プログラム1 人間の安全保障プログラム
- 人間の安全保障とは何ですか?
- 今までの安全保障は、軍事的な脅威から国家を守ることで、国民の安全を確保しようと考えていました。しかし、人々は、国外からの脅威がなくとも、貧困、飢餓、疾病、環境破壊などの恒常的な脅威にさらされています。
人間の安全保障とは、国家が必ずしも人々の安全を十分に確保できないこのような世界状況において、個々人の安全という視点から様々な問題を見直そうとする考え方です。
このような新しい視点から問題を見直し、解決にむけての具体的な手法を「人間の安全保障プログラム」で学びます。
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- 紛争地域で平和活動はどのように行われますか?
- 国際紛争問題を解決するためには、紛争が停戦した後に介入する平和維持活動(PKO)だけでは不十分です。その前段階で紛争が発生しないように予防することや、紛争が終結した後でも人々の生活が安定するように社会の復興支援をめざす平和構築活動も不可欠です。
私たちは、現代の紛争問題に対して、このように、継続した一連の平和活動を通じて取り組む必要があるでしょう。
取り組みについては「なにを」「どのように」取り組むべきか役割分担やルールが必要です。「人間の安全保障プログラム」では一連の平和活動全体を見渡して積極的に活動の仕組みを作る手法を学びます。
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- 地球温暖化問題を解決するためにはどうすればいいのでしょうか?
- 地球温暖化のような環境問題は、それぞれの国家単位の対策では解決できない地球規模の問題です。このような問題について、国家は、国益を優先するのではなく、国際協調を基に対処することが特に重要になってきます。
たとえば、地球温暖化防止のための京都議定書は、2008年から20012年までの先進国による対策の履行を規定していますので、それ以降の全地球的な規制条約が早期に締結されることが望まれます。また、環境問題は長期的な努力が必要です。条約を作るだけでは解決とは言えません。
規制条約が正しく運用されるにはどのような対応が必要なのかも含めて、長期的な視野を「人間の安全保障プログラム」で身につけましょう。
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プログラム2 社会安全プログラム
- いじめや少年非行の問題にどのように対処したらよいですか?
- どのような行為が犯罪や非行とされて、刑罰や保護処分の対象となうのかを学び、その根拠や限界を学ぶことが必要です。またそのようの行為をした者が、自分を活かしながら他者と人間関係を築けるようにするには(社会化する)には、今の制度で充分なのか、批判的に検討する必要もあるでしょう。
例えば、いじめた者といじめられた者、家庭、学校、地域社会等の関係者と話し合いの場を設けて、人間関係も含めて健全な関係に修復する等の新しい手法についても「社会安全プログラム」で学び、よりよい解決策を一緒に検討してみましょう。
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- 児童虐待防止にどのように取り組めばよいのですか?
- 児童虐待防止を学ぶ上で、虐待とは何か、どのような場合にどこに通報するのか、そして児童相談所はどのように子どもを保護していくのか、という一連の法的な流れを把握することが必要です。
日本では平成12年に児童虐待防止法が制定され、平成19年の改正を経て児童福祉法と共に虐待防止の対策を講じていますが、十分に効果を発揮しきれていません。今後、通告義務の徹底化や司法の介入、および里親や養子縁組などの社会的受け入れ等について、諸外国の法制度も参考にしながら、さらに法制度を見直していく必要があります。
子どもが安全・安心に暮らせる社会を作るためにはどのような法制度が必要でしょうか。「社会安全プログラム」で子どもを守る法制度を先んじて考えていきましょう。
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- 犯罪被害者への支援政策とはどのようなものですか?
- 犯罪被害者への支援を、わたしたち社会が考え始めたのは、世界的にもそんなに昔のことではありません。日本においても、国が犯罪被害者への総合的な支援計画を立てる「犯罪被害者等基本法」が制定されたのは、2004年のことです。
突然、事件に巻き込まれる犯罪被害者は、被害で受けるダメージのほかにも、多くの問題を抱えます。そのため、公的機関や、民間のボランティア団体など、いろいろな角度から支援を考える必要があります。被害にあった人々が、新たな一歩を踏み出すことができるようにするためにはどうすればよいのか、考えてみましょう。
「社会安全プログラム」では法制度の面からどのようなサポートができるのかを検討します。
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プログラム3 社会政策プログラム
- 社会保障制度って何のためにあるのですか?
- 人生には生活を脅かすさまざまなリスクがあります。どんな健康な人でも病気になるかもしれませんし、事故にあうかもしれません。安泰だと思っていた勤め先もつぶれてしまう可能性がないとは言えません。それに何よりも人は皆、年をとります。
これらは個人的なリスクですが、同時に、誰にでも起こりうる、そして誰もが避けて通れないリスクです。もしもすべて個人で対処すべき、となれば、社会のあちこちで、生活が立ち行かない人々がでてきてしまうことでしょう。
ですから、人を人としてきちんと尊重する社会であるためには、国民全体で薄く広くコストを負担しあって、いまリスクに直面している人の生活を保障することが必要になります。社会保障制度とはそのために作られたものです。
では、どこまで、どのように、コストを負担しリスクに対処すればよいのでしょうか?
「社会政策プログラム」ではこのような課題に取り組んでいきます。
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- 最近よく聞く「セーフティネット」って何ですか?
- サーカスの綱渡りで、ロープの下に張られている安全網を想像してください。ロープから万一落ちてしまったとしても、網が命を救ってくれるでしょう。「セーフティネット」はこの“リスクに備えての安全網”といった意味合いで、金融の分野でも社会保障の分野でも用いる言葉です。たとえば生活保護は、経済的に困窮した場合の最後の公的保障ですが、セーフティネットの代表的なものです。
ただ、セーフティネットの意義を、社会的に脱落したものを救う最後の手段、としてのみとらえることには問題があります。先の綱渡りの例に戻ると、人が大胆に「綱渡り=リスク」に挑んでいけるのは、「安全網=セーフティネット」があるからこそ、とも言えるからです。この意味では、社会の創造性や革新性を維持していくためにこそ、セーフティネットは必要であるのかもしれません。
「社会政策プログラム」ではこのような議論についても考えていくことになります。
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- 楽しく生きるためには何が必要ですか?
- なにを楽しいと感じるかは、もちろん個人によって違いますよね。ただ、「楽しい時間」「充実した時間」が多い人生は、やはり楽しく生きた人生ということになるでしょう。ひとそれぞれの、自分が好きだと思うこと、やりがいを感じることを見いだすことが、やはり楽しい人生の第一歩だと言えそうです。
では、それはどうやって見いだせばよいのでしょう?いわゆる「自分探し」でしょうか?でも「自分探し」って何でしょう?人は、人と違うからこそ自分であり、人とふれあうからこそ自分を知ります。自分を持つということと、社会とつながるということは、深いところで通底しているのです。そして社会とはなんらかの意味で公共的な空間です。そう考えると自分にとっての真の「楽しさ」は、まったくの私的世界の中にではなく、「私」と「公」の往復を繰り返す中に、見つかるのかもしれません。新しい法政策学科での学びは、そんな風にも活用できますし、またそうしてもらいたいと願っています。「社会政策プログラム」では公共的な空間、みんなが楽しく暮らせる空間を作る方法を考えていきます。
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プログラム4 行政プログラム
- 学校の横にゲームセンターを作ることはできますか?
- できません。通常、ゲームセンターは風俗営業店に該当します。風俗営業店については、学校や病院に近い場所での営業が法的に禁じられています。このような規制をすることで、青少年を悪い影響から保護しています。
ゲームセンターはあくまで一例にすぎません。地域には、私たちが安全健康に暮らすのにいろいろな規制(ルール)が必要です。この規制が、厳しすぎれば地域の発展を阻害し、緩ければ生活環境の悪化を招きます。また、規制が本当に必要なのか吟味することも大事です。規制の必要性や内容、地域特性といったもの考慮して判断しなければなりません。「行政プログラム」では地域が健全に発展するための最適なバランスを考えます。
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- 大統領と首相とではどちらが強いですか?
- 一概には言えません。一口に大統領制と言っても、アメリカのように大統領しかいない国から、フランスのように大統領も首相もいる国もあります。隣の芝生は青いと言いますが、日本ではアメリカの大統領制をみならった首相公選制を導入しようという議論が昔からありました。アメリカの大統領が強いリーダーシップを発揮しているという前提からです。とは言え、アメリカではブッシュ大統領が野党民主党主導の議会を相手に難しい政権運営を求められてきたのは、「ねじれ国会」に直面している日本の総理大臣と似ています。制度以外に有権者の判断など制度外の部分にも注目してみることが大切です。このような問題を「行政プログラム」では詳しく見ていきます。
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- 行政改革は必要ですか?
- 必要です。人間は環境に適応しながら、あるいは環境の変化に応じて学習します。政府も同じ様に、社会環境に合わせて様々な政策を出力しながら生き残っていきます。とは言え、環境の変化が大きすぎると、人間は体調を崩して薬の処方が必要になるなどします。政府も、財政赤字の拡大など、社会環境の変化が大きすぎるときには、「お薬」が必要です。それが、行政改革です。ただ、「お薬」の種類がたくさんあるように行政改革にも民営化や市民参加など様々な形がありますから、視点を変えてニュースを見ることにも慣れて下さい。「行政プログラム」では法政策の視点から、社会を良くする「お薬」の作り方を学びます。
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プログラム5 法政歴史プログラム
- 日本社会の特徴はどのようなものですか?
- 従来から日本人は集団主義的な傾向が強いといわれてきました。そこから、個人的な言動は集団の雰囲気を壊すものとして否定的に捉えられたりもします。多かれ少なかれ、私たちは学校、家庭、職場などでそうした行動様式や慣習にふれて成長しており、「いじめ」などの社会的問題もそれらと無関係ではありません。もちろん法や政治なども、そうした日本人の行動様式や慣習を考慮しなければうまく機能しないでしょう。こうした行動様式や慣習について深く知るには、歴史を学ぶことが最も有効です。この点で、歴史に学ぶことは、まさに法学部のひとつの重要な学習内容に他ならないのです。「法政歴史プログラム」では歴史に学び現代に役立てる学びを提供します。
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- 外国の文化の特徴はどのようなものですか?
- 現代の日本の法や政治のシステムは、明治以降の歴史のなかで欧米から取り入れたものが重要な役割を果たしています。人権、民主主義、憲法、議会制、等々、いずれもそれを深く理解しようとすれば、歴史に踏み込まざるをえません。たとえば「人権」の起源をヨーロッパの歴史に求めるなら、そこには、当時のヨーロッパ社会の人々が作り出したさまざまな哲学や価値観や知識、あるいは暮らしの現実や人間関係など、現代とは異なる世界が現われてきます。もちろん他にも、現代の日本の法や政治を理解するにあたり、中国の文化や日本の古代文化など重要な手がかりはいろいろあります。このように、現代日本とは異質な時代や異文化に学ぶことで深く物事を捉えることも、法学部の重要な学習内容となります。なぜそうなったのか、を学ぶ「法政歴史プログラム」を通じて法や政治のシステムをより深く理解しましょう。
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- 人と人のつながりはどうやって生まれるのですか?
- 現代では、常識や倫理がうまく機能しなくなり、人間関係を築いたり味わったりすることが難しくなっています。しかし、いくら医学などの科学が発達したり、ITや交通機関などの技術が発達しても、人間が不幸であっては社会は成り立ちません。社会がうまく立ち行くためには、人々が平和に共生しうるための規範や価値、つまり「公共的なるもの」を尊重し、改めて創造してゆく必要がありましょう。そのために、法や政治をさまざまな歴史や文化と絡めて学ぶことは大きなヒントを与えくれるちがいありません。このように、「公共的なもるもの」の重要性に気づき、人と人のつながりについて深く考えをめぐらすことも、法学部の重要な学習内容のひとつなのです。「法政歴史プログラム」ではそういったヒントのひとつひとつを丁寧に見ていきます。
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