果が得られずに落ち込むこともありますが、諦めずにトライし続けられるのは、探究心が何より勝るからだと思います。
「私にはまだまだ学ぶ時間が必要」だと思い、研究室を選ぶ3年次の夏頃には、すでに大学院への進学を決めていました。大学院では蠕動運動の研究と並行して、いまだ原因不明な点が多い過敏性腸症候群のメカニズムについても解明していきたいと思っています。将来は製薬会社で、一人ひとりに合う薬を開発したい。研究を重ねる日々の中で、そんな目標も見えてきたところです。


総合生命科学部 動物生命医科学科
桐島 沙也佳 さん

※掲載内容は取材当時のものです。

馬場 裕士さん

もっと研究を掘り下げて、
未来に役立つ植物を作りたい。

植物のオルガネラ(細胞小器官)に含まれるDNAの研究をしています。通常、植物のDNAは細胞内の核に存在しますが、実はオルガネラの一種であるミトコンドリアや葉緑体も独自のDNAを持っているんです。元は独立した生物だったミトコンドリアと葉緑体が遥か昔に細胞に取り込まれ、細胞の一部と化した今もDNAを残しているのはなぜか。想像する中で植物の世界にどんどん引き込まれました。
この研究を始めたきっかけは、2年次に手掛けた実験・演習です。葉緑体のDNAを抽出した時、葉っぱ1枚の中に精密で謎の多い物体がこんなにも詰まっているのかと、すごくロマンを感じました。
今研究室で行っているのは、新しい植物の研究です。遺伝子組換えによって、どんな植物を生み出せるか試行錯誤しているところです。最終的に葉緑体DNAの仕組みを解析できれば、核での遺伝子組換えより、もっと有用な植物を作れるかもしれません。大勢の人の助けにつながる可能性を秘めた研究だと思っています。
先生の参加する学会へ行くと、アリーナ規模の会場が熱気に包まれていて。たくさんの研究者たちが議論を交わし、熱を放って未来の世界をつくっていました。この分野を掘り下げていくことで、自分もいつかあの場所に立てたらと思っています。大学院への進学は、そんな夢への第一歩です。

総合生命科学部 生命資源環境学科 4年次
馬場 裕士さん

※掲載内容は取材当時のものです。

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