F工房主催 ファシリテーション研究会 開催

2015.02.18

 2月18日、F工房主催のファシリテーション研究会が開催され、学内外から37人が参加した。

 今回は、本学の非常勤講師であり、京都精華大学 人文学部山田創平准教授を招き、「思想としてのファシリテーション —人文諸学の系譜をたどりながら、ファシリテーションの意味を考える—」がテーマの講演会などを実施した。

 一般的にファシリテーションと言うと、会議を上手く進めたり、ワークショップを運営したりする技法(スキル)に注目が集まるが、その起源や現在に至るまでの歴史的背景については、あまり知られていない。そこで今回は、西洋哲学の歴史をたどりながら、ファシリテーションの拠り所となる基本的な理念を探る試みを行った。

 講演では、学問の起源と言われるギリシャ哲学から18世紀のイマヌエル・カントに至る一連の西洋哲学の流れを紹介。特に、18世紀にそれまで展開されていた「人はものごとを《初めから知っている説=(大陸合理論)》と《あとから知る説=(イギリス経験論)》」の相反する2つ思想を掛け合わせたイマヌエル・カントについて取り上げた。カントは、「私達には分からないことがあるが、理論理性はみんな平等に持っている」と考え、自由と平等、そして平和を合理的に導き出し、彼の思想は現代思想や現在の大学にも大きな影響を与えている。大学でファシリテーションやキャリア教育を実践する際には、単なるスキルを実践するに留まらず、彼の思想やそれ以前、以後の西洋思想史を踏まえながら、常に立ち返るべき根拠を持っておく必要があるだろう、という内容の講演となった。

 講演後は、参加者それぞれが感じたことを付箋紙に書き出し、それを全体で共有しながら意見交換を行った。ファシリテーションや教育の今後の在り方について、新たな視点を提供しあい、様々な見地からファシリテーションを考える研究会となった。

 また、研究会終了後は、場所をF工房に移して講演の内容を振り返る座談会も開催した。学生、教職員、卒業生、学外からの参加者15名が講師を囲みながら、自由な雰囲気の中で哲学や大学生活、人とのかかわり方について対話を行った。多様な属性の人たちが対話を通して共に考え学び合うこのスタイルは、古代ギリシャから受け継がれる知の蓄積のプロセスのようであった。
ファシリテーション等の今後について話し合った
講演を行う山田 創平准教授
研究会終了後は、講演の内容を振り返る座談会を実施した
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