2015年 第1回 ファシリテーションLabo.

アイスブレイクの意義を体感する



日時 2015年10月7日(水)13:30~16:30
場所 4F演習室(4号館4階)
参加者 15名

雲1つ無いTHE秋晴れ。窓から暖かい日差しと爽やかな風が通る4号館4F演習室には緊張した表情の参加者が次々に集い始めていた。
本日は、F工房主催のファシリテータ・トレーニング連続講座「ファシリテーション Labo.(ラボ)」(以下、ファシラボ)の初回講座。会場は、受付や荷物置きがあるオープンスペースとスクリーンを中心に椅子が置いてあるメインスペースが左右に分かれていた。用意された場に参加するだけでなく、参加者が自分たちで場をつくるということを感じてもらうという意図があったようで、椅子は無造作に置かれていた。この講座の申し込みは18名。4年生3名、2年生4名、1年生11名という内訳だ。参加者がスクリーンを囲むように椅子を動かし、椅子がある程度埋まった頃には開始時刻の13時30分となっていた。
冒頭、F工房担当コーディネータである鈴木さんの挨拶から始まり、F工房スタッフの紹介が行われた。事業統括の鬼塚先生(文化学部教授)、担当コーディネータの大谷さん・鈴木さん、事務担当の宮崎さんと私、中尾の4名である。引き続き、鈴木さんからこの講座のオリエンテーションがあり、F工房についてやファシラボの目的、ファシリテーションの定義が簡単に説明された。また、①やってみる(体験)→②思い返す(ふりかえり)→③考える(講義)→④わかるのサイクルで行われることと、ファシラボには「積極的に」参加して欲しいということが伝えられた。私は、1人のスタッフでありながら参加者としてこの場にいる。これから、今ここにいるメンバーでどんなことをするのか?どんな学びができるのか?時折吹く爽やかな風のようにフワフワした気持ちで話を聞いていた。他の参加者は、どんなことを考えているのだろうか。私にはみんなが前のめりな姿勢でキラキラした目で話を聞いているように見えた。

オリエンテーションであった話は下図のスライド資料通り。



開始から20分が経ち、参加者同士が知り合う時間となった。まずは、受付で事前に配られていたA4白紙を4つ折りにし、上から①今の心境②名前・学部・学年③ファシラボへの参加を決めた理由・期待④自由欄(自分のことを周りに知ってもらうための内容)を記入した。記入後、全員が立ち上がり、話をしたことのない人とペアを作り、先ほど作成したフリップを使い自己紹介をした。「新しいことがしたかった」、「好奇心」などの参加理由や部活、授業、趣味の話など自由に自己紹介をし、みんな初めて会った人が多い中で笑顔が溢れているのが印象的であった。1ペアあたり6分の自己紹介を5回行ったところで1つの大きな円を作るように椅子を並べ変え着席した。全員の顔が見える状態となり、1人ずつ順に自分の名前とファシラボに参加した理由を紹介していった。これから一緒にファシラボに参加していくんだな。とワクワクした思いを抱く反面、名前を覚えるのが苦手な私は、顔と名前を一致させるのに必死になりながら、みんなの話を聞いていた。全員の自己紹介が終わり、最後に組んでいた2人ペア同士で4人グループを作った。4人で簡単な自己紹介を終えた後、「ファシリテーション」「ファシリテータ」と聞いて、思い浮かぶイメージ・キーワードについて10分間話し合った。私たちのグループでは、4人中2人が「ファシリテータ」といった言葉を初めて聞いた人だったが、学内で活動している学生ファシリテータが関わる「自己発見と大学生活」(以下、自己大)の授業を受講していて何となくイメージがあったのか、「自己大の学生ファシリテータは元気いっぱい」、「学生の手本となる存在」、「学生と教員をつなぐ存在」、「潤滑剤」などが挙げられた。私自身少しだけファシリテーションについて知識があったので、初耳と言っていた2人から出来るだけ意見を引き出そうと試みたが、場を仕切る事は得意でないのでぎこちなく不自然なグループワークとなってしまったことを少し反省した。1人ずつ意見を出し合い2周した頃で終了となった。全体で出た意見をグループごとに発表し、F工房コーディネータの大谷さんが模造紙に書き出していった。「盛り上げ役」、「円滑に授業をする為の補助」など全体でも自己大や「キャリア・Re-デザイン」(自己大同様に学生ファシリテータが関わっているキャリア形成支援教育科目)で関わっている先輩像がイメージされているような意見が挙がっていた。全グループの共有を終え休憩時間となった。
ワークをする様子
15分間の休憩を終え15時15分になったところで後半のプログラムが始まった。前半と同じ席に座り、「体験をふりかえる」ワークの説明が鈴木さんから伝えられた。内容としては「ファシラボが始まる直前の緊張度」と「今の緊張度」をパーセンテージで表し、違いの理由や要因となることをふりかえるワークであった。個人で右図のスライドのようにA4白紙に記入をしていった。

記入後、前半と同じ4人グループで「緊張度の変化はどうして起こったのか」、「何に影響されて起こったのか」、「いつ起こったのか」など具体的な変化の理由と一緒に自分たちのワークシートを共有した。私は「開始前:10%」→「今:5%」と記入した。2度目のファシラボの参加だったため、前回に比べて全く緊張感はなかった。それでも10%の緊張度と記入したのは、初対面の参加者がほとんどだったからだ。「5%」の減少理由としては、全員で顔を合わせて自己紹介を行い、参加者のキラキラした笑顔を見ることができ、安心した気持ちになったからだ。グループの中で話し合われた内容を全体でも共有し、ほとんどの人に緊張度が減少している傾向がみられた。このように氷のように固くなった雰囲気や関係性をほぐすことを【アイスブレイク】と呼ぶということが伝えられた後、「アイスブレイクの意義について」をテーマに鬼塚先生によるミニレクチャーが20分程度行われた。ミニレクチャーでは、ファシリテーションの目的は「対話の促進」であり、2人以上の人が関わる「協働の場」で相互作用を促進することであることが紹介された。また、先生の担当する文化学部の授業も例として取り上げられた。この授業では、「あなたは奴隷になりたいですか?なりたくないですか?その理由は?」という問いに対し、受講生がグループで話し合い、共有したことを発表する。そこでは「なりたい」と答える人が何名かいるとのことであった。このようにその人の価値観に関することを自由に発言できるような、対話を促進するには【Unfreezing(解凍)】が必要で、その手段の1つがアイスブレイクの導入であることが伝えられた。
先生のミニレクチャーが終わり、鈴木さんによってミニレクチャーのキーワードがおさらいされた。時刻は16時25分、終了5分前となり、全員にふりかえりシートが配られた。参加者は今日のこの3時間の講座を思い出しながらふりかえりシートに感想や気づきを記入した。今回、講座開始時の緊張した状態から参加者同士で自己紹介しアイスブレイクすることで場の雰囲気が和らいでいく感覚を実際に体験し、その感覚をミニレクチャーを通して理論的に学んだ。自然と体系的に学ぶことができるプログラムとなっていて、私自身にとってもすごく満足のいく学びであった。
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