司法外国語プログラム講演会「ことばとこころでつなぐコミュニケーション—行政通訳相談事業を中心に—」

2010.11.17

 11月17日、本学司法外国語プログラムが主催する、京都市国際交流協会の濱屋伸子氏による講演会「ことばとこころでつなぐコミュニケーション—行政通訳相談事業を中心に—」が行われた。同プログラムは外国語能力と法学の知識をともに活かせる職業を紹介する講演会を毎年開催しており、今年で3回目となる。外国語学部と法学部の学生を中心に50名ほどが聴講した。

 濱屋氏は「行政通訳・相談事業」のコーディネーターで、日本語でのコミュニケーションが難しい外国籍市民が区役所や保育所・学校などの行政機関に来所した際に、電話で通訳サービスを提供したり、外国人からの行政サービスの利用に関する問い合わせに答えるなどの業務を行っている。
 講演では、京都市内の外国籍市民の現状や、行政通訳相談事業の内容と問題点が紹介された。その中で、外国人が日本の行政や法制度を利用するには何重もの壁があること、行政との橋渡し役となる行政通訳者には、コミュニケーションの媒介という役割に加えてアドバイザーでもなければならないこと、そのために幅広い関連知識が必要であること、高度で困難なしごとの割に職業として成り立つほどの処遇はされていないことなどが指摘された。最後に、行政通訳がうまく機能するためには、通訳者の多面的な能力のほかに、ユーザー側である行政職員の協力が不可欠で、両者の信頼関係が重要であることが強調された。

 講演の後、行政通訳相談員の浜田氏(英語)・宋氏(中国語)がインタビュー形式で相談事例を紹介した。外国人労働者から倒産した企業への未払い賃金の請求や、日本人と外国人の夫婦の離婚などの問は、とくに長期間にわたる継続的な相談が必要になるという。質問タイムでは、学生から外国語学習や通訳になるための勉強などについて、活発な質問がなされた。
濱屋氏の講演
質問タイムの様子
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