10 井道景賛 「白沢之図」

江戸後期? 江戸時代の白沢図は、人面牛身に九眼(両目と額の三眼、両脇それぞれにある三眼を合わせて九眼)で描かれる場合が多いが、この白沢は脇に四眼を持つ珍しい姿で描かれる。四眼は追儺儀礼に登場する方相神とよく似ており、ともに辟邪の霊験を持つ両者を組み合わせたものか。習合というよりも一種の諧謔(ユーモア)と考えられる。讃文の落款には、「七十五翁井道景謹書/[元右之印]」とあるが不詳。また賛の右にある「風定花猶落/鳥鳴山更幽」印、落款下の「修竹不受暑」印はいずれも当時流行した禅語。
(佐々木聡) 
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