経済学部 アジア経済英語講義でWEBを通じた国際稲研究所への訪問を実施しました

2021.07.06

2021年6月8日(火)にアジア経済英語講義でwebを通じてフィリピンにある国際稲研究所(IRRI)へ遠隔訪問しました。国際稲研究所はロックフェラーとフォード両財団が出資して設立された世界最大の農作物研究機関であり、アジアでは最大かつ最古の国際農業研究所です。
アジア経済英語講義では東南アジアだけでなく南インドやNIES諸国などのアジア地域の経済発展の経過を学んできました。その中で農業の近代化が各国の経済発展に転機をもたらしたことを知り、今回の訪問に繋がりました。
今回の訪問のテーマはHealthier Riceと呼ばれる「遺伝子操作によるビタミン強化稲」の紹介とそれがどのようにアジア各国の社会課題を解決するかについてで、現地の研究者の方々にお話をしていただきました。東南アジアなどコメが主食の国々は、様々な要因で栄養バランスが偏る傾向にあります。 コメを多く食べることにより必要な栄養を摂取していると思いがちですが、実はコメに含まれる鉄分はごくわずかしかないなど栄養素が偏っています。
このことは多くの国でも既知のことですが、経済的な事情や栄養学が未浸透なため、なかなか広く周知されていないとのことでした。例えば、現在フィリピンでは貧困層の食事の5割がコメで占められており失明の原因に繋がるビタミンAが不足していたり、亜鉛、鉄など子供の成長や妊婦の健康に欠かせない栄養素が不足し、健康が十分に保たれないという状況にあります。
このように食事で栄養をとっているにも関わらず、必要な栄養素が不足する現象を"Hidden hunger"と呼びます。この現象はアジアの半数以上の人々に当てはまると言われています。
この問題を解決するために開発されたのがHealthier Rice(Golden Rice, HIZRの2種を含む)です。国際稲研究所では、遺伝子の組み換えにより白米よりも多くの栄養素を含むコメを開発し、貧困層の栄養バランスを改善しようとするプロジェクトに取り組んでいます。
栄養に関わる問題を単に各国に周知するだけでなく、具体的な品種開発により栄養を満たそうと努力されていることに深く感心しました。
お話をお伺いした後はクイズゲームを通して、より一層Healthier Riceに関する知識を深めました。
最後の質問コーナーでは、こうした品種改良したコメを今後どのように普及されていくのか、また遺伝子組み換え食品の安全性についてお尋ねし、研究者の方々に丁寧に回答していただきました。数人の研究所の方たちとのミーティングでしたが、全ての方が「Healthier Rice」への思いを共有され、普段から成果がでるように邁進されていることがひしひしと伝わってきました。将来、コメを食べるだけで様々な栄養素を取れるようになるという未来が実現し、貧困層の課題が解決するだけでなく、私たちの食事にも大きな変化が訪れる日がそう遠くはない、ということをとても強く感じ取ることができました。
最後にこの場をお借りして、現地フィリピンから御講演下さった国際稲研究所の方々に厚くお礼申し上げます。
(学生ライター 国際関係学部3年次 加藤 綾華、 経済学部4年次 溝口 貴大)
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