■『小川環樹 お がわたま き 文庫漢籍目録』 刊行記念の講演会が開かれる

2002.06.12

 漢和辞典でよく知られているほか、 『唐詩概説』 などのすぐれた著作と、 『蘇東坡詩』 『三国志演義』 などの翻訳で、 著名な小川環樹先生 (元外国語学部教授・国際言語科学研究所長) は、 昭和49年から61年3月まで本学の教育・研究に貢献され、 中国語学・中国文学研究の第一人者として活躍された。 先生の図書資料約10,000点の中で、 特に約2,300点におよぶ膨大な漢籍資料が本学の図書館で6年の歳月を経て整理され、 このほど 『小川環樹文庫漢籍目録』 として刊行された。
 この刊行記念として、 6月12日、 図書館ホールで 「藏書家と藏書目録— 『小川環樹文庫漢籍目録』 の刊行によせて—」 と題して、 刊行に多大な指導協力をいただいた高田時雄 (たかた ときお) 京都大学教授 (人文科学研究所附属漢字情報研究センター) の講演会が行われた。
 この記念講演会は、 新田政則学長の挨拶と今井 薫図書館長の目録刊行の経過報告後、 同教授から「最晩年の京都大学・門下生の一人として、 先生の文庫漢籍目録の刊行にたずさわることができ、 大変嬉しく思っている。 学者の蔵書がどのような運命をたどるのかという視点から話したい」と述べ、 狩野直喜 (京都大学文学部) などの京都における中国学者、 Antonio Montucci (イタリアの学者) などのヨーロッパ東洋学者の蔵書目録の紹介ほか、 小川環樹先生の実用的な性格をもつ蔵書や講義の様子など織り交ぜながら、 幅広い研究についての講話があった。
 同会場には、 特に中国学に関心の深い学生、 教職員、 研究者、 近畿地区の大学図書館、 マスコミなどの関係者、 約80人の聴講があった。 高田先生の講演後には、 小川環樹先生の著作集・論文及び所蔵の漢籍などの展示が行われた。
 目録冊子は、 本学以外に中国語、 文化に関する学部等をもつ大学図書館及び研究機関などをはじめ、 蘇州大学 (本学の交流協定校) 等に寄贈される。

蔵書についての幅広い研究成果を述べる高田京大教授
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