社会問題を語る読書会vol.01「talking about readings」開催報告

2022.05.10

ボランティアや市民活動、およびそれらが活動の対象としているさまざまな社会問題について取り上げた書籍をめぐる対話創出の場として「読書会」を開催しました。
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社刊)
読書会の様子

開催概要

日時 2022年4月20日(水)18:00~20:00
場所 町家 学びテラス・西陣
参加者数 5人

今回の読書会では、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社刊)をテーマに語り合いました。
まずは自己紹介したのち、この本の中で印象的だったことを共有しました。ここで、「マイノリティ」「多様性」「エンパシー」「アイデンティティ」などのキーワードが出され、それらを重点的に語り合うこととしました。
参加者からは、主人公が感じる葛藤への共感として、自分自身に内在化されているマイノリティとしての属性がそれぞれの口から語られました。マイノリティであることがある種の「生きづらさ」に変容する過程に、自分自身のアイデンティティの揺らぎや喪失が関係していることが挙げられました。国籍や性的アイデンティティ、発達的な特性などが自分らしさを構成する要素でもあり、それを出さない(隠す)ことで葛藤から逃れることはできるが、それでは他者の多様性に寛容な社会にならない、という意見が出されました。
また、参加者から「大学は多様性の場であるか」という問いかけがありました。中学・高校は同質性を求め、特性をもつ人にとっては生きづらさにつながるしんどい時期であったことを踏まえると、大学は多様な背景をもつ人が多いと感じる、という声がありました。それは、大学という場が自分自身で選び取った場所であり、それが自分としての生き方の出しやすさにつながっているのではないか、という投げかけがありました。それらは多様性を受け入れることができる土壌があるから多様性が尊重されるのであり、そうした文化的土壌を学生が継承し育てることが重要である、という思いが表明されました。
今回の語り合いの中で、葛藤を感じることの価値が共有される機会が多くありました。ある学生は、ホームレス支援の際におにぎりを渡すときに立ち尽くしてしまった経験から、他者の背景を想像することの重要性が語られました。また、別の学生からは、この本で描かれているような対話が自分自身の子どもの頃に必要だった、今の大学でも対立を恐れるあまり、社会問題について語り合う機会が少ない、という思いが語られました。
今回の読書会では、本の感想を共有するだけでなく、この本で描かれた世界から社会の問題を自分事として捉え、勇気をもってそれらを共有する時間になったと感じています。
ボランティアセンターでは、今後もさまざまな本を題材に、学生同士が社会問題について語り合う場と時間を設けたいと考えています。

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