食品ロス削減を目指して。法学部「地域公共フィールド・リサーチ」焦クラスが DVD上映会とフードドライブを実施 

2021.01.19

焦教授と学生たち
「地域公共フィールド・リサーチ(※1)」焦クラスの学生6人は、「食品ロス」の認知向上と削減に向けて、余った食品を持ち寄ってもらうイベント(フードドライブ)を12月14~18日に真理館で実施しました。日本では世界の食糧援助量(2018年は約390万トン)の約1.6倍にあたる年間612万トンの「食品ロス」が発生しており、日本人1人あたりに換算すると、毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てていることになります。また、日本の食品ロスのうち約46%は家庭から出ているとされています(農林水産省調べ[2017年度推計値])。
「フードドライブ」とは 家庭で余っている食料を持ち寄り、それらを地域の福祉施設、養護施設やフードバンクなどに寄付する活動です。このイベントはSDGsで掲げられている17の目標のうち、「貧困をなくそう」「飢餓を0に」に該当するイベントで、1週間のイベントで25キロの食品を回収しました。回収した食料は、食料支援を必要とする人々への援助活動を行っている特定非営利活動法人「セカンドハーベスト京都」へ寄付し、セカンドハーベスト京都澤田理事長から感謝の言葉をいただきました。 

今回は、フードドライブの他、「食品ロス」に関するドキュメンタリーDVD映像「0円キッチン」(原題 " waste cooking")の上映会も行いました。この作品は多くの賞を受賞した作品で、ジャーナリストで“食料救出人”のダーヴィドが食料廃棄をなくすため、廃油で走るキッチン・カーでヨーロッパ5ヶ国を巡り、廃棄食材クッキングの旅に出るエンターテイメント・ロードムービーです。行く先々で、廃棄食材を素敵な料理に変え、食材提供者に振る舞い、そのどれもが「美味しい」や「捨てられた食材が生まれ変わった」など、高い評価を受けていました。
作中では、主に食品ロスの原因として「家庭」「小売店」「生産者」それぞれに原因があることが述べられていました。家庭では、食材の買いすぎで使い切れずに腐らせてしまう。小売店では、味は変わらないのに形が悪いという理由で作物を処分したり、売れ残りや賞味期限切れの商品を処分する。生産者では、育てた作物の形や大きさなどが、小売店の求めるものや流行と違うため需要が無く廃棄されるなど様々な原因があるようです。

今回の取り組みについて焦クラスの学生に話を聞いたところ、「フードドライブ活動には若い力が必要で、日本は海外に比べてこの活動が浸透していない」や「食品ロスという問題があるということ自体を認識してもらえるよう、普及活動を広めていきたい」といった声が挙がりました。食品ロスに対して重要なことは、私たち一人一人が問題意識を持つことであり、特に「家庭」が原因の食品廃棄は、私たちの行動次第ですぐに削減できます。一人一人が日々の買い物で「消費できる分だけ買う」ことを常に意識することが必要なのです。

 ※1 :地域公共フィールド・リサーチ
実社会への関心と問題意識を強めるとともに、解決方策を考察する力を養う法学部 2年次の選択必修科目。3つのクラスに分かれ、焦教授のクラスでは、持続可能な地域実現の様々な課題をテーマに、地域人材に必要な知識と能力を養う。

DVD映像内では「食品ロス」と関連して、環境問題の改善について述べられている部分がありました。その中で、特に興味深いと感じたことを3つご紹介します。1つ目は、外来種の花の繁殖を防ぐために、その花を材料にゼリーとして食品化し、消費するというものです。2つ目は果物など、地域に自生する作物を消費することで、輸送コストを削減するというもの。3つ目は最近話題になっている、昆虫食用の虫に、廃棄された食料を餌として与えるというものです。これら全てに共通していることは、利用できる食材を最大限活用することが環境保全の促進に繋がるということです。食品ロスを含めた環境問題は、改善に向けて多方面からアプローチすることができるということを学びました。

(学生ライター 法学部3年次 大﨑 遼汰)
議論する焦クラスの学生たち
フードドライブに寄せられた食料
PAGE TOP