Series グランドデザインへの試み Part1

 創立50周年(2015年)に向けた中・長期ビジョン「グランドデザイン」により、さらに活力ある教育・研究機関へと改革を実施している京都産業大学。その理想と使命をスローガン「パワーユニブ」に込めている。

 

柴孝夫経営学部長が語る 変わる経営学部 その理由

社会で求められる二つの専門性を身につける

 経済のグローバル化、格差社会…。現代社会を取り巻く環境は刻々と変化し、企業が求める人材も変わりつつある。「今、企業が雇いたいと考えているのは、職能に関する専門的な知識や考え方が身についている人。入社してから学べばいい、という悠長なことは言っていられない時代です」と京都産業大学経営学部長の柴孝夫教授。

 そんな社会のニーズに応えるため、京都産業大学は2007年4月、経営学部に「ソーシャル・マネジメント学科」と「会計ファイナンス学科」を新設する。既存の経営学科を合わせた3学科体制をとり、マネジメント能力を強化する教育を行う。

 「ソーシャル・マネジメント学科」が目指すのは、様々な社会領域の中でうまく人をコーディネートし、組織を動かす能力を養うこと。例えば公共機関やNGOなどそれぞれの組織には必ず目的がある。それを達成させるため、生じている問題の解決策を探り、新たな提案ができる力を育成する。公共、社会、ヘルスケアの三つの領域からアプローチするのが特徴で、現場を身近に感じられるようレクチャーするという。

 「会計ファイナンス学科」は、企業社会が複雑化するほど必要とされる会計や金融の専門能力を育む。経済全体の流れを理解しながら、企業の資金運用や管理法、会計の基礎となる簿記、ファイナンスのメソッドなどを学ぶ。「企業のお金の流れに興味がある」「デイトレーダーに挑戦したい」という人にも適しているだろう。人材が不足している公認会計士などの資格取得に挑戦できる能力を身につけられるのも魅力だ。

 

進路の可能性は多様に就職後に生かせる知識を習得

 「学科に分かれるのは2年次になってから。経営学部として一括募集するので、入学後に基礎をじっくりと学んでから主専攻を決められます。各学科には大きな垣根を設けていないので、専攻を決めた後でも興味のある他の科目を学べます。私は大学とは、社会に出てから直面する様々な問題を乗り越えられる力をつけるところだと思っています。当学部の学びは、卒業後の活動にきっと役立つはずです」

 経営学部の新学科で学んだ学生の進路は、多様に広がると考えられる。それぞれの学生が目指す方向により、進路は多岐にわたるからだ。進路のイメージとしては、「ソーシャル・マネジメント学科」なら、NGO、NPO、製薬メーカー、公務員など、「会計ファイナンス学科」では、公認会計士、金融機関、企業の経理・財務担当者などがあげられる。

 「いずれの職業に就いても、経営学部で学んだ内容は就職してからプラスに働くと自負しています。例えば、公認会計士になったなら、財務諸表が読めるだけでなく、その表の奥にある組織まで見ることができ、クライアントに対し的確な方向性を提案できると考えます」と柴孝夫教授。大学院マネジメント研究科に進み、より高度な研究をすることもできる。

 おりしも来年は経営学部開設40周年。一つの節目に、マネジメントの中で重要視されている二つの要素をいち早く取り入れて、経営学部を変える狙いだ。

2006年11月19日 朝日新聞広告特集より