京産大・POWERの源 〜学生たちのSTORY〜

キャンパスツアースタッフ

「私も先輩みたいになりたい!」

  思わずそう叫んでいた。大学受験を前に多くの高校3年生が志望校探しでオープンキャンパスを巡っていた頃、奥村蓉子の心は京都産業大学で大きく揺れ動いた。彼女がまず気に入ったのは、全学部が一拠点に集まっているところ。目指している理系はキャンパスが離れている大学が少なくない。にぎやかで元気な校風を求めていた彼女の心は一瞬で魅了された。

 それ以上に感激したのが、キャンパスツアースタッフと呼ばれる学生の存在だった。一緒にキャンパス内を案内してくれるのだが、「私たちは京産大が大好き。だってこんなにいいところなんだもの。だからあなたもおいでよ!」という熱意があふれんばかりに伝わってくるのだ。初めての場所で初対面の大学生を前にドギマギしていた奥村に、それは強烈なインパクトを与えた。

 子どもの頃は、引っ込み思案だった。いつも誰かに話しかけてもらうのを待つばかりで、特に中学に入った頃はなかなか友達ができずにつらかったことが今でも忘れられない。そんなコンプレックスを持つ自分に笑顔で話しかけ、気持ちをときほぐして受験生特有の悩みにも親身に相談に乗ってくれた。うれしかった。そして何より先輩たちの瞳には、大学への強い愛情が輝いていた。

 この日を境に、奥村の受験へのモチベーションが一気に上がる。勉強に熱が入る。来年にはきっと、あのキャンパスで青春を送ることを夢見て……。

「受験生の気持ちに寄り添える存在でありたい」

 高校3年生で訪れたオープンキャンパスに魅せられ、晴れて京産大生となった奥村蓉子は、もちろん憧れのキャンパスツアースタッフに名乗りを上げた。夏休みや土日も待機して、受験生が訪れたらいつでも相談・案内に応じるため、学内の情報を頭にたたきこみ、自分が大学の顔であることを常に意識した。最初はドキドキしながらも、先輩を見習いつつ、何人もの受験生と向き合う。彼らの気持ちに寄り添えるのは、私たちだからこそという自負も生まれてきた。

 最大のイベントとなるオープンキャンパスでは、何か月も準備を重ね、時には意見がぶつかりあいながらも、京産大の良さを少しでも伝えるため仲間と懸命に取り組む。そうして受験生から「楽しかった」という声を聞いた時のうれしさは何物にも代えがたい。案内した受験生が「合格しました」と報告に来てくれたり、入学した彼らが同じようにスタッフになってくれたりすると、喜びもまた倍増する。

 学年を超え、学部を超え、人の輪が広がることで、初めて会った人にでもきちんと目を見て積極的に話しかけられるようになった。人と接することが大好きになり、現在は新入生のために修学支援のボランティアも手がけている。「笑顔」と「挨拶」をモットーに、これからもたくさんの人に京都産業大学の良さを伝えていきたいと奥村は熱く語る。彼女は続けた。将来は大学院で研究を続けたい、と。母校への愛情を深める時間はまだ十分ありそうだ。