今週の学長のことば(2009年5月・6月)

 

2009年6月29日

異文化体験は自分を顧みる鏡

生活習慣も振る舞いも違えば、考え方が違うのはあたりまえ。自分の間尺に合わないからと、単純に否定していては自分の殻を破れない。他人を知ることは、省みて自分を顧みる鏡でなければならない。

 

2009年6月22日

惻隠(そくいん)の情はどこへ行ったか

弱きを見つけて徹底的に叩く社会は健全ではない。惻隠の情とは、人の窮状や弱みに付け入るのではなく、心中を察し、いたわしく思いやるやさしさ。そんな伝統的な奥ゆかしい心根(こころね)は、いま、どこへ行ったか。

 

2009年6月15日

教育の原点は心と心

教育の原点は、鋳型にはめない熱い心。角(つの)を矯(た)めて牛を殺すのではなく、長所を気づかせ、個性を伸ばす手伝いをする。educe→education。

 

2009年6月8日

平常心を失わず

大きな慶事があれば、それに浮かれて、ふだんの些細な事がつい疎かになる。そんなときに落とし穴が待っている。

 

2009年6月1日

京産大生の美風

本学学生の持ち味のひとつは、周囲をなごませるサービス精神だが、笑いのセンスだけではない。笑顔で元気よく挨拶してくれる姿を見て、学外の客人はいつも驚嘆されている。こんな大学はありませんね。挨拶が自然にできることは、京産大生の美風。

 

2009年5月25日

ともに生きる(「共生」) Part3

立場や考え方が違っても、人にはそれぞれに美点がある。先入観を持って接するのではなく、自分にはない相手の美点に目を向けて、学び取りなさいという意味のことを中国古代の孔子も述べている。「三人行けば必ず我が師あり」。

 

2009年5月18日

ともに生きる(「共生」) Part2

人との関係においても同じ。人間関係には、相性というものがあって、必ずしも誰とでもウマが合うわけではない。そのときに自分の価値観だけで相手を評価するのではなく、相手の美点、良い点を探してみる。相手を好きになろうと試みる。すると、案外簡単に、人間関係のもつれは、ほぐれてゆくことがある。

 

2009年5月11日

ともに生きる(「共生」)Part1

共生とは、人にも国家にも、それぞれに固有の価値基準や事情がある。そのお互いの差異や違いを認めあい、尊重しあうこと。決して自分の基準だけで相手を評価しない、ということ。アフガニスタンでの時間や距離の感覚は日本とは違う。道を尋ねて「すぐそこ」と教えられたが、いくら歩いても目標物が見つからない。改めて尋ねると、歩いて2、3日はかかる距離で、山を一つ越さなければならなかった。これが現地では「すぐそこ」ということになる。
(アフガニスタンで医療活動に従事する中村哲さんの話)

 

2009年5月4日

鳥は無抵抗の真空では飛べない

自由や気ままな振る舞いで個性が伸びると思うのは勘違いである。モラルやルールは個性を伸ばすための不可欠の空気抵抗である。鳥は空気抵抗のない真空では飛べない。