自分の言葉で語ることの大切さ 2022.03.07

先日3月1日から就職活動が本格的に解禁された。企業説明会など学生たちが奮闘する姿がニュースで流れる。学生からエントリーシートの添削を頼まれたり、面接の相談を受けたりすることが一段と増えたように感じる。就職情報会社ディスコの調査によると、今年は前年の同時期よりも採用見込みが増加した企業は26.6%。さらに2月1日以前に内定を得ていた学生は20.2%で、22年卒の同時期よりも6.7ポイント増加傾向にある。周りの学生からもちらほらと「内定」という言葉が聞かれるようになった。また旅行やホテルなどの分野への就職活動も昨年よりは多く聞くようになった。コロナ禍を乗り越え、採用意欲の向上が見受けられるようだ。

学生の就活サポートをすることは、コミュニケーションの授業やゼミを持っている身としては、学ぶことが多々ある。特に今年は対面やオンラインの形式が入り乱れていて面白い。 上半身はガッチリ就活スーツ、でも足元や下半身は意外にカジュアルな姿の学生がキャンパスにいると「今日はオンライン説明会かな?」と微笑ましく思いながら心の中でエールを送る。オンラインでの面接で自分を出しきれずにいる学生の話を聞くと、こちらも胸が苦しくなる。対面でなら許されるだろうsmall talkがオンラインではやりづらく、本来の自身の良さをアピールできずにいるのかもしれない。またオンラインではちょっとした間や言い回しによって大きく印象が変わることもあるだろう。

ことばの専門家として、学生たちの奮闘する姿を見ていて思うこともある。もっと自分の言葉で語ってほしい。そして企業の方々と話すことを楽しんでほしい。話すことは自身のidentityを相手に示す重要な部分である。何を語るか、どう話すか。それを就活マニュアルや情報本に書かれているようなありきたりの言葉や返答の中に見つけるのは、難しいかも知れない。就活はこれまでの自分の経験を整理したり、再考したりする素晴らしい機会だ。その中に必ずある「語るに値する自分」を見つけてほしい。自身の経験、エピソードについて自信を持って自分の言葉で語ること。それができれば、自分に合った企業とのご縁が結ばれていくように思う。往々にして面接から帰ってきて「結構楽しかったです!」と報告してくれる学生はその後もスムーズに進んでいるような気がする。Talk about yourself with your own words and enjoy yourself during your job hunting! You know yourself the best!

就活前半でガチガチに緊張していた学生が、苦戦や善戦を繰り返しながら成長していく姿を見ると、本当に嬉しく感じる。同時に企業の方々の採用活動に関する涙ぐましいご助力に深く感謝したい。結果がどうであれ、その経験を通じて学生たちが学ぶことは数知れない。学生は採用の方々との会話から社会に出た自分を想像し、その「窓」からこれから自分が活躍するであろう「社会」をみている。会話によって社会の基盤や個人のidentityが作り出されると考える会話分析を研究する私にとっては、就活はこれ以上なく興味深いプロセスである。

川島 理恵 准教授

異文化コミュニケーション、医療社会学、会話分析

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