観光文化コース誕生
観光文化コースでは、観光を1つの事象としてとらえます。
人が旅に出かけると、旅先で他者と交流し、相互理解が深まり、
新しい文化が創出される契機になります。
文化に大きな影響を与える観光は、文化を学ぶ上で無視できません。
観光と地域社会、観光と文化財、観光と文学など、
さまざまな組み合わせで学びます。
観光の歴史は文明発達の歴史と同じくらい古いとされ、UNWTO(国連世界観光機関)の統計によると、国際観光客数は前年より5%増え、2018年には14億人に達しました。また、京都の主なホテルに宿泊する外国人の延べ人数は2019年11月時点で、14ヶ月連続増加しています(出典:京都市観光協会データ月報)。このように、世界的にみても、京都においても、観光は成長分野であると言えます。観光では、歴史や芸術などに関する文化体験に人気が集まります。京都のように豊かな歴史と伝統を誇る街では、充実した文化体験が可能です。今後も高まる文化体験へのニーズに応えるために、京都で文化について学ぶ意義があります。
京都では、イスラム教徒の方々が安心して食事ができるハラール認証店が増えてきているようです。ハラール認証とは、イスラム教で禁止されている豚肉、酒、特殊な処理をしていない肉(牛、羊、鶏)などを使用していない証です。このような店舗の増加は、観光をきっかけに、宗教、つまり文化への理解が進んだ一例といえるでしょう。他方で、多文化共生、異文化理解に向けてはまだまだ課題も見られます。祇園町南側地区協議会は、外国人観光客に対してマナーやルールを啓発するチラシを配りました。チラシには、舞妓とセルフィー(自撮り写真)を撮る際には声をかける、舞妓には触れない、といった内容がわかりやすく記され、外国人観光客への浸透が期待されます。
京都は、にぎわいを見せる一方で、観光客の増加に伴う混雑などが問題となっています(オーバーツーリズム)。そこで、観光客が集中する時間や場所を〝分散〟させようと、多様な取り組みが進行しています。京都市観光協会は、公式サイトで朝と夜の観光スポットや名店を紹介しています。また、京都市や京都市観光協会は「とっておきの京都~定番のその先へ~」プロジェクトを実施。京都市周辺部への誘客のため、街歩きやレジャーを楽しめるプランの開発や販売促進に取り組んでいます。こうした企画の立案、実施には文化への深い理解が欠かせません。社会が抱える問題を解決するために、文化に関する知識が役立ちます。
歴史ある観光都市、京都。
そのノウハウを活かす実践的な学び
観光都市、京都を拠点とする大学であることを活かし、書物だけでなく、
各分野の専門家から話を聞いたり、教室を飛び出して現場で体験したり、
文化学を実践的に学び、社会で活かせる知識を身につけます。
京都の文化を体感しながら学ぶ
「京都文化フィールド演習」
京都の伝統行事や宗教神事の運営・参加、職人の工房・地場産業における現地実習、また社寺、遺跡などへの実地踏査を行うフィールドワーク等、教室での講義(座学)と実習を組み合わせたハイブリッド型の演習科目です。体験を通じて京都とその文化の一端を理解するとともに、地域社会の活性化に向けた思考・態度や観光事業への新たな視点の獲得を目指します。
さまざまな分野に精通した教員陣から
多角的に学ぶ
観光文化コースを開設するにあたり、多様な分野を専門とする教員が新たに着任します。その中には、京都のまちづくりに行政の立場から長年にわたり関わってきた実務家教員や、観光産業を研究領域としている教員がいます。そのほかにも、幅広い分野の専門家が教鞭をとります。
京都文化の伝統息づく今の
京都を学べる科目が充実
茶道・華道の家元や老舗料亭の女将など、京都文化の第一線で活躍する多くのゲストから、歴史に裏付けられたおもてなしを学ぶ「おもてなし文化論」、自然環境の保全と観光振興の両立について学ぶ「エコツーリズム論」、文化財の保護と活用の在り方を学ぶ「観光と文化財」など、旅行・観光サービス・ホスピタリティにとどまらない、日本そして京都における観光文化学を多角的な視点で学ぶことができます。
実社会にもつながる
「文化学部の学びとキャリア」
「文化学部の学びとキャリア」は2年次より全員が履修する必修科目です。異文化理解やセルフ・カルティベーション(自己修養)といったテーマのもと、文化学部で学ぶ意味と、自身の将来のつながりについて、ワークショップやディスカッションなどを通じて考えます。また、社会で活躍する文化学部の卒業生や、留学を経験した在学生などから話を聞くことで大学生活を充実したものにしていくためのヒントを得ます。