京産大・POWERの源 〜学生たちのSTORY〜

星空観望会を通じた地域交流

「うわぁすごい。みんなにも見てほしい」

  星空を眺めた時、山本大貴が発するのはいつもこの言葉に尽きる。幼い頃から気がつけば夜空を見上げていた。そんな星への思いが、彼を京都産業大学に招き寄せたのかもしれない。

 大学の創設者・荒木俊馬博士は天文学者で、学章も射手座(サギタリウス)。「希望」を意味し、宏大無辺な大宇宙を駆けめぐるギリシャ神に、新しい時代の若者の将来と世界的雄飛を期待したシンボルだ。山本は大学との縁を感じながら、天文同好会に入ることを選んだ。そして一気に星の魅力にとりつかれていく。

 授業などの合間を縫っては仲間とレンタカーで、天の川や流星群を求めて走る。今年の夏休みには富士山に登り、プラネタリウムのような満天の星に思わず絶叫した。

 「この美しい星空を一人でも多くの人と分かち合いたい」。同好会メンバー共通の熱い思いは、星空観望会≠ニいう活動を育んできた。荒木俊馬博士がかつて住んでいた京都府福知山市夜久野町で、町おこしから始まった観望会を、天文同好会は2002年から支えてきたのだ。

 今では年4回の恒例行事となり、幅広い年代の人たちとの交流が生まれている。知識が豊富な地元の人たちから彼らが学ぶことも少なくない。星空の素晴らしさを伝えたいという思いは、きっと夜久野町の人たちも同じなのだろう。こうした伝統は、今年、会長の山本に受け継がれたのだった。

「星を見ることで生まれる交流がある」

  京都産業大学天文同好会が、7年にわたって情熱を注いできた京都府福知山市夜久野町での星空観望会。今では上賀茂神社と京都市立柊野小学校にもその活動範囲を広げている。

 小学校では望遠鏡∞エアドーム式の簡易プラネタリウム∞スライド上映∞クイズや人形劇で星を学ぶ≠ニ、4つのコーナーを設けて、わかりやすく星を解説している。「すごーい」「こんなにたくさん見えるの?」「この星座の名前が知りたい!」望遠鏡をのぞいた子どもたちから歓声があがるたび、同好会メンバーにも喜びがあふれる。  天候に左右されるだけに、開催前日には好天を必死に祈るが、時には願いがかなわないことも。この秋の上賀茂神社観望会では曇天であまり観測できなかったのだが、ジョギング途中に寄った人が「来年も必ず来るよ」と。「たまらなくうれしかったです」と会長の山本大貴は振り返る。

 このような観望会を大学のキャンパス内でもやろうと計画中だ。「子どもたちだけでなく同年代の学生たちにも星の素晴らしさを体感してもらいたい」と、山本はじめ同好会メンバーは、来年1月の開催に向けて意欲に燃えている。折しも、学内に天文台が竣工したばかり。私立大学では国内最大級の望遠鏡を有し、約20億光年先の天体を見ることも可能だ。これで星に興味を持つ学生が増えたら、と山本らの期待は高まる。

 「今でも星空を見た感動は『うわぁすごい』としか、うまく表現できないですね」。でも、だからこそ、子どもから大人まで同じ感動が生まれるのだと信じてやまない。