【文化学部】ホンモノの京都文化を肌で感じよう~華道体験を通して京都のおもてなし文化に触れる~

2022.06.20

さまざまな伝統文化が継承される古都・京都。そんな京都の地にある京都産業大学では、京都文化を学ぶ機会がたくさんあります。文化学部専門教育科目「京都文化演習ⅠA(平竹 耕三教授クラス)」では「京都における観光文化の花であるおもてなしの神髄に迫る」をテーマに学んでいます。今回は桑原専慶流家元のお宅を訪問し、華道体験が行われました。

(学生ライター 現代社会学部1年次 釆野 愛梨)

桑原専慶流は、330年の歴史がある華道の家元です。
受講生と平竹教授が訪問すると、副家元の桑原 櫻子氏がお出迎えしてくださいました。玄関を抜けると長い小道があり、打ち水がされていました。桑原氏いわく、この打ち水は「お待ちしておりました」というメッセージであり、来客がある時は必ず行っているそうです。早速、京都のおもてなし文化に触れた瞬間でした。

お宅へ上がると、すぐに授業が始まりました。まずは、京都や桑原専慶流家元宅の歴史について話を伺いました。特に印象的だったのは「水」についての話です。華道の家元であることから、敷地内には複数の水ためが置かれています。この水ためは、あえて造られているとのこと。その理由は、昔は山から木を切ってそれを花材として使っていたため、花材を休ませる必要があったからだと説明されました。現在は花屋が花材を届けてくれるようになったそうですが、水ためは来客をもてなす花を浮かべるものとして健在と、昔は不可欠であった水ための新たな役割や歴史が説明されました。

家元宅 落ち着いた空間
華道体験をさせていただいたお部屋の一部分

次に、歴史ある建物である、家元宅での暮らし方について説明がありました。伝統的な京都の家の良さを残しつつ、現代的な生活を可能にする家造りをされています。
例えば、玄関に自動ロック機能を付けるなど、現代の人々が暮らしやすいように心がけているとのこと。建物は、いろいろな箇所が傷んできたり、室内の気温調節が難しかったり苦労も多いそうですが「たまに心地良い風がサァっと吹き込んでくると、自然からご褒美をもらえたような気分になり、頑張ろうと思える」と桑原氏は話されました。その他にも、京都で華道に携わる人だからこそ話せる興味深い話を数多く聞かせてくださいました。学生たちは、うなずきながらそれらの話に耳を傾けていました。

学生に解説を行う副家元の桑原氏

続いて、いよいよ華道の体験が始まります。まずは、道具の名称や今回扱う花について解説を受けました。桑原氏は道具や花を学生へ示しながら、丁寧に解説されました。

花の生け方を実演する様子

解説を受けた後、実践に入りました。学生たちは真剣な面持ちで作品作りをしていきます。そこでは、ハサミで花の茎を切る音だけが響く、落ち着いた空間が広がっていました。今回使った花は「バラ」「鳴子百合」「フトイ」の3種類のみでしたが、学生の作品はどれも少しずつ違い、個性が光るものでした。生け終わった学生から順に「もっとこうすればきれいに見えるよ」など、桑原氏からアドバイスをもらいます。アドバイスをもらった学生は「花の角度を少し変えるだけですごく作品が良くなった。華道って奥が深い。」と感心した様子でした。

作品をつくる学生
手直しを受ける様子

華道体験終了後、桑原氏は学生一人一人にお菓子を手渡して見送ってくださり、最後までおもてなしの心が込められていました。

担当教員の平竹教授

授業終了後に、担当教員の平竹教授に「なぜ学外での華道体験を授業に取り入れたのか」を伺うと、「おもてなしの心を学ぶため」と語られました。さらに「同じ華道体験でも、大学の教室と和室で正座して行うのとでは味わう雰囲気が違う。そもそも打ち水がされた路地に入った瞬間に五感で感じるおもてなしの心を体感して欲しかった。」とも語られました。


今回の訪問では、最初から最後まで随所におもてなしの精神があり、おもてなしの心を学ぶにはとてもぜいたくな環境でした。他府県出身の私にとって、京都のおもてなし文化は非常に新鮮で驚くことが多かったです。
このような京都の伝統文化を肌で感じることができる授業は、文化の理解にとても役に立つと感じました。

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