むすびわざ講座 教養コース「植物科学から見る環境問題と食料問題」開催

2014.10.25

 10月18日、25日、生涯学習 むすびわざ講座 教養コース「植物科学から見る環境問題と食料問題」をむすびわざ館において実施した。講座は2日にわたり、1日目は、総合生命科学部木村成介准教授、2日目は寺地 徹教授が講義した。

 1日目の木村成介准教授は、環境と植物の関係について講義を行った。自由に動き回る動物に比べて、動かずじっとしているように見える植物が、実は環境に合わせていろいろと変化しているということについて、光に向かって移動すると言われる「ウォーキングパーム(歩くヤシ)」や、太陽に合わせて動くヒマワリの葉、ボールのように転がって種子を散布する草・タンブルウィードなど、ユニークな植物の実例をあげて紹介した。
また、木村准教授は、ある環境において継続的に存在できる最大の生物量(環境収容力)は、太陽の光エネルギーを生物が使える形に変換(植物の光合成による生産)する量によって決まるということを紹介、「人間が生きていくためには植物が不可欠であり、植物がどのように環境の変化に対応しているのかを知ることが重要」と話した。

 また2日目は寺地 徹教授が講師となり講義が行われた。寺地教授は、世界の人口は急激な増加を続け、耕作適地が不足してきていること、また現代において世界的に食料は充足しているが配分がうまくいっていないため、栄養不足の人口が多く存在しているのが現状であると解説。これからの世界的な育種目標は「どんな土地でもたくさん取れる農作物をつくることである」と語った。講義では、「メンデルの遺伝の法則」についても学習し、さらに植物の遺伝子についても解説したほか、品種改良と遺伝子組み換えについてなど、現代の育種事情についても語った。実際にDNAを見る実験も行われ、ピペットマン(微量な液を測り取る器具)で水溶液や、エタノールを測り取り鮭の白子のDNAを観察した。

 受講生からは「植物の強さを改めて感じた」「植物も種の保存、繁栄を目指して生存競争を行っていることが知れた」「日本の育種のトレンドを知れてよかった」「メンデルの法則を再学習できてよかった」「DNAの実験が楽しかった」などの感想が寄せられ、和気あいあいとした雰囲気の中講義は終了した。
変わった形の植物の葉を紹介する木村准教授
植物の構造を解説する寺地教授
白子のDNAを観察する受講生
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