京産大・POWERの源 〜学生たちのSTORY〜

就職アドバイザー

「“人”に惹かれること。自分が成長できること」

 内定者の立場から、大学の就職アドバイザーとして活動する今、4年次生の山本浩貴は会社選びについて改めてこう感じている。

 自分の未来を明確にイメージできないでいた3年次生の春、バイト先のカフェで気づいたことがあった。お茶を片手にゆったりとソファに身を沈め、枯れ山水の庭を眺めるお客さまたちの、何とも言えない豊かな表情だ。「空間にはすごい力がある」。将来の夢へとつながった瞬間だった。 空間≠ノ携わる仕事を求め、彼の就職活動が始まった。

 3年次生、夏のインターンシップ。グループワークを通して、多くの社員と出会い、会社の空気にも触れる。人に会うことで入社したい気持ちが強まるのを感じた。

 就職先を決める上で、仕事内容はもちろん重要だ。でも、売る人に惹かれて商品を選ぶことがあるように、そこで働く人≠ノ惹かれるかどうかも大事なのかもしれない。そんな思いを抱きながら、山本は就職活動を進めていく。休日に小学生にバスケットボールを教えたり、カフェで年配のお客さまと話したり、人とのふれあいを大切にしてきた自分の感覚を信じて。

 昨年4月、山本は「この人たちと快適なオフィス空間づくりに携わってみたい。魅力的な人に囲まれる環境で、成長しつづけたい」と、内々定を得た4社から一社を選んだ。夏のインターンシップ先だった。

 向上心の強い彼は、内々定の喜びが落ち着くと、残された大学生活でも新たな成長の場を求めた。そんな時、大学から就職アドバイザーを打診される。「後輩の力になりたいし、自分も成長したい」。彼はやることを決めた。

「悔いの無い就活のために、後輩の力になりたい」

 山本浩貴は昨秋、就職アドバイザー≠ニなった。現在は51人の仲間とともに、就職活動中の後輩を一番近い立場からサポートしている。

 第一志望の企業から内定を得た山本だが、もちろん悩みや心配がなかったわけではない。内定がもらえるか不安な毎日を過ごし、話し方やマナーで学生の甘さを痛感したこともある。ただ、いろんな人と出会え、多様な価値観を知ることは楽しくもあった。だから、悔いの無い就活のため、後輩の力になれたらと願う。

 先日、「何をしたらいいのかもわからない」という学生の相談に乗った。目に涙を浮かべて話す姿は、就職しなくちゃ≠ニいうプレッシャーだけがのしかかっている感じだった。山本は、意見を押し付けず、同じ目線で話すことを心がける。自己分析や企業研究の経験をもとに、自分に合った会社を探す醍醐味を丁寧に伝えた。「元気が出ました」の言葉が嬉しかった。その後輩へのアドバイスはその後も続いている。

 そんなアドバイザー活動の集大成『就活祭』が、きのう9日に開催された。就職に役立つと毎年好評のイベントで、山本はマナー講座を担当。ここでも「同じ目線で接する」という考えは崩さない。一方的に教えるのではなく、質問に答える形で話を進めたのだった。

 就職活動は苦しくもあるが、自分を成長させる貴重な機会。就職アドバイザーとして、山本は悩む後輩にこのことを伝えたいと言う。何事にも真剣で前向きな彼なら、きっと後輩の就職活動を実りあるものにしてくれるだろう。