モダニズムからポスト・モダニズムへ。グループディスカッションを通してアメリカ文学を読み解く!

2022.02.21

外国語学部英語専攻基幹科目である「米文学Ⅱ」では、19世紀末以降のアメリカ文学作品を取り上げ、モダニズムからポスト・モダニズムへ至る流れの学びを通して、現代アメリカ社会を読み解き、時代思潮に関する知識を養うと同時に、文学作品に関する知識を深めることを目標としています。秋学期の前半はオンデマンドでしたが、対面に移行してからはグループディスカッションの時間を長くとることで、意見を共有し学生自身が考える機会も多くなりました。
(学生ライター 外国語学部3年次 瀬戸うた)
スライドを用いて授業を進める宮澤准教授。
学生と積極的にコミュニケーションをとって授業を進める。
今回はトルーマン・カポーティ著の短編小説「Miriam」(1945年)を取り上げた授業の4回目。ミセス・ミラーという初老の女性の身の周りに起こる不可解な出来事が描かれており、ミリアムという女の子が物語の鍵を握っています。物語のクライマックス・終盤について授業が行われました。

学生には事前課題として質問が配付されており、グループに分かれて質問に対する意見を出し合いました。その後全体で共有し、宮澤准教授から補足説明が行われました。
各グループ3~4人に分かれてグループディスカッションを行う
まずグループディスカッションでは、各グループで意見共有が行われました。各自が物語のラストシーンやストーリー全体を通して考察したことや疑問を感じた箇所について意見を述べました。どのグループも活発な話し合いが見られ盛り上がる中、「ミリアムは実際に存在するのか」という問いが主に話し合われていました。多くのグループは「実体はないが深層心理のレベルでは存在する」という答えを導き出していました。
次にクラス全体での意見共有が行われ、グループごとにそれぞれの視点で考えられた興味深い意見が多く挙げられました。あるグループは「ミセス・ミラーの家は彼女の心(意識)を表している場所で、そこに現れるミリアムは無意識の中の存在である」と考察したり、そのほかにも他グループの意見をバックアップするものもありました。

最後に宮澤准教授からグループディスカッションのフィードバックと解説、4回にわたる授業のまとめが行われました。
学生から出た意見に対して、人間の意識の中には無意識が存在し、無意識下にあるものには思い出してはいけないものも含まれている。ミセス・ミラーとして生きる上で抑圧されてきたものがそこにあるのではないか、またミリアムをきっかけとして彼女の深層心理が解放されたのではないか、という補足をされました。
ミセス・ミラーをとりまく人間関係やこれまでの人生を振り返りながら、著者であるカポーティ自身の考え方もこの作品に取り込まれていると、これまでの授業で話し合われてきた意見のまとめが行われました。

この授業は講義を一方的に聞くのではなく、学生自身が主体的に考えて意見を共有することに主眼が置かれています。このような学生が積極的に参加する授業は、楽しみながら知識や思考力、傾聴力などのスキルも磨けると思いました。
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