今週の学長のことば

 

2010年2月22日

袖触れ合うも他生の縁

数ヶ月前、ひょんなことで、ある学生と肘がぶつかった。そのときに交わした会話が「袖触れ合うも他生の縁」。無限の時間、無限の空間で生まれあわせた。しかも、こうして肘が触れ合ったのは、偶然とはいえ、奇跡のような確率。同じキャンパスで学ぶ、一期一会のめぐりあわせを大切にしたい。

 

2010年2月15日

ことばは自分の心にも跳ねかえる

ことばは他者への伝達手段であるとともに、その言いまわしは自分の心にも跳ねかえる。意味は似たことでも、例えば、「長安に一男児あり、二十歳にしてすでに心朽ちたり」と「京都で生まれたこの男、二十歳でもう心はぼろぼろや」とでは、響きが違う。前者には矜持(プライド)があり、後者には踏んばる気力が感じられない。ことばは自分の心にも暗示をかける。何を、どのように、その言いまわしは重要です。

 

2010年2月8日

母の日のプレゼント 母校愛

昨年の5月、京都の国立大学で教鞭をとるOGが、本学との連携の提案で、学長室に見えた際に、開口一番、「これ、母の日のプレゼントです」とカーネーションの花籠を下さった。母校の学長だから母の日のプレゼントですと。何かにつけて機知を働かせて笑いを取ろうとする、その類いのエピソードならたくさんある。本学の学生、卒業生の微笑ましい持ち味。

 

2010年2月1日

就活をたのしく

就職活動は自分を鍛えるチャンス。長い人生を力強く生きるための精神的スタミナ作りの試練と考えよう。明るく元気に、のびのびと。よしんば、うまくいかないことがあっても、自分の非力を責めたりしないこと。たまたま相性が悪いだけ。他人と比較して、焦ったり落胆したりは禁物。人それぞれにめぐって来る幸運と非運の総和は、そんなに違わない。次には良いことがあるさと楽観精神をもって就活を。

 

2010年1月25日

嫉妬の時代

かつて岸田秀という優れた社会心理学者が、様々な社会事件が話題になると、人びとは、自分を絶対的な正義の立場に置き、怒りが沸騰するが、そのいかにももっともらしい怒りの根底には、「うまくやりやがった」という嫉妬心がひそんでいる、と分析した。以来、いろんな報道に接するとき、いつも自分の「嫉妬」が気にかかる。

 

2010年1月18日

心がけは売っていない

大きな災害の直後には、デパートなどで、食料や懐中電灯などの緊急時に必要な備品が売り出される。疎かにせず常備しておきたいが、パニックに備えた「心がけ」だけは売ってない。自然災害だけではない。思わぬ「不幸」に遭遇しても平常心を失わぬ心がけは、小説などで擬似体験しておくことでも身にそなわる。元気なとき、幸せなときにこそ、破滅的な私小説を。

 

2010年1月11日

時には壮大な宇宙に思いを馳せたい

日常の些事に心を悩ませがちな自分を、非日常的な広大無辺の宇宙に思いを馳せることで心を解き放ってもらいたい。本学の天文台建設にはそんな思いも込めている。

 

2010年1月4日

人間形成に励み、学ぼうとする意欲を持つこと

過去の自分にこだわって、あるいは、過去にすがって生きるのではなく、人間形成に励み、学ぼうとする意欲を持つことは現在を、未来に向って力強く生きるための鍵となる。必ず、将来の人生が明るく開けます。