【理学部】数理科学科 談話会を開催しました(7月6日)

2022.07.14

2022年7月6日(水)に「数理科学科 学生向け談話会(※)」を開催しました。
今回の談話会は、今年度本学に着任されました濵野佐知子 教授、緒方勇太 准教授に、それぞれ「多変数関数論の基礎」「曲線と四元数」というタイトルでご講演いただきました。

講演1:濵野 佐知子 教授「多変数関数論の基礎」

濵野教授の講演では、1次元の複素数空間は実2次元の空間として捉えられるが、2次元の複素数空間はどのように捉えれば良いか、という話題から始まり、具体例を計算しながら多変数関数論に関する感覚を掴んでいきました。その後、複素数空間内の領域で定義される正則関数の話題に移り、終盤には以前本学に在籍されていた岡潔先生の代表的な業績である「上空移行の原理」を紹介されました。問題を解決する際に、次元が低い状況に帰着させることはよく行う手法ですが、「上空移行の原理」では、考える空間の次元を上げることで扱いやすい状況に持ち込んでおり、そのアイデアの秀逸さに聴衆は感銘を受けました。

講演2:緒方 勇太 准教授「曲線と四元数」

緒方准教授の講演では四元数の定義から始まり、四元数の集合が4次元実ユークリッド空間と同一視できること、さらにはそれらが行列のなす空間としても表現できることを説明されました。その後、その空間において研究対象である曲線・曲面を考えたり、Darboux変換という特別な操作を用いて新たな曲線・曲面を作り出すことを紹介されました。実ユークリッド空間、四元数、行列の空間といった、一見異なるように見える対象でも数学的構造に注目することで同一視できること、そしてその同一視を巧みに用いることで曲面・曲線の考察ができることなど、学生にとって刺激的な内容であったと感じました。


今回の談話会は感染症対策をした上での対面開催となりましたが、同時にZoomを用いた配信も行いました。当日は対面とオンラインを合わせて多くの参加者があり、盛況のうちに終了しました。どちらの講演も1、2年次に学ぶ「微分積分学」「線形代数学」と繋がりのある内容であったため、参加した学生は、馴染みのある数学の先に広がる世界を垣間見ることができたかと思います。今回の談話会が今後の勉強・研究の意欲向上に繋がれば嬉しく思います。

※ 談話会は、学内教員や研究実績のある研究者を招聘して定期的に講演会を行うことで、理学の最先端の研究内容に触れ、研究意欲の促進、教育・研究の質的向上を図ることを目的として実施しています。参加は教員だけでなく、学部生、大学院生、その他一般の方々も可能です。

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