【仁川学院高等学校×京都産業大学 高大連携探究学習講座】高校生が考える「世界の『ホント』のみかた」とは

成果発表会の様子
兵庫県仁川学院高等学校と京都産業大学の高大連携探究学習講座として実施された「世界の『ホント』のみかた」で「グローバル」をテーマに本学の国際関係学部、外国語学部、法学部の教員が仁川学院高等学校にて講義を行いました。この講座を受講した生徒13人が本学を訪れ、最終発表会をグローバルコモンズにて行いました。生徒たちは講義内容を基に自身の関心に沿った研究を進め、世界の現状について自分の言葉で表現しました。

(学生ライター 法学部4年次 清水 佳寿美)
兵庫県 仁川学院高等学校 と本学の連携講座「世界の『ホント』のみかた」では、京都産業大学の国際関係学部 正躰 朝香 教授、外国語学部 下田 幸男 教授、法学部 岩本 誠吾 教授、中井 歩 教授がそれぞれの専門分野に基づいて仁川学院高等学校にて講義を行いました。講義を受講した生徒は「グローバル化」や「国際関係」といったテーマを通じて、世界の現状や課題について深く考察しました。今回開催された発表会では、環境問題や社会的格差、移民問題やテクノロジーの進展がもたらす影響など、多岐にわたるテーマが取り上げられ、各自が自身の視点で課題の解決策や未来の展望について提案していました。中には、日本の現状と比較しながら海外の取り組みを紹介したり、他国の文化や経済状況をもとに独自の考察を加えたりしたオリジナリティーあふれるプレゼンテーションもありました。
  • (左上)「アメリカはなぜ多くの国から注目して見られているのか?」勝部 輝重 さん
  • (右上)「多文化共生が進んでいる国と日本の違いとその原因』豊川 桜助 さん
  • (左下)「ファッションの国際的問題と環境問題は何があるのか」中村 江里子 さん
  • (右下)「世界各地で、気候変動によりどのような悪影響があるのか?」佐々 昂一郎 さん
  • (左上)「オーストラリアの人口はこれからも増加するのか」岸本 莉子 さん
  • (右上)「日本はアメリカのような異民族国家になることで人口減少は食い止められるか」三原 詩音 さん
  • (左下)「移民を受け入れれば受け入れただけ国は発展するのか」西川 慶太 さん
  • (右下)「人種差別をなくすには何が必要か」宮本 壮 さん
  • (左上)「地球温暖化と海面上昇の関係」森岡 英士 さん
  • (右上)「地球温暖化のメリットがある国とメリットがない国から学ぶ今後の日本の環境問題」松枝 慶治 さん
  • (左下)「経済が発展している国としてない国との差は?」工藤 悠希 さん
  • (右下)「日本にできるテロ対策」藤田 大輝 さん
  • (左)「アメリカの経済、経済成長から学ぶべき日本の経済」猪熊 徳幸 さん
  • (右)質疑応答の様子

13人の生徒の発表終了後に、この講義を担当した本学の教員からそれぞれ講評がありました。

(左上) 国際関係学部:正躰 教授、(右上) 外国語学部:下田 教授、(左下) 法学部:中井 教授、(右下)仁川学院:坂本 先生

国際関係学部 正躰 教授

初回講義でのグループ発表を思い出すと、期待以上の成長を感じられる出来だった。今回の「世界の『ホント』をみる」ということに関して、まず世界で起きていることに関心を持ち、自分なりの問いを持つようになってほしい。その自分なりの「問い」に対して根拠をもって調べ、検証可能な形で答えを導き出すことが必要になってくる。そして人前で話すことが苦手な人も得意な人も、自分の考えを自分の言葉で話し、伝えること意識し、挑戦していくことを大切にしてほしい。

外国語学部 下田 教授

短い時間でここまで仕上げてきたことに感心した。こういった発表の場において質問をされた際に、しっかりと自分の言葉で自分の考えや意見を述べられるようになるとなお良い。そのためには、自分の身近なところから社会的な問題について問いを立て、「自分ごと」として落とし込むことが大切。そして、そこから好奇心を持って行動することができるようになってほしい。

法学部 中井 教授

 一週間前の中間発表からさらに良くなっている。発表を終えて「ホッとした」、「すっきりした」という感情があるのは、自分が言いたかったことをしっかり吐き出すことができ、相手に届いたということ。言いたいことがいえる、というのは今後の生活においてとても心強いスキルになる。このプレゼンテーションワークを通して言いたいことを言葉にして伝えるトレーニングができたことを願う。それに加えて、自分たちが「世界とつながっている」感覚を身につけてくれたのであれば、この授業は大成功です。

また、発表会には法学部の学生たち(2〜4年次生と修士課程1年次生)も参加をして、それぞれの発表に対してコメントをしていました。
今回のプレゼンテーションを通して、高校生たちが世界の問題に対して真剣に向き合い、自分なりの答えを見つけようとしている姿勢に感銘を受けました。中には、高校生らしく斬新なアイデアも多くあり、とても刺激を受けました。日本はさまざまな国と国交を持ち、影響を受けている国だと思います。「グローバル化」という言葉に代表されるように、世界を基準に物事を考えていく必要が増えてきました。その中で、私たちが生きている「世界」がどのように進んでいるのか、何が必要で何が問題視されて、どのような可塑性を含んでいるのかを改めて考えることのできる発表内容でした。生徒のプレゼンテーションは、時に斬新であり、時に疑問を投げかけるものでしたが、それがまさに高校生の強みであり、これからの世代が持つべき視点であると感じました。大人とは違った柔軟な発想や純粋な疑問が、新たな問題解決の糸口になる可能性を秘めていることを改めて実感しました。また、講義を通じて学んだ「世界の『ホント』」を自分の言葉で表現するという経験が、生徒たちの今後の学びや成長に大いに役立つと感じました。これからもこのような機会を通して、高校生たちが自らの考えを発信し、他者と共有する場が増えていくことを期待しています。今回のプレゼンテーションを聞いて、自分自身も改めて世界の「リアル」について考え直し、より広い視点で物事を見る大切さを再確認することができました。