Series グランドデザインへの試み Part2

 創立50周年(2015年)に向けた中・長期ビジョン「グランドデザイン」により、さらに活力ある教育・研究機関へと改革を実施している京都産業大学。その理想と使命をスローガン「パワーユニブ」に込めている。

 

中田博大学院長が語る 大学院教育をいま一度見つめ直す

新たに始まる革新的な教育プログラム

 院生に対する教員の人数が多い―。京都産業大学大学院の特徴の一つが少人数教育だ。

 「本学には七つの研究科があり、法科大学院なら1学年の定員60人に対し、教員は20数名。他の研究科ではマンツーマンに近い状態で指導しています。日進月歩に研究が進む理系分野では、院生と教員がともに生活する中で、より密な研究ができ、知識と知力を蓄えられます」と中田博大学院長は話す。

 革新的な教育に挑むのも京都産業大学ならでは。既存の大学院経済学研究科に加えて2007年4月、日本で初めて経済学分野の通信教育課程を設置する(設置認可申請中)。

 急激に経済社会が変化する中、キャリアアップを目指す社会人の要求に応えるもの。財政学、公共経済学、金融論、国際経済論など経済政策領域から11の研究分野で募集。主にeメールを使って学ぶため、時間を有効に使える上、学費は通常の半額に設定されている。院生1人に教員1人が付く、きめ細かなサポートも利点だ。

 マネジメント研究科では、学内に加えセントルイスの提携校でも学ぶことで、MBAとマネジメントの修士の両方を手に入れられる画期的な仕組み「デュアル・ディグリー・プログラム」を新たに取り入れる。

 入学後は学内のマネジメント研究科で半年間学び、秋から1年間、ミズーリ大学セントルイス校へ留学、帰国後再び研究科で半年間の教育を受ける。順調に単位を修得すれば、最短2年で二つの学位の取得が可能だ。留学となると費用がかさむが、この制度には留学中の学費は奨学金としてすべて給付されるうれしい支援がある。相応の語学力は必要だが、国際社会で活躍したい学部生はもちろん、高度なマネジメント能力を身につけたい社会人にとっても魅力的な学びの場といえよう。

 

伝統ある学問から最先端の分野までそろう研究内容

 「文理が融合し学際的に学べるのも、一拠点大学である本学の利点です。大学院で学ぶことの意義は、学部で蓄えた知識を知力まで高め、実社会に対応しうる能力を身につけることだと思います。本学の歴史は41年とまだ成熟するには至りませんがその分、いい意味で教員の間に競争意識があり、みな意欲的。高度な未知の研究を行う教員とじかに向き合い、考えて、議論を重ねていく中で、社会に対応できる力もつくはずです」と中田博大学院長は胸を張る。

 京都産業大学の大学院には、他にも興味深い研究科が用意されている。例を挙げると、伝統ある天文学を継承・発展させている理学研究科、ポストゲノムとして注目される糖鎖生物学の研究も行われている工学研究科、専攻言語に加えて経済や経営の知識も学べる外国語学研究科など、いずれもアカデミズムの最前線ともいえる内容だ。

 「また、本年度10月に鳥インフルエンザ研究センターを設立しました。国際貢献も視野に入れて本学はもとより広く諸外国からも大学院生を受け入れ、本研究領域の拠点にしたいと考えています。さらにそれぞれの研究科では、社会のニーズに応えられるようシステムの充実に力を注いでいます。例えば弁理士にしても今は情報、バイオなど専門分野を持つ人が望まれます。理系の院生が法律も学べるような制度作りに取り組んでいる最中です」

 世の中が求める人材の育成に、果敢に挑戦する京都産業大学の大学院。緻密(ちみつ)な教育によって身につけられた高度な知識は、大きな財産となるに違いない。

2006年11月26日 朝日新聞広告特集より