田中 史朗選手×山田 幸代さん対談

試合前日(田中選手・堀江選手と)

山田:ご無沙汰してます。田中選手の活躍は常にニュースなどで拝見し、こちらもパワーをもらっていました。今日は、大事な試合前に時間をいただきありがとうございます。
京都産業大学の学生たちにも同じように田中選手のパワーを伝えるために、いろいろと質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
まず、世界最高峰のスーパーリーグの1年目を終えて、今どのようなお気持ちでいらっしゃいますか?

田中:初めてのシーズンを終えて、自分に足りないものも見えてきましたし、まだまだ力が及ばない分、もっと考えてプレーしていかないと行けないなと思いました。

山田:でも、田中選手の活躍はすばらしいものだと思います。世界トップクラスの選手が集うこのスーパーリーグでプレーすることすら、今までの日本人には考えられなかったことです。
その日本人初のスーパーラグビープレイヤーが京都産業大学の卒業生だと思うと、本当に田中選手を誇りに思います。
スーパーリーグで活躍されるだけでなく、次のワールドカップを見据えて日本代表としての活動も同時にされていて、体力的にも厳しいかと思いますが、日本代表として世界で戦い合うために何が必要だと思いますか?

田中:日本人選手の中にも能力の高い選手はたくさんいます。でも、海外に出て僕も感じたように、日本のレベルをあげるためには、もっともっと「考える力」、「理解する力」をつけていかなければ行けないと思います。

山田:本当にそうですね。どのスポーツも同じなんですね。「考える」ということはとても大切なことだと私も思います。そういう考えは大学のときからお持ちだったのでしょうか?
京都産業大学にいらっしゃった4年間を通して学ばれたことなどお伺いさせていただきたいと思います。
大学4年間というのは田中選手にとってどのような4年間だったのでしょうか?

スーパーラグビーでプレーする田中選手

田中:僕は大学時代にすでに、将来はラグビーで生きていきたい!と決めていましたし、そのためにラグビーは人一倍、一生懸命練習してきました。でも、もし勉学も大切だと気づけていれば、しっかり勉強して「考える力」がさらにつき、今の自分のラグビーのレベルももっとあげられていたかもしれない。 そう思うからこそ、学生のみなさんに言えるのが、大学4年間というのは人生が決まる時期でもあるので、『将来』をしっかり見据えた行動をとっていってほしいということです。
自分がやりたいことを100%やるためには何が必要か「考え」、「行動」してほしい。勉強や恋愛も大切だし、部活動なら練習も大切。ひとつひとつ考える癖というものをつけてほしいと思います。

ただ一生懸命やるだけでもレベルは上がるかもしれないけれど、そこにプラス「考える」ということができたら倍以上の結果がついてくると思います。

と自分の経験からお話くださいました。 学生の時間にそのことが理解できていたら、私自身ももっと、成長していたかもしれないなと感じながらお話をお伺いしていました。

試合観戦後の記念撮影

山田:それでは、田中選手!今の目標をお伺いできますか?

田中:目標は「1試合でも多く試合に出て世界で勝利すること」、「日本ラグビー全体のレベルをあげていくこと」です。今、日本全体のレベルがあがっていっているとは思いますが、まだまだ、選手達の「理解力」という部分については追いついていないと思います。「考え」、「理解」し、そしてプレーすることで、日本ラグビーも世界に通用していくようになると思っています!
まずは、2019年日本開催のワールドカップをファンの皆様含め日本ラグビー界が満足して終われるように、自分達のレベルをあげて挑みます。


と、力強く話してくれ、今回のインタビューの中で、田中選手が常に口にしていた「考えること」「理解力」のこの2つが彼の今の目標とリンクさせることができ、今でも、常に考え、行動し、今の現状を理解している田中選手なんだと感じました。 そして、彼なら、この夢を実現していってくれるのだろうな、と心の底から確信しました。

山田:ありがとうございました。常に日本のラグビー界を考え、そして盛り上げていこうとされているそのパワーに感動しました。それでは、最後に京都産業大学の学生へメッセージをいただけますか?

田中:人生は短いから、一日一日を大切にしてください。


シンプルなメッセージだけれども、田中選手の思いがいっぱい詰まったメッセージだと感じました。 そして、インタビュー後もいろいろと話をしているなかでとても興味のある話をしてくれました。 「伝える」ということについても語ってくれた田中選手。

山田:私も海外での挑戦を通して、いろいろと見えて来たものがあります。ラクロスというスポーツはまだまだ発展途上のスポーツだから、選手自らコーチングをするのですが、日本で受けたコーチングとオーストラリアで受けるコーチングのギャップを感じたりします。そのようなことはなかったですか?

田中:そうですね、僕もオーストラリア、ニュージーランドで指導者の学ぶ姿というものを目の当たりにします。彼ら指導者も率先して学んでいます。そのときに、学ぶことは選手がやることだけだと思っていたけれど、指導者(伝える方)も常に学んでいるのだなと思うと納得します。彼らは伝え方がとても上手い。
日本の指導者もしっかり「学ぶ」ということをしていくべきだと思いました。選手達だけじゃなく、指導者がしっかり学ぶことも大切ということです。

山田:そうですね。伝えるということはとてもむずかしいことだけれど、常に向上していかなければ行けないことだし、間違っていたら修正していかなければ行けない。スポーツだけじゃなく、社会も同じですね。社会の中でも、人に「伝える」という作業はとても簡単そうで、むずかしい。それでも、しっかりと自分の気持ちと相手の気持ちを融合させながら、お互いで答えを見つけていくということが大切なのかもしれません。

田中:京都産業大学の発展のためにも、学生が学ぶことだけでなく伝える側(指導者)もしっかりと学ぶことが必要だと思います。

ファンのサインに応じる田中選手
試合後堀江選手、ファンのみなさんと一緒に

将来の日本のラグビー界を背負って立つ田中選手は、自分の中の成長だけでなく、ラグビー界、日本中を成長させてくれる人物なんだと思いました。
一流の選手は、やはり一流の考え方を持っている。
すばらしい卒業生に出会えて、私は本当に幸せでした。

インタビュー翌日のスーパーリーグ最終戦で勝利を飾れなかった田中選手。
とても、悔しい表情でした。でも、この悔しさが、また田中選手の次の一歩を力強く踏み出していってくれるのだと思います。
田中選手とは大学時代からの友人ですが、彼がこんなに立派に人生を進み、チャレンジしている姿に感銘をうけました。
私もすごくいい刺激をもらい、また京都産業大学人のすばらしさに触れた2日間でした。 学生のみなさんもぜひ、力強く次の一歩を踏み出してください。

PAGE TOP