社会安全・警察学研究所シンポジウム「性暴力被害者のために何が必要か、何ができるか」開催

2020.02.25

2月17日(月)京都ガーデンパレスにおいて、社会安全・警察学研究所主催のシンポジウム「性暴力被害者のために何が必要か、何ができるか」が開催されました。研究所は、これまで、様々な立場の方々が一堂に会する場を設け、相互理解の進展を図ってきました。今回は、近年被害の深刻さと対応の必要性が叫ばれるようになってきた「性暴力」被害をテーマに開催し、全国各地の警察関係者、福祉・医療関係者、被害者支援組織関係者、研究者ら約130名の方々が参加されました。

第1部では、基調講演として、武蔵野大学教授 心理臨床センター長 小西聖子先生から「性暴力被害者の現状と課題-精神医学的、心理学的視点から」と題して講演いただきました。日本の犯罪全体が著しい減少傾向にある中で性暴力被害はそれと異なること、被害者の多くは若い世代で、困難を抱えている人が少なくないこと、若年層のニーズにこたえる支援が必要であることなどが紹介されました。PTSD症状には有効な治療ができても、生活能力・社会適応に困難を抱えている若い人はそれだけでは回復できないので、支援が必要であることが強調されました。

第2部の講演では、福岡県立大学理事・教授 松浦賢長先生から「福岡県性暴力根絶条例の具体化について」、性暴力救援センター日赤なごや なごみセンター長 片岡笑美子先生から「病院型ワンストップ支援センターの意義-多機関多職種の連携を中心に-」をテーマに講演いただきました。松浦先生からは、教育・被害者支援部会の論議を中心に検討状況が紹介されました。片岡先生からは、センターで大事にしていることを中心にお話しいただきました。

第3部では、パネルディスカッションを行いました。赤羽史子警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当)と社会安全・警察学研究所 新恵里所員、増井敦所員がパネリストとして、基調講演者、講演者とともに壇上に上がり、田村正博所長がコーディネーターを務めて、議論を交わしました。性犯罪被害者支援の取組み状況、支援にまで「届かない」・支援に「のらない」被害者へのアプローチ、刑事法が性暴力被害者のために何ができるか、についてパネリストが発言した上で、条例の効果、ワンストップ支援センターが有効に機能するために必要なこと、自立支援に向けた取組み、被害者のための刑事法のあり方などに関して、会場参加者から多くの質問があり、実践の紹介を含めて、活発な議論がなされました。

田村所長 開会挨拶
小西先生 第1部基調講演
松浦先生 第2部講演
片岡先生 第2部講演
第3部パネルディスカッション
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