理学部の二間瀬敏史教授が宇宙における暗黒物質分布、暗黒エネルギーの性質についての共著論文を出版

2021.06.09

成果

理学部宇宙物理・気象学科の二間瀬敏史教授は海外の複数の研究者と共同研究を行い、宇宙における暗黒物質分布、暗黒エネルギーの性質に関する研究成果をまとめ、新しい論文をPhysical Review Dから出版しました。

掲載論文

題目 Detection of cosmic magnification via galaxy shear-galaxy number density correlation from HSC survey data
著者 Xiangkun Liu, Dezi Liu, Zucheng Gao, Chengliang Wei, Guoliang Li, Liping Fu, Toshifumi Futamase, and Zuhui Fan
雑誌 Physical Review D, 103
DOI https://doi.org/10.1103/PhysRevD.103.123504
 

研究概要

現在の宇宙には銀河、銀河団、超銀河団など様々なスケールの構造が存在します。この構造の形成がいつどのように宇宙の歴史の中で起こったかを調べることは宇宙論の大きなテーマの一つです。この構造形成の詳細は暗黒物質(ダークマター)、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の性質に強く依存するため、構造形成の研究は、同時にこれらについての研究でもあります。この研究には数十億光年先までの大規模銀河分布の観測データに基づいた理論的研究が必須です。二間瀬教授は、雲南大学、北京大学、上海天文台のグループとの共同研究ですばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによる大規模銀河サーベイのデータを用いて宇宙の暗黒物質の大規模構造による弱い重力レンズ効果と銀河分布の相関を調べました。その結果、この相関がこれまでの重力レンズの観測量とはお互いに独立な新たな情報を与えることを確認し、この相関を用いることで宇宙における構造係数を支配する重要なパラメータに対して従来よりも2倍以上精度の良い制限を得ました。この研究成果によって、宇宙における暗黒物質分布、暗黒エネルギーの性質を解明する可能性が大きく前進する可能性が開けたと言えます。

 

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