MOC vol.6「伝統工芸のこれから~ORIOBIの展開と西陣織の未来を探る~」終了!

2021.06.16

京都市上京区の西陣地区にある学外拠点「町家 学びテラス・西陣」では、大学生から社会人まで幅広い世代がともに学び、地域とつながり、地域との関わりを通して多様な生き方や暮らし方、働き方の選択肢を増やすことを目的とした学びの場「町家オープンカレッジ(略:MOC)」を定期的に開催しています。

今年度はじめての開催となった6回目のMOCは「伝統工芸のこれから~ORIOBIの展開と西陣織の未来を探る~」というテーマで、京都文化を代表する呉服…その中でも帯と西陣織の切り口から、伝統工芸の新しい展開をされているお二人をゲストにお招きしました。また、期待の若手として伝統工芸とアップサイクルを掛け合わせた事業を始められる学生さんにも飛び入りでプレゼンテーションをしていただきました。

まず1人目のゲストは、ORIOBIの白幡 磨美(しらはた まみ)さん。帯を折り紙のように折って、見て楽しむことができる作品に生まれ変わらせる活動をされており、この6月に初めて京都・西陣での展示及び販売を行われます。
「好きなようにしていいよ」と祖母から帯を譲り受けたことをきっかけに、「持ち主の想いやストーリーを汲み取って形にできれば、4億本がたんすの肥やしと言われる帯にスポットライトを当てることができるかも?」とORIOBIの活動を始められました。
折り方に決まったパターンがあるわけではなく「汚れがあるこの部分は内側に持っていこうか」などと帯一つひとつ見て・触りながら作るため、どれも一点物になるそうです。最近ではミニ帯を使ったアクセサリー製作もはじめ、芸術大学の学生さんと一緒に展開されていることもお話しいただきました。

2人目のゲストは、有限会社フクオカ機業女将の福岡 斗紀子(ふくおか ときこ)さん。帯生地の生産に留まらず、炭素繊維を使用した特殊織物『Nishijin Carbon』まで展開されている、間もなく創業120年を迎える機織り屋さんです。
創業当初は洋生地がメインでしたが、戦前~戦中~戦後と時代に合わせて数々のチャレンジをされてきました。現社長の代になられてからは炭素繊維やリサイクルPETを活用した生地を開発し、京都に残る美しい伝統模様を重ねることで唯一の製品を生み出され、海外では非常に高い評価も得ています。「伝統は革新の連続」と言う福岡さんは、古き良きものを継承していくために外に出て多世代多文化の人とつながろうと、『女将』として活動をスタート。自主イベントを開催されるなど現状に満足することなく新たな取り組みをされ続けています。

トークセッションで「これからやっていきたいこと」を伺ったところ「帯を折ることが日本の文化として当たり前になったら嬉しいですね」と白幡さん。そのためにも帯や着物に触れるハードルを下げ、実際に手にとって「自分にもできそう!」と感じてもらう機会を増やしていきたいと仰っていました。
福岡さんは「若い人が働きたいと思える産業にしたい」と呉服産業の未来を見ておられました。職人さんの高齢化や後継者不足が進むこの産業を存続させるために、未経験者採用も積極的に行い、ちゃんと育成して次世代につないでいきたいとのこと。既にフクオカ機業さんでは若手職人の皆さんが大活躍中だそうです!

そして、期待の次世代代表として、京都外国語大学の宮武 愛海(みやたけ まなみ)さんにこれからスタートされる事業について熱いプレゼンテーションをしてもらいました。
sampai(さんぱい)』という、その名の通り産業廃棄物として捨てられてしまうものを見つめ直し、その素材が持つストーリーと共にアクセサリーとして届けるサービスを開始。なんと最初の素材提供は、前回のMOCゲスト AFURIKA DOGSさんとのこと!今後フクオカ機業さんとの連携も検討されており、MOCのつながりも感じられて嬉しい発表でした。

参加者の方々からは「敷居が高かった伝統工芸を身近に感じられた」というご意見や「ぜひ西陣に行きたい!」という声をたくさんもらいました。ちょっと落ち着いたときには西陣ツアー企画もできたら…と、伝統工芸や西陣の奥深さ・熱さをたっぷり感じた時間となりました。
今年度初回からたくさんの参加者で盛り上がったMOC!次回以降もお楽しみに!

伝統工芸や西陣を盛り上げようという方々がたくさん参加されました
ORIOBIさんに町家に飾る作品を作っていただきました
タイトル「併せ持つ人」
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