【法学部】急増する「サイバー犯罪」に迫る

2022.06.24

法学部の専門教育科目「社会安全政策Ⅰ」は、街頭犯罪や少年犯罪など領域ごとにおける対策の考え方と取り組みを分析し、社会安全政策の担い手の在り方を学びます。
このたび「サイバー犯罪の現状と対策」をテーマに、京都府警察本部生活安全部の吉岡 竜之介氏をゲストに迎え、実際のサイバー犯罪の事例を交えた講義が行われました。
(学生ライター 文化学部3年次 松田 こころ)


京都府警察本部生活安全部でサイバー犯罪対策課ネットセキュリティー・サポートセンターの副所長を務めておられる吉岡氏は、4つの視点からサイバー犯罪について実例を交えながら解説されました。

サイバー犯罪の現状について

サイバー空間なくして社会は成り立たないと言えるほどに、サイバー空間が社会生活の中心になってきています。また、コロナ禍によりインターネットを見る機会が多くなったため、サイバー犯罪に関する相談が増加、その約半数がフィッシングや偽サイトなどの詐欺や悪質商法に関するものだったそうです。

サイバー犯罪の手口について

フィッシングや詐欺サイト・偽サイト、サポート詐欺、ランサムウェア、エモテットといったさまざまな形態のサイバー犯罪について、対策とともに説明されました。詐欺サイトの見分け方については、「URLの一部が見慣れないもの」「商品価格の極端な値引き」「商品画像に他社のロゴ表示」が挙げられると説明されました。
他にも、会社情報に不備がある、日本語が不自然、といった違和感がある場合は詐欺サイトである可能性が高いそうです。

基本的な情報セキュリティ対策について

サイバー犯罪の被害に遭わないためには「ソフトウェアの更新」「ウイルス対策ソフトの購入」「IDとパスワードの適切な管理」の3つの対策を行うこと。中でもパスワードについては、長く複雑に作成し、使い回しをしないということが重要だそうです。

被害防止に向けた取り組みについて

京都府警察本部では、企業に対してセキュリティネットワーク支援、高校生には出前講座、留学生には犯罪加担についての注意喚起リーフレットの配布など幅広い人たちに対して、被害の防止を呼びかける機会を設けています。また、Twitter(アカウント:京都府警察サイバー犯罪対策課 @KPP_cyber)でも日々情報発信を行なっているそうです。

検挙例や被害の実例を交えての解説から、サイバー犯罪をより身近に感じることができました。授業後には普段から気になっていることを直接質問することもでき、実生活に役立つ情報も得られるなど有意義な機会になりました。

サイバー犯罪の種類やそれぞれの仕組みを知ることで、サイバー犯罪についての知識を深めることができました。また、どのような対策が講じられているのかを現場に携わる方から聞くことで、学生たちは新たな気づきを得ることができたと思います。
講義を受ける学生の様子
ゲストスピーカーの吉岡氏

【フィッシング】実在する組織を騙って個人情報を詐取すること。メール(SMS等)のリンクから偽サイトに誘導するケースがある。
【詐欺サイト】詐欺や悪質商法のサイト
【偽サイト】実在するサイトの企業名・連絡先などを無断使用し、模倣するサイト
【サポート詐欺】サイトの閲覧中に偽の警告画面を表示させ、不審なアプリをインストールするよう誘導し、サポート契約を名目に金銭を騙しとる
【ランサムウェア】保存されたデータを暗号化し読み取り不能にし、データの復元と引き換えに金銭を要求する不正プログラム。
【エモテット】主にメールの添付ファイルから感染する不正プログラム。添付ファイルの開封を促し、感染したパソコンから情報を奪い、そこからさらに感染拡大のためメールを送信する。
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