2023年4月の星空
今月の星空Starry sky of the month

火星かせいMars
太陽系の惑星で地球の1 つ外側を公転する火星は、地球の1/2 程度の小さな惑星です。2 年2 か月ごとの接近のタイミング(2022 年は12 月1 日最接近)で観察の好機を迎えます。望遠鏡を使うと、ドライアイスの氷である「極冠(きょっかん)」や大チルシスなどの模様も見ることができますが、見え方は火星の季節や天気(ダストストームなどでぼやけてしまう可能性もあります)にも大きく影響されます。
散光星雲さんこうせいうんDiffuse nebula
西に沈みゆくオリオン座の三つ星のすぐ南に並ぶ小三つ星のうち、真ん中の天体は星ではなく散光星雲で、この中で今も次々と星が生まれています。望遠鏡を覗くと、星雲のガスと、生まれてから約150 万年しか経っていない赤ちゃん星が台形の形に4個並んでいるトラペジウムが見えます。明るく輝く生まれたての星々の光が周囲のガスを照らして温めることによって、オリオン大星雲は輝いています。
散開星団さんかいせいだんOpen cluster
ペルセウス座にある2つの散開星団 h-χ ( エイチ・カイ) やおうし座のすばる(プレアデス星団・M45)、ぎょしゃ座のM36、M37、M38 が見ごろです。h-χは、それぞれの星団には数十個から数百個以上もの星が密集しています。荒木望遠鏡では狭い範囲を拡大するため、2つの散開星団のうちどちらか1つを見ることになります。少しずつ集まり方の異なるぎょしゃ座の3 つの星団も比べてみましょう。恒星は、ガスの濃いところで集団で生まれ、h-χやすばるのような、若い星たちが集まった散開星団となります。やがて、散開星団の星たちは、時間が経つと少しずつ離れていくと考えられています。
赤色巨星せきしょくきょせいRed giant
恒星は安定して輝く時期が長く続きますが、恒星の内部の水素を使い果たすと恒星の内部が縮み始め、その際に発生する熱によって外側のガスはさらに外へと膨張し、巨大な星になります。ガスが膨れると表面の温度が低くなるため、赤色に見えます。太陽の約20 倍です。オリオン座のベテルギウスは赤色超巨星で、直径は太陽の約650 倍も大きいことが観測されています。恒星の寿命が尽きようとしていて、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくありません。
二重星にじゅうせいDouble star
春の夜空では、いくつかの重星を観望することができます。重星は、肉眼で見ると1つの星ですが、望遠鏡を覗くと2つの星に見えます。
北斗七星を形作るおおぐま座ζ(ゼータ)星(ミザール)は、肉眼でもアルコルとペアになっているように見えますが、これは同じ方向に偶然星がある「見かけの二重星」と考えられます。一方で、ミザール自体は2 つの星がペアになった連星です。望遠鏡を使うとミザールの2 つの星を見ることができます。その他、りょうけん座コル・カロリやしし座アルギエバも観察しやすい二重星です。
北斗七星を形作るおおぐま座ζ(ゼータ)星(ミザール)は、肉眼でもアルコルとペアになっているように見えますが、これは同じ方向に偶然星がある「見かけの二重星」と考えられます。一方で、ミザール自体は2 つの星がペアになった連星です。望遠鏡を使うとミザールの2 つの星を見ることができます。その他、りょうけん座コル・カロリやしし座アルギエバも観察しやすい二重星です。
PICKUP!
宵の明星・金星
夕方の西の空で金星が存在感を増し、8 月13 日の内合(地球‐金星‐太陽の順で並ぶタイミング)ごろまで「宵の明星」として見ごろが続きます。3 月2 日には金星(-3.9 等)と木星(-1.9 等)が大接近し、美しい光景になりました。4 月は、中旬(10 日ごろ~ 13 日ごろ)にすばると接近します(双眼鏡での観察がおすすめ!)また、4月23 日には金星と細い月(月齢3.3)が接近します。