ご卒業されるみなさまへ【総合生命科学部】

総合生命科学部の卒業生のみなさまへ

総合生命科学部長 寺地 徹

みなさん卒業おめでとうございます。システム、資源、動物と学んだ学科は違えど、同じ総合生命科学部生として過ごした4年間は、いかがでしたでしょうか。みなさんが入学して以来、この晴れの日をめざして、総合生命科学部の教職員は、一丸となって応援してきたつもりです。あっという間の4年間と思われることでしょうが、これから社会へ飛びたつみなさんにおかれましては、この大学で過ごした日々が自身の大きな成長につながったと感じていただけたら、我々としても本望です。

今年は、新型コロナウイルスの拡散防止の観点から、卒業式どころか学位授与式も中止という、前例のない3月末となりました。例年であれば、卒業生を祝うため、式はもとより、謝恩会、研究室での教員、先輩、後輩との歓談やプレゼントの交換など、別れを惜しみつつも楽しいひと時を過ごすところです。天災なので仕方がないとはいえ、大学最後のイベントが中止の憂き目にあったこと、断腸の思いです。

ところで、総合生命科学部では、卒業に際してみなさんに学士「生命科学」が授与されます。生命科学を修めた者として、ウイルスがどのようなものであるかを知らない卒業生はいないでしょう。また、分子生物学、細胞生物学、微生物学、免疫学などの専門科目で学んだことから、ウイルスの進化や我々ホストとの関係性などもしっかり理解しているはずです。
となれば、感染者へのいわれのない偏見・差別や、科学的根拠のないデマなど、ともすれば世の中に蔓延するフェイクに惑わされることなく、賢く生きていくことができるはずです。
今こそ学修した生命科学の知識や考え方を生かして、よりよい社会をつくるために個々の力を発揮して下さい。

黒死病として恐れられた14 世紀ヨーロッパにおけるペストの大流行や20 世紀初頭のスペイン風邪のパンデミックを想像してみましょう。オセロの白が黒に裏返っていくように、遠くの街から、ひたひたと自分の住む街へ死が近づいてくる。ゾンビにかまれたら自分がゾンビとなるように、今までこちら側だったものが、一瞬にしてあちら側になる。理由もわからず、日常生活が刻一刻と変化していく様は、たいへん恐ろしかったことでしょう。この状況に比べて、今はどうでしょう。幸いなことに我々には、科学という武器があります。よくウイルスは目に見えない敵と言われますが、電子の眼ではその姿がはっきり捉えられていますし、詳細な立体構造も解明されています。またウイルスがそこにいる(ある)という痕跡は、PCR により容易に検出することができます。新型コロナウイルスの場合も、やがて他の多くのウィルスと同じように、抗体による検査方法や、ワクチン、さらには治療薬などが開発され、季節性のインフルエンザやふつうの風邪と同じ程度の脅威へと近づいていくに相違有りません。卒業の年は大変だったねと笑い話になるときが、早晩来ることを信じましょう。

とはいえ、古来、健全なる精神は健全なる身体に宿ると申します。時節柄、健康にはくれぐれも留意され、希望に満ちた新生活を迎えていただければと思います。

最後になりましたが、縁あって4年間を過ごした母校を誇りに思っていただければ幸いです。またOB、OG の訪問はいつでも大歓迎ですので、京都へお越しの際は、ぜひ大学へお立ち寄りになり、元気な姿を見せて下さい。教職員一同、心よりお待ち申し上げます。

令和2年3月21日

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