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- WACE第19回世界大会 開催報告
開催概要
開催日時 | 2015年8月19日(水)〜21日(金) |
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会場 | 京都産業大学 |
主催 | WACE(世界産学連携教育協会) |
開催校 | 京都産業大学 |
協力 | WACE日本事務所(NPO法人WIL) |
参加者統計
大会参加者数
3日間計 | 635人(のべ1,362人) 日本人408人 海外227人 |
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8月19日(水) | 463人 日本人236人 海外227人 |
8月20日(木) | 448人 日本人221人 海外227人 |
8月21日(金) | 431人 日本人224人 海外227人 |
*日本人参加者内訳
大学(教員) | 127人 |
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企業 | 91人 |
大学(事務職員) | 79人 |
行政(教育委員会含む) | 29人 |
高等専門学校 | 8人 |
団体(NPOなど) | 19人 |
高等学校 | 39人 |
その他 | 16人 |
合計 | 408人 |
大会総括
8月19日〜21日の3日間、京都産業大学にて開催された「WACE(ウェイス:世界産学連携教育協会)第19回世界大会」は、日本をはじめ、ヨーロッパやアメリカ、アジア、アフリカなど世界24の国と地域から大学、高校などの教育機関や、企業、行政などの関係者600人以上(3日間のべ1,300人以上)が参加し、盛会のうちに終了した。
本大会は、「グローバル社会を生き抜く力の育成をめざした産学連携教育の確立に向かって」をテーマに掲げており、産学連携教育の普及及び質的向上に資する、世界各国の先進事例やその教育効果に関する研究報告が、各セッションで行われた。
総じて、参加者の満足度は非常に高く、「これまでの世界大会の中で最も素晴らしいものであった。」との賞賛の声も聞かれた。日本で初めての開催となった本大会は、国内における「産学連携」による人材育成への、興味・関心を高め、産学連携教育の一層の普及と質的向上を進める契機となったと考えられる。
各プログラム概要
全体会I、II(オープニング、基調講演)
大会初日である8月19日には、オープニングと基調講演が行われ、オープニングでは、WACE CEOのポール・ストーンリー博士、京都産業大学学長の大城光正、京都府知事の山田啓二氏、京都市長の門川大作氏の順に挨拶がなされ、同大会への期待等が述べられた。
その後の基調講演では、富士ゼロックス株式会社代表取締役会長の山本忠人氏が、「企業が求める人材と大学教育への期待」と題して、講演。ビジネスモデルの変遷から、求められる人材も変化してきており、専門的な知識や能力に、リーダーシップや課題解決力などの業務スキルと、コミュニケーションやマナーなどの基礎スキルも必要となっていることなどが述べられ、また、富士ゼロックスグループで実施しているインターンシップやPBL型の就業体験などの成果について、同社が蓄積してきたデータベースをもとに、インターンシップ等産学連携を活用した人材育成の可能性が述べられた。

オープニングの様子(左から、大城光正、山田啓二氏、門川大作氏、ポール・ストーンリー氏)
基調講演の様子
講演を行う山本忠人氏
分科会/グループディスカッション/全体討論
分科会では、参加者が各教室に分かれ、“Workforce Development(人財育成)”、“Application of Academic Learning(大学での学びの実践)”などのテーマに関する研究発表、ディスカッションが行われた。分科会は各セッションが20人程度の小規模グループで行われ、3日間を通して、100以上の研究発表が行われた。
日本で初めての開催となる今大会では、“CWIE in Asia(アジアにおけるCWIE)”をテーマとした、アジアセッションも実施され、アジア各国におけるCWIEの現状、普及に向けた課題などが議論された。この他、ドレクセル大学、マサチューセッツ大学・ローウェル校、東京工科大学の研究者による、理工系学生に向けた産学連携教育の在り方についての発表も行われ、日本の参加者にとって、海外の事例・ノウハウに触れる機会となった。
このほか、大会初日には、50人程度の中規模グループで、“ヨーロッパにおけるCWIEネットワーク”など、より実践的なトピックについて議論するグループディスカッション(Round Table Discussion)が行われた。2日目には、“日本の大学との提携”、“コーオプ教育の研究ガイド”など参加者がそれぞれ新たなネットワーク形成、知識の獲得を行う全体討論(Colloquia)が行われた。
分科会において議論を交わす参加者
グループディスカッションの様子
全体会III、IV、V
大会2日目以降、参加者全員が一つのセッションに集う全体会が下記の通り、開催された。
全体会III 8月20日(木)
パネルセッション:「CWIEの次のステップに向かって、グローバル課題と機会」
全体会IV 8月21日(金)
基調講演:「タイにおけるCWIE:国際CWIEの課題に直面して」
全体会V 8月21日(金)
「オープン・スペース・テクノロジー」
大会最終日、最後のセッションとなった全体会Vでは、「オープン・スペース・テクノロジー」という手法を用いたワークショップが実施された。このセッションでは、産学連携教育に関連して、参加者が議論したいテーマをその場で提示し、そのテーマごとに参加者がグループを形成し、ディスカッションを行った。
参加者がホールに一堂に会し、その中で次々とテーマが提示され、ディスカッションが行われる非常にダイナミックなセッションとなった。参加者にとって、自らの関心事項を提案し、議論できる時間となった。「オープン・スペース・テクノロジー」というワークショップ手法を体験する機会となった。
ジャパンプログラム
日本での初開催となった今大会では、国内事例をテーマにした特別セッション「ジャパンプログラム」が展開された。3日間で、下記5つのプログラムが展開され、国内大学、企業等から多くの関係者が参加した。
ジャパンプログラムテーマ一覧
プログラムA | 企業・学生・大学から見た長期インターンシップの成果と課題 |
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プログラムB | 産学公連携による地域経済・社会を担う「グローカル人材」の育成 〜京都という地の利を活かして〜 |
プログラムC | インターンシップの充実を担う専門人材の育成 |
プログラムD | 産学連携PBL教育の重要性とその展開 −日本から世界を見据えて− |
プログラムE | 高等学校におけるキャリア教育の実践 −次代を担う人材の育成を目指して− |
「産学連携の長期インターンシップ」に先進的に取り組む新潟大学や本学の事例を、企業・学生・大学のそれぞれの立場から報告するものや、“京都ならでは”の産学公連携による人材育成プログラムの事例報告など、多様なプログラムが開催された。3日目には、高等学校におけるキャリア教育をテーマとするプログラムを実施したことで、多くの高校関係者の方々にもご参加いただいた。その他のPBLやインターンシップに関する専門人材をテーマとするプログラムも含めて、全プログラムにおいて、活発な議論がなされた。
ジャパンプログラムの様子
表彰式、晩餐会
大会最終日の8月21日(金)19:30より、ホテル・オークラ京都において大会の最後を飾る表彰式、晩餐会が行われた。表彰式では、今大会で発表された中で最も優れていた論文、産学連携教育の推進に貢献した個人や団体への表彰が行われた。
表彰式後の晩餐会では、芸舞妓による舞踊のパフォーマンスが披露され、和やかな雰囲気で行われた。参加者は食事を楽しみながら自由に歓談し、参加者同士のネットワークを広げる機会となった。晩餐会の最後には、WACE・CEOポール・ストーンリー氏より閉会の挨拶が行われ、今回のWACE世界大会にご参加いただいた方への感謝の言葉と更なる産学連携教育の発展に対する期待が述べられた。
表彰式の様子
挨拶するポール・ストーンリー氏
学生を主体とした運営
本大会では、“A Step towards a Fulfilling Global Experience”をテーマに、有志の学生を募り、学生を主体とした運営を目指した。募集の結果、本学学生31人からなる学生参画チーム「京輪(きょうわ)」を結成し、彼らを中心に海外からの参加者の案内などの運営サポートや「打ち水」「茶道」「書道」「武道」などの実演や、本学や日本文化を紹介するパネル展示を行い、参加者をもてなした。
学生が運営するサポートデスク
打ち水によるおもてなし
オプショナルツアー
世界大会終了の翌日8月22日に、大会参加者を対象に本学学生が企画、販売したオリジナルの京都観光ツアーが実施された。これは、本学のPBL授業における取組の一環であり、ツアーの企画、実施まで学生が主導して行った。
学生は、嵐山エリアでの観光ツアーを企画。残念ながら参加者は4名と少数に留まったが、屋形船、京菓子作り、浴衣体験といった内容のほか、学生がガイドに付き、自由に散策する時間も設けた。事前に名所や土産店に交渉することで自由散策にスタンプラリー方式を導入し、また、友禅染の端切れを活用して表紙・裏表紙を綺麗に包装したオリジナルのアルバムを配付するといった工夫をツアーに取り入れ、参加者の満足度は非常に高いものであった。