研究者紹介 (4) 津下英明教授

この記事では、本プロジェクトを主導する主な研究者の詳しいプロフィール(お人柄や実績を含む)をご紹介します。

研究者を志した理由

大学院のテーマは、「カルシウム結合性リゾチームの発見、構造と機能解析」。

大学生のときに読んだ、David Stuart等のNature論文「αラクトアルブミンの結晶構造解析と新しいカルシウム結合部位」が、以降の自分の研究を決め、さらに生涯タンパク質の立体構造を直接見る研究を志す発端となりました。 今でこそ、タンパク質X線結晶構造解析に他の分野から入ってくる研究者は多くなりましたが、当時フォールディング(タンパク質の巻戻りの研究)の研究室出身で構造解析を始めるのは異色だったと思います。

また振り返ると、「百聞は一見に如かず」の研究が自分にはあっていたと思います。タンパク質X線結晶構造解析(あるいはクライオ電子顕微鏡)で見るタンパク質の姿は、最もシンプルでわかりやすい結果です。

これまでの研究の歩み

JT 生命科学研究所で始めたタンパク質の結晶構造解析がメインの研究手段となり、 さらに徳島文理大学、健康科学研究所で勝沼信彦所長(学長)のもとで自由に学問に取り組みました。徳島では様々な構造生物学の共同研究を成功させましたが、ウェルシュ菌のIota毒素も 最初は共同研究で始めた研究のひとつです。Iota毒素はアクチン特異的なADPリボシル化毒素ですが、これだけで解析するのでなく、 基質であるヒトのタンパク質アクチンとの複合体で構造を見たらと思い始めた研究が、 その後のメインテーマとなりました。この研究はToxin attack in view(細菌毒素がヒトタンパク質を攻撃する姿を捉えた)として This week in PNASで紹介されました。

論文掲載

Iota毒素とアクチン複合体の結晶構造解析の論文はProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)誌(2008) に、京都産業大学に移り、Iota毒素とアクチン複合体で反応の前と後を見て反応モデル(strain and alleviation model)を提唱した論文はPNAS誌(2013) に、さらに資源環境学科の2期生の卒業研究生が行った異なる基質タンパク質(RhoA)をADPリボシル化するC3毒素について行った研究「C3毒素によるRhoAの認識とADPリボシル化反応機構の構造基盤」はThe Journal of Biological Chemistry誌(2015)に、掲載されました。

学外活動

高大接続授業で、高校生を対象にした模擬実験を行っています。興味がある方は、是非参加してみてください。

その他の活動

タンパク質を形と機能を知ることは、生命の不思議を垣間見せてくれます。

研究室に在籍して、4年生や修士過程で行ったタンパク質の研究が、世界の最先端の研究として世に出ます。英語の論文を読み、実験を行い、(思いもかけない)結果が得られたときは論文を書き、ときに英語で発表します。そんなタンパク質研究を一緒にしてみませんか。また多くの卒業生が卒業研究発表会で良い研究を行っています。タンパク質構造科学研究室webサイトも覗いて見てください。また研究室で海外からの学生、院生も受け入れています。
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