【文化学部】文化財のボランティア体験から学ぶ、私たちが暮らすまちの軌跡

2022.01.11

大覚寺でのボランティア体験
文化学部京都文化学科では、専門教育科目として「京都文化フィールド演習」を開講しています。この科目は、京都の伝統行事や宗教行事の運営・参加、職人の工房・地場産業における現地実習、社寺・遺跡での実地踏査など、京都を舞台にさまざま実習を行う科目です。

石川 登志雄 教授のクラスでは、京都の寺社を中心とした文化財の保存修復・公開活用・調査研究などの諸問題について考え、その理解と疑問をもとに、寺社や文化財の現場で、直接見て、聞いて、触れ、また所有者、保存修復技術、観光業などの文化財に関連する仕事をする人々との交流を通じて、京都文化の基底にある寺社と文化財・観光の現在と未来について学んでいます。
今回、大覚寺の文化財保護・整理のボランティアを通して京都の歴史を学ぶ様子を取材しました。
(学生ライター 外国語学部3年次 寺尾都麦)


大覚寺は1200年前の平安時代初期に嵯峨天皇の離宮として建立されました。今では「華と心経の寺」として親しまれています。
石川先生の案内で大覚寺の門をくぐると4棟の蔵がありました。その蔵はお宮や西灯籠が美しく並べられており、東福寺や上賀茂神社と並んで時代劇の撮影によく使用されるそうです。その説明を聞いた受講生は感嘆の声をあげ、興味深そうに写真を撮っていました。

続いて、平安から主に鎌倉・南北朝・室町時代の書籍、肖像画、絵画、工芸品、陶芸や江戸時代の花器などが保存されている収蔵庫に入りました。これらの貴重な文化財を木箱から取り出して(主に書物や絵画)、ハケで埃をはらい、防虫剤を入れ替え、ラベルに貼られた文字を確認しながら順番通りに整理する活動を行いました。
”ホンモノ”に触れるということ
貴重な文化財を慎重に取り扱う
その後、石川先生が箱から資料を取り出し、豊臣秀吉・織田信長の直筆の書物を見せてくださいました。受講生も目を輝かせ、興味津々な面持ちで自分たちも秀吉や信長の当時のままの古文書に触れて、学びにおいて「体験する」ことの大切さを実感しました。

受講生と共に美術工芸品の整理を体験させていただきましたが、貴重な文化財に触れることはとても緊張しました。一つ一つの書物やそれらを収納する木箱には、私たちが教科書やテレビなどでよく目にした歴史的人物の名前があり、それを令和時代の私たちが手にとり、整理することは、京都の長い歴史を肌で感じることができる非常に感慨深い経験でした。
受講生からは「この授業では京都でしか体験できないことができる」などの声が聞かれました。

授業後の取材では、石川先生が大覚寺の文化財顧問されており、調査の方法やお寺の管理に関するアドバイスなどを普段から行われていること、またその活動の中で収蔵庫の保管の相談も受けておられ、学生が授業の中で文化財などの取り扱いを学ぶことができ、お寺にとっては防虫剤の取り替え作業が進むという両者にとってメリットがあるように授業をアレンジしていると伺いました。

京都文化を専門分野として学んでいく学生が、1年次生の段階で”ホンモノ”に触れる事は貴重な体験であり、大変羨ましく感じました。本物の京都文化を専門的に学ぶことができるのは、文化学部京都文化学科ならでは醍醐味だと感じました。
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